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増える「痩せたい願望」と「新型栄養失調」
子どもの未来を守る食習慣を身につけよう!

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「痩せたい願望」&「新型栄養失調」の子どもが増えている!

数年前、〝痩せすぎモデル〟が世界中で話題になったのを覚えている方も多いのではないでしょうか? メディアに登場するモデルは若い女性に多大な影響を与えることから、極端なダイエットをする若者の増加が問題となり、フランスでは極端に痩せているモデルの雇用を禁止する法律が施行されるまでになりました。

実は、日本でも、若者の痩せたい願望や子どもの「新型栄養失調」の増加が問題となっています。首都圏の小学4~6年生を対象に行われた調査では、女児の約60%、男児の約40%が痩せたいと思っており、その背景には「人からどう思われるかが気になる」「カッコイイと言われたい」など、他人の目を気にする心理が隠れているようです。

中高生の体格調査では、女児の痩せ傾向は14歳で約3%、17歳で約2%とそれほど多く感じられないかもしれませんが、20代になると約20%が実際に痩せているという結果が出ています。

さらに、摂取エネルギーは足りているのに、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が不足している「新型栄養失調」も深刻な問題です。直近3日間の子どもが食べた料理の食材と分量についての調査によると、83%の子どもが「炭水化物」や「タンパク質」「脂質」の三大栄養素は足りているのに、ビタミン、ミネラル、食物繊維はあまり摂取できていませんでした。つまり、83%もの子どもが、新型栄養失調のリスクにさらされた状態なのです。

新型栄養失調は、普通に食べているつもりでも起こります。「朝食抜き」「米は食べない」、または「パンだけ」「おにぎりだけ」「カップ麺だけ」、または「買ってきた唐揚げやフライを毎日食べる」など、偏った食事を続けていると、誰でも新型栄養失調になるリスクが高まります。

例えば、親の帰宅時間が遅く、自分で夕食を調達して1人で食べることが多い子どもは、食べることを楽しめないかもしれません。栄養バランスにまで気が回らず、栄養が偏りがちになるでしょう。そこへ「痩せたい願望」が重なれば、こっそり食事を抜いてしまったり、極端な食事制限をしてしまう可能性も…。子どもの新型栄養失調の落とし穴は、よくある日常に潜んでいるのです。

また、昨年は、配膳によるコロナ感染のリスクを減らために、やむえず「簡易給食」を取り入れた自治体もあります。丼、麺など1品メニューや、コッペパン、牛乳、フルーツゼリーだけという献立がニュースに取り上げられたこともありました。エネルギー量は満たしているものの栄養バランスを満たしきれず、家庭での食事でフォローするように注意を促す自治体も…。現在では、通常給食に戻っていても、状況次第では給食に再び影響が出るかもしれません。
ちゃんと食べて休息も取っているはずなのに、疲れやすい、風邪を引きやすい、肩がこる、眠れない、イライラしがち…という子どもは、気づかないうちに栄養が不足しているかもしれません。「野菜やきのこは十分食べているか」「肉や魚だけでなく、乳製品や大豆食品も食べているか」など、食事内容を見直してあげましょう。

成長期の栄養不足は、大人になって深刻な健康被害を招く恐れが…

もし、「子どもの頃に栄養が足りていなくても、大人になれば一緒でしょ?」と思っているなら、それは大きな誤解です。

特に女児の場合、成長期に極端なダイエットを続け、体脂肪が15%以下になると、女性ホルモンの分泌量が低下し、月経異常の確率が格段にアップし、初潮が遅れるリスクが高まります。さらに、体脂肪が10%を下回るとほぼ100%の確率で無月経に。こうした症状は、ダイエットを続ける人に限らず、ハードなスポーツを続ける女性にも多く見られ、この状態が長く続くと、大人になって不妊に悩むことも…。

さらに、女性ホルモンには骨の分解を抑える働きもあるため、分泌量の不足が続くと骨密度が低下して骨折しやすくなる骨粗しょう症を引き起こします。骨の成長は女性の場合は20歳でストップするので、成長期に丈夫な骨をつくっておくことが何より大事! そのため、骨づくりに欠かせないカルシウムやビタミンDなどのこまめな補給が必要なのです。

また、女児に限らず、成長期の栄養不足は、疲労、便秘、不眠、免疫力の低下、集中力の低下といった症状を引き起こすことから、学校生活に支障をきたし、学力低下や不登校の原因に。さらに長引くと、脳や神経、身体組織の成長が停滞し、低身長、拒食症、過食症、うつ病、引きこもりになるケースも珍しくありません。身体だけでなく精神の健康が損なわれると、本人はもちろん、家族にとっても辛い状況が続きます。

食事や栄養の問題は、間違った意識と間違った食事の積み重ねによって起こります。予防のためには、幼少期から食事に対する正しい意識を身に付けることが大切。

すでにダイエットを意識しはじめているお子さんには「栄養不足によって体脂肪が増えやすくなる」、「食べる量を減らすのではなく、バランスよく食べることで太りにくくなる」など、食べることがダイエットにつながるということを教えてあげましょう。

