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学習を身につけるには?クラス替えをする理由は?年度末に増える疑問にお答えします

2022.03.01
学習を身につけるには?クラス替えをする理由は?年度末に増える疑問にお答えします

陽射しが明るくなり、窓越しに暖かさが感じられるようになりました。3月、学校では修了式が行われます。
この1年間は、コロナの蔓延が続いたこと、東京オリンピックの開催、北京冬季オリンピックの開催など例年になく多くの出来事がありました。その中で子ども達は苦しい思いもしたと思いますが、心も体も大きく成長したことと思います。
今回は、そんな1年のまとめの時期に聞かれる質問にお答えしていきます。

■今月のTOPICS

・クラス替えは子どもの成長の機会?クラス替えをする理由とは
・一年間の学習が身についていないのでは?そんな不安を感じたときに行いたいこと
・3月の食事ワンポイントアドバイス~新しいステージに向けてエネルギーをチャージ!~

Q.私の子どもの学校では毎年クラス替えがあり、集団に馴染むのが苦手な子どもは仲良くなった友だちと別れるのがつらいと言っています。なぜ、どんな基準で、クラス替えをするのでしょうか。また、子どもへのアドバイスはどのようにすればよいでしょうか。

A.クラス替えは、お子さんにとって一大事ですね。クラス替えについて、【なぜクラス替えをするのか】【クラス替えをするときの分け方】【お子さんへのアドバイス】の3点からお話ししたいと思います。

なぜクラス替えをするのか

お子さんからしたら、折角仲良くなった友だちと別れ、関係を一から構築しなければならないのは辛いことです。しかし、同じクラスで何年も人間関係が変わらないままでいると、友だち関係がマンネリ化し、新たな関係性を作りにくくします。また、活性化しない関係が続くといじめにつながりかねません。そのため、人為的にクラス替えをしています。
また、クラス替えにはお子さんの成長に役立つ面もあります。新たな人との関係を結ぶには、コミュニケーション能力も必要になりますので、クラス替えを通じてお子さんたちはコミュニケーションの方法も自然と学習していきます。新しい学級になったとき、担任の先生は必ずまず初めに、友だちの名前を覚えるためのゲームや構成的グループエンカウンターの時間をつくって関係づくりを支援します。この、新しく人間関係を構築する訓練を繰り返すことで、大人になってから「自分一人の力で」新しい環境でも関係作りができるようになるのです。クラス替えを通して、お子さんたちはその準備をしていきます。

クラス替えをするときの分け方

では、どのようなことに配慮してクラス替えは行われているのでしょうか。クラス替えは次の基準で決められています。

【人数】各学級の人数や男女の割合が均等になるようにします
【能力】学力、運動能力が均等になるようにします。これは、様々な力の子ども達が影響しあうことで互いの能力の向上につながるという学習理論に基づいています。
【子ども同士の相性】助け合える関係が築けている子ども同士は同じクラスにしたり、喧嘩が絶えないと予想される子ども同士は別のクラスに分けたりします
【地域】住居の地域が固まらないように配慮します
【身長】身長が偏らないように配慮します ※小学生の場合、身長の差が活動の速度や質に影響することがあるからです。

以上を考慮して、担任や専科の先生、学年に関係した先生によって決定していきます。もしも心配なことがある場合は担任の先生に相談するのも一つの方法です。春休みにはいる頃にクラスを決定していく場合が多いので、3月上旬~中旬までに相談すると良いでしょう。お一人で抱えずに、まずは相談してみることをおすすめします。

お子さんへのアドバイス

お子さんにとっては、折角築いた関係が崩れかねないストレスのかかる行事ですが、ぜひ、成長のために必要なことと考え、クラス替え=友達と別れる辛いこと、ではなく、新たな友達を見つける良い機会であるとポジティブに考えられるように保護者の方がサポートしてあげてください。
とはいえ、人見知りなお子さんや新しい環境が苦手なお子さんもいると思います。関係を築くためにお試しいただきたいアドバイスは2月の記事でご紹介していますので、ぜひご参考になさってください。【2月の記事を読む>
ストレスは人を成長させると言われています。過重なストレスは人を壊してしまいますが、適度なストレスは成長するために必要です。無理は禁物ですが、どうぞ、ポジティブ思考で背中を押してあげてください。

Q.学年末を迎えましたが、うちの子どもは今の学年で身に付けるべきことが身についていないのではと不安になります。理解できないまま進級すると最初から躓いてしまうように思うのですが、どうすればよいでしょうか。

A.今の学年で理解できていない学習内容があると思うと心配になりますね。ただ、1年かけて学習したものを数日で取り戻すのは大変難しく、焦って子どもに勉強を強いてもかえって勉強が嫌になってしまうので、まずは、楽しみながら学習内容に触れることを考えていきましょう。また、学年によって差があるので一言では言えませんが、新しい学年の学習は、基本的に前の学年で学習したことの復習から始まるので、焦らなくても大丈夫です。「面白いな」と興味をもって学習すれば、1年かかった内容も短期間で自分の物にできますので、まずは分かる楽しさ、知る面白さを体験させてあげてください。

