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クラス替え、勉強、部活動・・・進級や進学時に子どもが抱える不安への寄り添い方

2022.02.01
クラス替え、勉強、部活動・・・進級や進学時に子どもが抱える不安への寄り添い方

如月ですね。立春を過ぎれば、暦の上では春の始まりです。学校では年度末が近づき、進級・進学に伴う不安を持つ子どもが増えてくる時期です。今月は、そんな子どもの悩みを一つ一つ取り上げながら、保護者の方にできる対応方法をご紹介します。子どもたちが、笑顔で新しい学年に進んでいただければ幸いです。

■今月のTOPICS『進級・進学時に子どもが抱えやすい不安』

・友だち関係
・学習関係
・漠然とした不安
・部活動について
・2月の食事ワンポイントアドバイス ~メンタルケアにも役立つ栄養満点レシピ~

友だち関係について

進級・進学に関する友だち関係では、具体的に次のような不安が多いようです。
①仲の良い友だちと同じクラスになれるだろうか
②はじめての友だちとうまく話せるだろうか
③友だち同士の仲間に入れるだろうか
一つずつ見ていきましょう。

①仲の良い友だちと同じクラスになれるだろうか

まずはお子さんの不安な気持ちを受け止められるよう、話をする時間を取りましょう。そのうえで、進級・進学という新しい環境が、新しい人と友達になるチャンスだということを伝えてください。自分と性格の違う友だちと出会うことは視野を広げることに繋がります。思春期のこの時期は、異質で苦手だと感じていたものが自分の思い込みであることに気づき、違う側面を発見できるようになります。考え方をポジティブな方向へ導いてください。
特に、進学の時には、別の小学校の子どもと同じクラスになることに不安を感じやすいものです。違う学校文化で育った人と触れ合うことが、子どもの新しい経験になる良いきっかけであることを伝えてあげましょう。

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②はじめての友だちとうまく話せるだろうか

人見知りで、うまく新しい友達と話せないと不安に思っているお子さんには、まずは無理せずに、朝「おはよう」と隣の席の人に声を出して挨拶してみる、それができたら、「さようなら」も言ってみる、というように、話のきっかけをつくるアドバイスが効果的です。小さな一歩を積み重ねることで、少しずつ会話が広がり、無理なく話せるようになります。
「うまく話さなくても大丈夫。心が伝わるといいね。」と保護者の方がゆったりと構え、会話の中でアドバイスをしてみてください。

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③友だち同士の仲間に入れるだろうか

過去になかなか仲間に入れなかった経験のあるお子さんは特に、友だちとのかかわりが苦手・うまく話せない・雰囲気を掴みづらい、等と思ってしまい、不安が増します。しかし、環境の変化は子ども自身の考え方を変えたり、友だちに与えるイメージを変えたりしやすく、新しい関係を構築するチャンスでもあります。
そのためにもまずは、子ども自身が自分の特性に目を向けることが大切です。例えば「友達が欲しいけど、友だちの話している世界が掴みずらい。そのことでいつもトラブルになっていた。」等。特性を思い返してみた後に、「これからは、どうしたいのか」を考えます。無理に友だちはいらないのか、こういう自分に合う友だちがいるのか見つけたいのか、もしくは、自分の思うことを考えなしに言ってしまう傾向があるから、これからは、少し考えてから話すようにしよう、なのか・・・。今までの自分から、新しい自分へ変わるチャンスを最大限活かしていただくことで、自然と不安も和らいでいくと思います。

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学習関係について

学習関係では、進級・進学と共に新しい教科が増えたり、内容が難しくなったりすることに不安を感じる子どもが多いようです。
例えば小学生では、学年が上がるにつれて「プログラミング」「家庭科」「英語」などの教科が始まります。初めてのことに苦手意識を持つ子どももいますが、どれも今まで学習してきた続きの学習として、楽しみながら始める意識で臨めるとよいと思います。

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実際、プログラミングは手順書と同じで落ちなく順序立てて組み立てていきますが、一つ抜けると思うように動かないところも楽しみながら学習できるので、子ども達には好評です。また家庭科も初めての裁縫や初めての料理を楽しみながら行う子どもが多いですし、英語も、今は1年生から耳で覚える学習が始まっているので、実際に書く授業が始まっても抵抗感を感じずに始めやすいです。
一方、中学校に進学する時には学習環境や内容も大きく変わります。教科担任制になったり、単元ごとにあったテストが学期ごとになったり、学習のスピードが上がるので、ノートの取り方が子ども任せになったりします。塾に通って学習内容を先取りする方法もありますが、まずは個人で教科書を一読しておくなど、簡単でも「予習」の習慣をつけることで学習についていきやすくなります。今から杞憂するより、あたってみると案外すんなりと新しい環境に適応するものです。

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大切なことは、進級や入学して不安なことがあったら、担任や保護者、友だちに話せるようになっていることです。お家の方は、様子をよく見て困っていることがありそうでしたら、相談に乗ってあげてください。