新型栄養失調の兆候があるお子さんの場合は、できるだけ一緒に食事をとり、子どもが好きなメニューに野菜やきのこ、海藻などをうまく盛り込んであげるのがおすすめです。

「太ったらみっともない」「もっと痩せたい」「今日は食べない…」などという言葉が飛び交う環境にいると、外見ばかりを気にして、痩せたい願望が強い子どもになってしまうかもしれません。でも、「いっぱい食べたらいっぱい遊ぼう!」「新米ごはんは美味しいね」「野菜もしっかり食べてエライね!」と、ポジティブな会話が飛び交う環境で育つと、きっと、食に興味を持ち、食べることを楽しんでいけるでしょう。日々の食卓で「バランスよく食べることで、エネルギーがスムーズにつくられて太りにくくなること」を、楽しく学んでいければ、それは子どもにとって大きな財産になるのです。

カロリーコントロールにも大活躍!きのこパワーで子どもの成長をサポート

子どもが心身ともに健やかに成長するためには、バランスのよい食事が欠かせません。
バランスのよい食事とは、

  • ①主食(糖質)= エネルギー源となるごはんや麺、パンなど
  • ②主菜(タンパク質)= 身体組織の材料となる、肉や魚介、卵や乳製品、大豆食品
  • ③副菜(ビタミン、ミネラル、食物繊維)= 身体の機能を整える野菜、きのこ、海藻、果物、種実類など

この3つが揃った食事です。

どれか1つを抜いても、どれか1つが極端に多かったり、少なかったりするのもNG!3つをバランスよく摂ることが、肥満や痩せを防ぎ、成長期の健やかな身体づくりを後押しします。
量の目安は、食べる人の手の平サイズを基準に、主食=両手に軽く、主菜=両手、副菜=片手~両手に軽く、と覚えておくとよいでしょう。

なかでも、不足しがちなビタミン、ミネラル、食物繊維は意識して強化することが大切です。そこで活躍するのがきのこ!きのこには、エネルギー代謝や筋肉づくり、神経伝達に必要なビタミンB群のほか、腸内環境を整えるのに欠かせない食物繊維がたっぷり。骨の成長に欠かせないビタミンDも含まれています。心身の成長サポートはもちろん、免疫強化、疲労対策に役立つほか、満足感がありながらカロリー控えめなので、体脂肪が気になる子どもの食事にもぴったりです。

また、イライラしたり、落ち込んだり…、精神的に不安定な子どもには「きのこ+鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウム」のメニューがオススメ。きのこの食物繊維が自律神経の集まる腸を整えることで精神の安定を助ける効果が期待できます。また、鉄や亜鉛、マグネシウムの不足は、脳内ホルモンの産生に関わる大切な栄養素です。不足した状態が長く続くと、うつ病を引き起こすこともあるので、子どものうちからこまめに補給する習慣を身に付けておきましょう。

鉄はレバーや赤身肉、小魚、貝類、卵、納豆、青菜など、亜鉛は牡蠣、牛肉、レバー、卵、チーズ、納豆など、マグネシウムはナッツ、魚介、海藻、野菜、豆類に豊富です。
例えば、きのこ納豆オムレツ、きのこと小松菜のおひたし、きのことあさりの味噌汁など、手軽な組み合わせでも、普段のメニューの栄養バランスがグンとアップします。

また、食が細い子どもには、間食を取り入れるのがオススメ。しっかり頭や身体を働かせてお腹を空かせたら、3時のおやつに野菜やきのこ、チーズを使ったホットケーキやホットサンドを。きのこのマリネ、炒めきのこなどを作り置きしておけば、チョイ足しもラクラクです!

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「食べる幸せ」を感じる環境づくりが、子どもの食習慣を育む第一歩

子どもの成長は個人差が大きく、周囲と比較する必要はありません。他の子どもと比較して、「背が低いから、もっと食べなさい!」「これは食べちゃダメ、あれもダメ」と押しつけたり、ネガティブな言葉を使い過ぎると、反発したり、将来的に反動が出て、良くない食事を好むようになることも珍しくありません。

食にまつわる感性や習慣は、簡単に変えることができない根っこのようなもの。幼いころの食卓の記憶は、心の奥にずっとあり続けます。

食べることは生きること! 食べることの大切さを知り、「食べる幸せ」を感じられる環境をつくることこそ、子どもの食習慣を育む第一歩。その中で、普段から食事の傾向や食べる量などを把握し、自然なコミュニケーションを取り続ければ、健やかな食習慣が身につくでしょう。

プロフィール
藤岡操(栄養士・フードコーディネーター)
出版社勤務を経て独立。フリーの編集者・栄養士として、雑誌や書籍にて、ダイエット、健康、筋トレなどに関する企画や、食文化、ライフスタイル企画で編集、執筆を担当。また、フードコーディネーターとしして、広告、フードカタログへのレシピ提案、料理、スタイリングも行う。

参考文献

  • ・ベネッセ教育開発センター「モノグラフ・小学生ナウ VOL.21-2」2001年
  • ・文部科学省「平成30年度 学校保険統計」
  • ・厚生労働省「平成30年度 国民健康・栄養調査」
  • ・ハウス食品「2018年9月、25~49歳で6~8歳の子を持つ女性100名、web調査」
  • ・目崎登 「女性スポーツの医学」文光堂 1997
  • ・eヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」(厚生労働省)
  • ・「栄養成分の事典」則岡孝子 新星出版社
  • 子ども

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