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“子どもの忘れ物” 原因とサポート術とは?

2021.06.01
“子どもの忘れ物” 原因とサポート術とは?

初めまして、ガイダンスカウンセラーの望月保美と申します。東京都の小学校で長い間教員をしていました。現在は、学んできたことを基にカウンセリングをしたり、心理士として学校を訪問したりしています。
こちらのコラムでは、季節ごとに子ども達に起こりやすい身体・心の変化に対して、保護者の方が抱きやすい不安や心配事を取り上げ、アドバイスをしていければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
子ども達、保護者の皆様も、コロナウイルスの猛威が収まらず、心配な日々を過ごされていることと思います。
そのような中、6月にはいり、学校ではクラス替えした学級もまとまりを見せ始めています。そこで気になってくるのが、自分の子どもの学校生活のことではないでしょうか。

Q. 新学年が始まり、ゴールデンウイーク、学校行事と息つく間もなく今まで来てしまいましたが、気づくと学校から渡されている忘れ物カード(忘れ物をするたびに担任から渡されるカード)がいっぱいになっていました。親としては、気を付けているつもりですが、どうしたらよいのでしょう。

A. 忘れ物は、親の目が行き届いていないような印象にもつながってしまいますし、困っておられる方も多いです。ついつい口煩く注意したり、手伝って用意してしまったり、という場合が多いのですが、根本の解決にはなりません。

また、忘れ物は、叱ってもそれほど効き目がありません。本人が、忘れない、必要だと思って初めて減ってきます。
まず、忘れ物をする原因を考えてみましょう。

  1. 本人の必要感が薄い
  2. 連絡帳を書いてこない。
  3. 物の整理が苦手。などが、考えられます。

「必要性」を感じるためには意味や目的、動機が必要

まず、「1.本人の必要感が薄い。」についてですが、必要感が薄いのは、本人の興味関心が向いていないことに原因があります。例えば、遠足の日に“楽しみな”お弁当を忘れる子どもはあまりいませんよね。その反対で、宿題や持ち物は、本人の必要感がないために、意識に残っていない可能性があります。では、意識に残すには、どうしたらよいでしょうか。
 忘れ物を記録するカードを活用することでしょうか。叱ることでしょうか。いいえ、どれも対症療法で、根本の解決にはなりません。
個人差がありますので、解決策を見出すのは難しいことですが、例えば、計算練習すると計算が早くなって遠足のおやつを買いに行くときに便利だよ。言葉の意味が分かると読書をするときにお話の内容が深く解るよ。などと話して、一緒に宿題をやってみたり、本を一文ずつお子さんと交互に音読したりして「動機付け」をしてあげるのもよいかもしれません。このようなことを通して、一つ一つのことに目的や必要性を感じさせてあげることで、解決につながると思います。

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「連絡帳」の書き漏れは環境の変化に慣れてない証拠?

次に、「2.連絡帳を書いてこない。」についてですが、学級だよりや学年だよりに行事などの用意するものは書かれていますが、日々の持ち物は、連絡帳に書いてきますね。書いていないと忘れ物の原因にもなります。では、どうして連絡帳に書いてないのでしょうか。

実は、小学校低学年の時は、一斉に書いて担任が点検する場合が多いため、それほど書き忘れることはないのですが、小学校中学年や高学年になると隙間の時間で書かなくてはいけなくなるため、うまく対応できずに書き漏らしてしまうという事が起こります。お子さんにいつ連絡帳を書くのか、様子を聞いてみるのも良いと思います。

もしかしたら、進級に伴う学校生活の変化に慣れていないのかもしれません。行動が早い子はすぐに適応できますが、ゆっくり作業する子は書く時間を見つけられなかったり、先生が指示している時間では書ききれなかったりします。また、この中には、文字を書くことが苦手であったり、視線の移動がゆっくりであったり、一時的に記憶して書くことが苦手であったりする子どももいます。例えば、学校指定の連絡帳でなくても書きやすい連絡帳もありますので、お子さんの実態をよく観察してお子さんに合ったものを用意するのもよいかもしれません。

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学校生活の中ですることの構造化をすると生活しやすくなりますので、もし忘れ物について不安がある場合には、どのように連絡帳を書く隙間の時間を見つけるのか、なども親子で話し合うとよいかもしれません。本来でしたら、学校ですることのようにも思いますが、できていないことを叱るより、一緒に方法を見つけていくようにすることで、子どもの良い習慣に繋がったり、必要性を感じることにもつながると思います。

大人になってからも役立つ!「整理整頓」を身に着けるサポート法

最後に、「3. 物の整理が苦手。」についてですが、整理整頓が苦手なのは、注意が集中しにくかったり、使ったものをもとに戻す習慣がないことが、原因になっていることが多いです。
解決方法としては、「見える化」することで、どこに何を入れるか、をわかるようにし、それを習慣づけることが大切だと思います。
例えば、学校の机の中でしたら、学校に置いておく物を机の引き出し(道具箱のところもあります)の底に正しい位置が示された写真や図を張り付けておくと視覚に訴えてその上に物を置くようになります。これはご家庭でも同じで、何をどこに片付ければよいのか、言葉ではなく、写真などを用いながら視覚的に理解させ習慣づけすることで、整理整頓が自然とできるようになります。

