小学生〜高校生の約30%以上がお通じに悩みあり?!
寒い季節こそ、きのこを食べて腸ケアを
2021.01.01
冬はお通じが滞りやすい季節。あなたの子どもは大丈夫?
「子どもは便秘になんてならないでしょ?」と思っていませんか? 実は、特定非営利活動法人日本トイレ研究所が行った、小学1~6年生の子どもを持つ保護者(25~59歳)を対象にした調査によると、小学生全体の10%が便秘状態、さらに21.3%は便秘予備軍という結果が。なんと、小学生の約30%が、便秘の可能性があるのです!
さらに中高生でも、便秘傾向(排便が週3回以下、または不規則)のある割合は、中学生男子が約18%、高校生男子が約27%、中学生女子は約37%、高校生女子は約42%という調査結果もあり、多くの子どもたちが便秘の悩みを抱えていることがわかります。
特に、一年で最も寒さが厳しくなる1~2月は注意が必要。様々な原因が重なって弁が出にくくなります。
原因① 冷え
寒さで身体が冷えて血流が悪くなると、腸の運動機能も低下しやすくなり、腸の排便機能が低下しやすくなります。
原因② 寒さによる自律神経の乱れ
冷たい空気に触れると、身体にギュッと力が入ったり、縮こまったりしますよね。これは体温を逃さないための防御機能によるものです。体内でも同様に、体温を逃さないよう血管がギュッと凝縮! このときの身体は緊張状態。身体を活性化に導く交感神経が優位に働き、リラックスモードに導く副交感神経は働きが低下している状態です。
胃や腸はリラックス状態で活性化するので、寒さで身体が緊張した状態では働きが鈍り、便秘になりやすくなる…というわけです。
原因③ 睡眠不足・ストレス
自律神経の乱れは、睡眠不足やストレスによっても起こります。特に今年は、新型コロナウイルスの影響で、不安からくるストレスにも要注意です。
心身がストレスにさらされると、交感神経が優位になり心身が緊張状態に。すると、腸の働きが低下し、便が出づらくなります。睡眠不足も同様に、交感神経が優位になる時間が長くなるため、腸の働きが鈍くなり、便秘のリスクが高まります。
原因④ 少食・偏食
ストレスやダイエットなどによって食事量が極端に減ったり、栄養バランスが大きく偏ると、便のかさが減ってお通じが悪くなります。
原因⑤ 運動不足
寒くなり、家の中で過ごす時間が増えると運動不足になりがち。さらに、今年は新型コロナウイルスの影響で、外遊びの自粛や部活の時間短縮などで身体を動かす機会が減っている子どもが増えています。座りっぱなし、ゴロゴロしっぱなしの状態では巡りが悪くなり、むくみや冷えが起こりやすくなり、その結果、腸の働きが低下し、便秘の原因に…。
原因⑥ 水分不足
夏に比べて冬は汗をかくことが少なく、水分補給がおろそかになりがち。ところが、室内にいても暖房などの影響で空気がとても乾燥しており、知らないうちに身体の水分が失われていることも。体内の水分が不足すると便の水分が腸内で再吸収され、水分の少ないコロコロの固いうんちに! 固い便は出しづらく、お通じが悪くなります。
お通じが悪くなる原因はこんなにたくさん! ちょっとした生活の変化によってお通じが悪くなる可能性もあるということです。今年の冬はコロナウイルスのストレス、さらに、1月になると受験生は受験の本格シーズンを迎え、ストレスは大きくなっているかもしれません。便秘になりやすい状況が続くので、注意が必要です。
成長期の子どもたちにとって、栄養吸収の要である腸の健康はとても大切!
お通じが悪くなっていても、親には話さない子どももたくさんいるので、様子を見るだけでなく、コミュニケーションをとりながら、気をつけてあげましょう。
お通じを促すカギを握る「血流」に注目!