今からできることとして、例えば、ゲームを活用した方法があります。今はカードゲームやテレビゲーム、インターネットを通じたゲームなど、ゲームを通じて様々に学習できるアイテムがあります。大好きなゲームならお子さんも嫌いになりにくいですし、できたら保護者の方も一緒に遊んでいただくことで、より楽しみながら取り組めると思います。そうすることで、暗記するよりずっと楽しんで学習ができますし、覚えたことも忘れにくくなります。

県名や都市名、産物を覚えるゲームならば、ゲームを通して日本の全体像がつかめ、日本各地のことが分かってきます。また、日本のことがわかったことで、世界の地名に、産業に、歴史に・・・と興味が広がっていったり、そのことを探求するようになったりすることもあります。ゲームをしながら漢字の読み方を覚えることにつながるかもしれません。ゲームを通して意見の交換が始まり、考えたことを口に出したり、コミュニケーションの取り方を身に着けたりすることにも繋がります。

また、苦手教科第一位の「算数」ですが、経験上「かけ算の九九」が身について入ればどんな問題でもコツをつかめれば解けるようになります。九九が苦手というお子さんは、まずは保護者の方にも協力いただき「かけ算の九九」を覚えていきましょう。
また算数は、公式を覚えるのでなく、理屈が分かると解ける場合が多くあります。例えば躓くお子さんが多い「速さ」ですが、公式を暗記しようと思うと混乱してしまいますが、速さは一定の速度(単位時間)でどのくらいの道のりを進むか、なので、道のりを時間で割ると求められるとわかります。公式を覚えなくても道理が分かっていれば解けるので、そこを大切にしつつ、練習を重ねることで速く正確に解けるようになります。

また、すべての学習のベースとして、語彙を豊富にすることがありますが、そのためには読書が一番です。言葉を多く知っていると文章の読解がしやすくなりますし、思考を助けることに繋がります。読書が苦手、というお子さんへのアプローチについては10月の記事でご紹介していますので、よければ参考になさってください。【10月の記事を読む>

学年末にもらう成績表は今の学習が理解できたかで評価されますが、お子さんの長い人生において、今の評価が全てではありません。学習内容をいかに自分の物にできるかが大切です。それには、本人のやる気、興味を喚起することが一番大切です。

確かに、各学年で学習する内容は決まっています。しかし、例えば中学1年生の数学の学習や社会科の地理、歴史、理科は小学校で学んだことを復習した上で、そこに高度な内容を加えていくような内容です。ですから、中学生で学ぶことは小学生で学ぶ基礎的な部分の繰り返しでもあるので、今必ずしも全てを暗記させる必要はないと思います。いずれまた学ぶ時が訪れると思うと気分が楽になるのではないでしょうか。
それよりも小学生のうちは、多くの体験をして自分の興味あるものを見つけることが大切な時期だと思います。一見勉強とかけ離れているような事でもやってみて、うまくいかなかったら、もう一度方法を考え直して再度チャレンジする、こうしたことが、考える力を養います。是非、多くの体験をさせてあげてください。

3月の食事 ワンポイントアドバイス~新しいステージに向けてエネルギーをチャージ!~

期待と不安が入り混じる3月。新しい環境へ踏み出す後押しとなるよう、食卓からも元気を応援していきましょう!
身体が作られている最中である「成長期」のお子様は、何よりもまず、栄養の不足や過度な偏りが起こらないことが大切です。エネルギー源となる糖質や、元気な身体の土台となる筋肉や骨をつくる糖質・タンパク質・脂質と共に、代謝に欠かせないビタミン類を積極的にとりましょう。中でもビタミンB群の一つ「ビタミンB2」は成長期に欠かせない栄養素としても有名です。
きのこにはビタミンB群、特にエネルギーチャージに役立つビタミンB1や身体づくりに欠かせないビタミンB2が豊富であり、さらに骨づくりをサポートするビタミンDも豊富なので、丈夫な身体づくりに積極的に取り入れたい食材です。また、きのこに豊富な食物繊維は腸を整えることで免疫を整えたり、自律神経を整えてメンタルの安定を助けたりする効果も期待できるので、新しい環境にも負けない元気な身体を応援します。
食卓を囲んでほっとするひと時を共有することで、心身ともにエネルギーを蓄えていきましょう。
(監修:ホクト管理栄養士 德田美咲)

食事に気を付けるとともに、ポジティブな考え方を心がけると、心身の健康だけでなく免疫力の向上にもよいのだそうです。スタートの春を待ちつつ、心や体の栄養を十分に蓄えていただければ幸いです。

profile

望月 保美

(ガイダンスカウンセラー、上級教育カウンセラー、特別支援教育士)
東京都の元小学校教諭。
現在はカウンセラーとして小学校を訪問し、授業の様子や児童の活動を観察して子どもの特性やその対応方法、指導法を先生方に伝える活動を行っている。
また、高等学校では友人同士の関わり活動を通して、友人や自分を理解する方法について演習等も実施。
教育カウンセラーを目指す方への学習サポートも行っている。

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