 また、学校からのプリントを連絡袋に入れて来ないで、学校の机の中に置いてくる。又は、ランドセルの中に突っ込んでくる。というようなこともあるかもしれません。この場合には、連絡袋は、連絡帳を入れる所、お手紙は、別のクリアファイル、というように分けて、しまう場所を明確化してあげることや、ファイルの表には、入れる物のイラストを描いて(シールでもよいです。)あげるのも良いでしょう。しかし、なんでも仕分けしようと欲張ると煩雑になるので、2.3種類程度がおすすめです。または、連絡帳以外の物を入れるファイルを一つにして、帰ってから一緒に整理をする方法もあります。

 初めは大変ですが、ぜひ、身に付くまで毎日付き合ってください。学校で指導することも含まれていますが、個別の対応で一番強く影響力があるのは、お家の方です。また、整理整頓は、自分の使い勝手が良いように構造化できることが大切です。その方法を見出せるまで、身に付けるまで続けることが、大人になって生活しやすくなると考えます。

Q. 最近、学校へ行くとき「行ってきます。」の声に元気がなくなっているようです。何があったのか心配です。

A. 声の調子で、お子さんの学校での様子を心配されていることは、日々、細やかにお子さんの様子を見ていられるということで素晴らしいです。
新学期が始まり、進級した嬉しい気持ちから2ヵ月が過ぎて、疲れが出てきたのかもしれません。また、天候の関係で、学校に行くことに気が進まない可能性も考えられます。また、コロナのために三密を避ける生活を強いられ、思うように友だちとのかかわりが持てないことや、感染への心配を抱えているお子さんもいらっしゃるかもしれません。

そのようなときには、まずは、当たり前かもしれませんが、お子さんの様子(帰宅した時の様子、帰宅後の友達関係、就寝の際の様子)を観察し、「何か元気がないような気がするけど、何かあったの。」と聞いてみてください。
早めに変化をキャッチし、対応することが大切です。

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子ども達の中には、湿度と気温の上がる梅雨時は、外で遊べずにイライラする子が多くなります。中には、疲れやすく、ぐったりと机に伏している子もいます。成長期の子どもは身体の調整機能がしっかりと出来上がっていないため、蒸し蒸しと暑い日は身体が順応せず、どうしても不調を感じる子が多くなる傾向があり、そこに加えて、天候と気持ちは密接に関係しますので、不調から元気のなさに繋がることがあります。

また、給食の残菜が増えるのも6月。天候や気持ちのせいで食欲が落ちる子どもも多いようです。しかし、成長期の子どもたちにとって毎日の食事、とくに栄養士さんによって栄養バランスの考えられている給食はしっかりと食べてほしいですね。保護者の方にもお子さんの体調を観察いただき、疲れていれば睡眠を多めにとる、お家での食事を見直すといった配慮をしてあげるのもよいと思います。

6月の食事ワンポイントアドバイス

蒸し暑い毎日の中で、子ども達がいつもよりも元気がない・・そんなときには、味付けをするときにお酢やソース、こしょうなど、酸味や辛味といった味のアクセントをお子さんの味覚の発達に合わせ、少しだけ、加えることがオススメです。味覚や嗅覚を始めとする五感を刺激することで食欲がそそられやすくなります。また、主食とおかずが一緒になっている丼物や麺類は1品で栄養バランスが整いやすくなるので、量を食べられないときにも重宝しますよ。

また、この時期は不安定な天候から自律神経が乱れ、イライラしたり、気持ちが不安定になりやすいといわれていますが、自律神経が集まる腸内環境を整えることで不調の改善に役立ちます。腸をキレイにする食物繊維が豊富なきのこや野菜を多めに取り入れて、心も身体もリフレッシュしましょう!
(監修:ホクト管理栄養士 德田美咲)

子育ては、際限がなく本当に大変ですね。仕事と子育て、家庭仕事に追われる日々の中では、自分の時間が欲しいと思うことも多いと思います。そんなときはぜひ、肩の力を抜いてください。時には、手抜きもありです。なんでも完璧にしようとして、大人がイライラしているよりも、ニコニコ見守っていると子どもは自らから育っていきますよ。では、また7月に!

profile

望月 保美

(ガイダンスカウンセラー、上級教育カウンセラー、特別支援教育士)
東京都の元小学校教諭。
現在はカウンセラーとして小学校を訪問し、授業の様子や児童の活動を観察して子どもの特性やその対応方法、指導法を先生方に伝える活動を行っている。
また、高等学校では友人同士の関わり活動を通して、友人や自分を理解する方法について演習等も実施。
教育カウンセラーを目指す方への学習サポートも行っている。

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