お通じをよくするためには血流をよくすることが先決。血流が停滞し冷えた状態では、腸に限らず内臓全体の機能が低下します。
「血流って、そんなに大切なの?」と、思われるかもしれませんが、身体中を張り巡らされている毛細血管の長さは、成人の場合は全長約9万9000km、全部をつなぐと地球2周半ほども! 身体中のすべての細胞や組織につながり、栄養や体温、ホルモン、老廃物を運搬しているのが毛細血管なのです。
毛細血管は、自律神経によって収縮と拡張を繰り返しており、身体が冷えて血管が収縮した状態では血流が停滞してしまい、腸の機能も低下し、お通じが悪くなりやすくなります。
これを防ぐための第一歩が、身体のリズムを乱さないことです。身体にとって重要なのは、朝は交感神経を目覚めさせて活動モードに、夜は副交感神経を働かせて休息モードになるという、当たり前のリズム。このリズムを刻むためには、夜は決まった時間に眠って心身を休める、朝は決まった時間に起き、朝食をとって身体を目覚めさせることが大切なのです。
特に朝は排泄の時間。朝食をとることで睡眠中に下がった体温が上昇気流に導かれます。さらに、胃に食べ物を入れることで腸の活動スイッチがオンになり、身体は排泄のサインを受け取って、便意をもよおすという仕組みになっています。
朝、便意をもよおすのはとても当たり前のことのように感じますが、心身が緊張していたり、ストレスを感じていると、思いどおりに便が出なくなります。受験を控えて緊張を抱えている子どもの場合は、密かに便秘になっている可能性も…。
特別な対策をするより、緊張をほぐし、身体のリズムを整えてあげることも、親にできる最大の応援なのです。
目指そう! きのこを食べて〝良いうんち〟
お通じのリズムをつくるとともに、便そのものを〝良いうんち〟にすることも意識してみましょう。良いうんちは、腸の健康のバロメーターです。心身の健康を支える腸を元気にするためにも、子ども自身がうんちの状態をチェックして、気になることや心配事があれば親に話せる環境を作ってあげることも必要です。
まずは、うんちの傾向を把握しましょう。良いうんちとは、毎日スッキリと出る匂いが少ないうんち。形はバナナのようだったり、マンガで見るようなソフトクリームのようなものが目安です。
排便が毎日ない、コロコロ、ゆるゆる、排便後もスッキリしない、とても臭い…というのは、良くないうんち。今は大丈夫でも、いつか腸内環境が悪化して、心身に悪影響が現れるかもしれません。まずは食事内容を見直すことから始めましょう。
うんちの状態を改善する食事には、きのこを取り入れるのがおすすめです。きのこには、便のかさを増し、腸を刺激して便通を促す食物繊維が豊富に含まれています。なかでも、注目したいのが、きのこに含まれる不溶性食物繊維です。この食物繊維は、腸内で有害物質や余分な脂質などを吸着して排出させる働きがあるため、腸内環境の改善に大活躍! 腸は全身の免疫細胞の約7割が集まることから、腸を整えることは免疫力を高める作用も期待できるので、きのこは冬のお通じ対策のほか、腸内環境を整えたり、体調管理に役立つなど、広く力を発揮してくれるでしょう。
きのこに豊富な不溶性食物繊維は水分を保持する力が強いので、水分と一緒に摂るのが、腸内で良いうんちになり、腸内環境を整えることにつながる条件。つまり、きのこのスープや煮物、鍋なら、きのこの食物繊維と水分が無理なく一緒に摂れるので一石二鳥!
また、きのこに含まれるナイアシンには血流を促して身体を温める働きがあるので、朝食で摂れば体温上昇がスムーズになり、内臓全体の働きがよくなります。さらに、きのこの食物繊維で腸が活性化。良いうんちがスルッと出るリズムができれば、腸内環境がよくなること間違いなしです。
もちろん、きのこのパワーはいつ取り入れてもOK。代謝を上げたり神経伝達をサポートするビタミンB群や、交感神経の働きを抑えるGABAなども含まれているので、ランチ、夕食にもぜひ取り入れてみてください。きっと、よい休息、よい排便に役立つでしょう。
スープ、うどん、鍋物も◎ 毎日のきのこ習慣で冬の腸の悩みを撃退
腸内環境を整えるためには、日々の積み重ねが大事です。気になるときだけきのこをたくさん食べるより、毎日1食きのこのメニューを取り入れるほうが断然効果的。
食が細い子どもには、牛乳や豆乳を加えてポタージュにしてみたり、具を細かく刻んでミネストローネにしてみるのもいいアイデア。肉や魚介、大豆食品、卵、乳製品などのタンパク源、他の野菜や海藻などと組み合わせて、味噌汁、うどんやそば、スープパスタ、鍋物の具にきのこを使えば、栄養バランス抜群のメニューに!
何より、楽しく食事をとることで自律神経のバランスも整い、お通じにもよい影響を及ぼします。「お通じにいいから!」と、無理矢理食べさせるのではなく、子どもが喜んで食べられるよう、好きなメニューにきのこをプラスするなどの工夫をしてみましょう。
運動不足が気になる場合は、ヨガやストレッチ教室の配信動画をお手本に、みんなでチャレンジしてみるのも楽しそうですね!
【PICK UP!冬の腸すっきりレシピ】
参考文献
- ・特定非営利活動法人日本トイレ研究所,全国の小学校1~6年の子どもを持つ保護者 (25〜59歳) 1584名に調査 子どもの生活習慣および保護者の意識に関する調査,2019年
- ・「生活衛生32(3)」中学生の排便傾向と食生活に関する意識について
- ・「栄養学雑誌49(6)」高校生の体型認識と生活習慣
- ・e-ヘルスネット「便秘と食事」
- ・根来秀行,「毛細血管」は増やすが勝ち,集英社,2016年
- ・則岡孝子,改訂新版 栄養成分の事典,新星出版社,2010年
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