漠然とした不安について

兄弟がいる子どもの場合は、上の学年のことや中学校の事情等の情報が入りますが、一人っ子や長子の場合は、進級や進学は未知の世界です。噂は入ってきますが、実態がつかめないため漠然とした不安を抱えることが多くなります。

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そのような時は、お家の方が、友だちや先輩の保護者の方に聞いて多くの安心できる情報を伝えることをお勧めします。また、進学の場合、保護者の方の中学校時代のエピソードを伝えることも不安を和らげる一つです。
いろいろな話をしたり、多くの情報を伝えたりすることで、お子さん自身のイメージを膨らませることで、自然と不安を和らげることができます。

部活動について

これは特に、中学校に進学する子どもに見られる不安です。やりたい部活が決まっていたり、どんな部活があるのだろうと期待に胸を膨らませていたりする場合は良いのですが、先輩は怖くないかな、うまくプレーできるかなと不安をもっている場合もあります。小学校では上級生と下級生の関係はフレンドリーでしたが、特に運動系の部活では、先輩後輩の関係が厳しかったり、あいさつの仕方や練習の仕方が決められていたりします。

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この時に大切なのは、噂でなく、確かな情報を伝えることです。できれば保護者の方が、先輩保護者の方々にリサーチして、安心できる具体的な情報を伝えてあげましょう。また、保護者の方の感情を子どもは敏感に感じ取りますので、保護者の方がゆったりと構えていることも大切です。不安は、希望の裏返し。希望があるからこそ不安が生まれてくると考え、前向きな声掛けや、不安を素直に話せる環境をつくってあげましょう。

最後に

新しい環境に入る不安は、どんなお子さんでも持っています。不安と共に希望も持てるように、不安の見方を変えてみるのも一つです。
例えば、「中学校の勉強は難しい。」を「中学生になって難しい問題も考えられるようになった。」や、「部活は、厳しくて辛い。」を「部活は、自分の能力を開発し、鍛錬できる。」等。お子さんと一緒に話をしながら、考え方の変換をするように試みてください。

最後に、ある女の子のエピソードをご紹介します。

その子は、4年生から5年生でのクラス替えで、仲の良かった友だちと別れ一人だけ別のクラスになりました。女子が群れるのは好きではないそうで、特に親しい友達は作っていない様子でした。ある日、クラスのお楽しみ会でゲームをした時、罰ゲームが物まねをすることになっていました。担任やクラスの友だちは、その子はまじめでふざけるイメージがなかったので、物まねの罰ゲームは、困ってしまうのではないかと心配したのですが、実際に罰ゲームの番になった時には、スッと前に出て、2年生の時の先生の物まねをし、大好評でした。それからは、周りの友だちも気軽に声をかけるようになり、その子自身も友だちとのかかわりが増えていったようです。

この出来事は、「自己開示」の大切さを表していると思います。できる範囲で自分を見せることで、他の人はその人のことを理解していきます。そうすると、他の人は親近感がわいたり、気づいたことをフィードバックしてくれたりするようになり、友だち関係が深くなり広がっていきます。その一歩は大きな一歩かもしれませんが、できるところから「自己開示」をしていくことが、よい関係づくりに繋がっていくと思います。
思春期は多感な時期ですが、保護者は不安な気持ちを受け止めてあげたり、安心できる具体的な情報を伝えてあげることで、サポートしていただければと思います。

2月の食事 ワンポイントアドバイス ~メンタルケアにも役立つ栄養満点レシピ~

冬から春に向かう2月は不安定な気候から心身の不調が起こりやすい季節です。そのうえお子さんは進級や進学への不安も重なりますので、食事からできるメンタルケアを意識していきましょう。
中でも心身の不調を防ぐポイントは、腸を整えること。腸は全身の約7割もの免疫細胞が存在するほか、自律神経が多く集まり「脳」と密接な関係を持っています。例えば緊張するとお腹が痛くなることがありますが、反対に腸を整えておくことで、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンがつくられ、前向きな気持ちや、やる気に繋がることが分かっています。
きのこには、腸に溜まった老廃物の排出を促す食物繊維が豊富なだけでなく、腸に住む善玉菌が優位な環境へと後押しする“菌100%”の菌食材なので、腸からの健康づくりにピッタリな食材です。また、火が通りやすいうえに、ビタミンやミネラルが豊富なのもうれしいポイント。
美味しい料理を囲んでご家族でいろいろな会話をしながら、ほっと気持ちの安らぐ楽しい時間をお過ごしください。
(監修:ホクト管理栄養士 德田美咲)

今月は、進級への不安についてお答えしました。気温は低いですが、日の光は、春を思わせてくれます。お元気で、お過ごしください。それでは、3月にお会いしましょう。

profile

望月 保美

(ガイダンスカウンセラー、上級教育カウンセラー、特別支援教育士)
東京都の元小学校教諭。
現在はカウンセラーとして小学校を訪問し、授業の様子や児童の活動を観察して子どもの特性やその対応方法、指導法を先生方に伝える活動を行っている。
また、高等学校では友人同士の関わり活動を通して、友人や自分を理解する方法について演習等も実施。
教育カウンセラーを目指す方への学習サポートも行っている。

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