脳の活性化に

きのこに豊富に含まれるエルゴチオネインで認知機能改善
きのこにはエルゴチオネインという抗酸化作用を持つアミノ酸が豊富に含まれています。エルゴチオネインは認知症のリスクを高める「活性酸素」を除去することができる栄養素。エルゴチオネインを豊富に含むきのこのサプリを摂取することにより、中高年者の記憶力、注意力を維持できることが報告されています。また、軽症記憶障害患者の血中のエルゴチオネイン濃度が健常者に比べて低いという研究報告があるため、エルゴチオネインの認知症予防効果が伺えます。エルゴチオネインはヒトの体内では作られないため、食事から取り入れる必要があります。
食物繊維やビタミンB群、GABAもお役立ち
「脳腸相関」という言葉があるように、脳と深く関わり合っている「腸」。きのこには、この腸を整える食物繊維が豊富に含まれています。また、きのこに豊富なビタミンB群も脳の働きに欠かせない栄養素。たとえば、ビタミンB1は脳の唯一のエネルギー源である“糖”を代謝し、脳にエネルギーを供給する働きがあります。またナイアシン(ビタミンB3)の十分な摂取は、うつ病や統合失調症を改善に導くという動物実験の結果も。ナイアシン不足を防ぐことで、“幸せホルモン”であるセロトニンを増やす効果もあるといわれています。さらに、きのこに豊富なアミノ酸の一種であるGABAは、交感神経の働きを抑えて気持ちを和らげる効果も期待されています。
認知症治療効果をもつきのこ「ヤマブシタケ」
ヤマブシタケは中国では400年前から食されており、生薬としても親しまれてきました。また、ヤマブシタケのサプリを摂取することで、軽症記憶障害患者の認知機能が改善されることが示されています 。この改善効果には、ヤマブシタケに特徴的に含まれる成分「ヘリセノン」が関与しており、神経細胞をサポートするはたらきがあると考えられています。
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