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褒めることは良いこと、叱ることは悪いこと?子どもの理解を促し、やる気にさせる「伝え方」

2023.02.01
褒めることは良いこと、叱ることは悪いこと?子どもの理解を促し、やる気にさせる「伝え方」

2月に入りました。空気は冷たいですが、陽ざしは明るさを増し、春が近づいていることを感じます。もうすぐ今の学年が終わり、新たな学年も始まる時期ですね。
進級した後のことを考えると、今の子どもの学習や生活習慣について不安になるという方も多いのではないでしょうか。不安になるとつい、子どもに対して口を出したくなりますが、親の思いを子どもが素直に受け取って理解する、というのは簡単ではありません。今回は、子どもの理解を促し、やる気にさせる「伝え方」についてご紹介します。

■今月のTOPICS

●「子どもは褒めて育てろ」その本当の意味とは?
●子どもをやる気にさせる「伝え方」
●子どもの失敗は叱るべき?悪かった点を理解させるには
●時には「叱ること」も必要。叱るべき2つの場合
●2月の食事 ワンポイントアドバイス~保護者の方もホッと一息!不安や焦りを和らげる菌活レシピ~

「子どもは褒めて育てろ」その本当の意味とは?

「子どもは褒めて育てろ」とよく耳にします。しかし、何をしても「いい子だね。」と肯定すればよいのでしょうか。そうではなく、ここでの「褒める」とは子どものしたことを「認める」ことだと思います。そして、子どもに「何が良かったか」を「具体的に伝える」ことが大切だと思います。

挨拶を例にとってみましょう。毎朝、気持ちの良い挨拶をする子どもがいるとします。その子を褒めるとき、何と声をかけますか?きっと「毎日ご挨拶をしてくれますね。朝から気持ちが良いです。」などと伝えるのではないでしょうか。これは広義では「褒める」ことですが、詳しくみると「毎日声を出して挨拶している」ことを認め、こちらも「気持ちが良い」ことを伝えているのです。

認めることは、アドラー心理学の中でも重要な「勇気づけ」に繋がります。「勇気づけ」とは、対人関係上の困難を乗り越え、成長や変化をするための活力を得ることで、子どもが考え、視野を広げ、成長していくうえで重要な要素でもあります。
声をかけられた子どもは、「毎朝挨拶をする」という行動が認められました。するとその子どもは、挨拶することが一般化していきます。挨拶をすると自分は気持ちが良い→相手も気持ちが良い→他の人にも声を出して挨拶をしよう、と考えられるようになります。「おはようございます。」だけでなく、「こんにちは。」「こんばんは。」「さようなら」「ありがとう」と広がりをもっていきます。

子どもをやる気にさせる「伝え方」

子どもの行いで良かったことを認めた後は、具体的に“何がよかったか”を子どもに伝えましょう。前段の例でいうと、「私は○○ちゃんが、大きな声で挨拶しているのを見ると元気が出るよ。」などですし、例えば、いつも宿題をしない子が、たまたま学校から帰ってきてすぐに宿題を始めた時には「大好きなゲームよりも先に宿題をしていて、お母さんは嬉しいな。」とすかさず伝えます。子どもは具体的に伝えられることで何が良かったのかを理解することができますし、どうすればよいのかを理解することで、自発的に行動できるようになります。また、「周りが自分のことをよく見てくれている」と感じることができ、もっと褒めてもらいたい気持ちや安心感が生まれ、よりよい行動につながっていきます。
私は、褒めるとは、認めることだと思います。大切なのは、子どもの存在そのものを大切に思う気持ちをもちつつ、認めることだと思うのです。認められると子どもは、自分はそこにいてよい存在であることを自覚します。

子どもの失敗は叱るべき?悪かった点を理解させるには

では、子どもが悪いことをしたときはどうでしょうか。この時も同じで、例えば「こんなことをしてはダメじゃないか」と一方的に叱っても、子どもは聞く耳を持ちません。もし、何が悪いのかわかっていない場合は、「何をしたことが」「なぜいけなかったのか」を子どもが理解できる言葉で説明する必要があります。

しかし、実際は多くの子どもが「失敗した」ことをわかっています。成長段階やその子の性格によって、失敗を素直に認められる子ども、素直に認められない子どもがいますが、大切なのは叱ることではなく、「どのような状況で」「何をしたことが」「なぜ悪かったのか」を子ども自身に冷静に聞くことです。この時、子ども自身が「何がいけなかったのか」に自ら気づき、そして、「次からはどうするのか」を自分で決めさせることが大切です。

もし、自分でも「失敗した」と思っているときに叱られたら、どうでしょうか。「言われなくたって、分かっているよ。」と子どもも反抗的に返してきます。それよりは、一緒に状況を考え、どうすればよかったのかを考えてあげましょう。自我の芽生えに従い、どうしても子どもは反抗したくなるものです。しかし「認める」心で接することで、会話ができる関係を築けていけると思います。

時には「叱ること」も必要。叱るべき2つの場合

では、叱るのはいけない事なのでしょうか。そうではありません。「命のかかわる時」と「約束を守れなかった時」この2つの場合は、状況によって、叱ることが必要だと思います。
まず、命にかかわることや身の安全にかかわる時は、即座に叱ります。「それだけ大変なことした」「次は絶対にやってはいけない」と子どもに直感で感じさせます。叱った後に、何がいけなかったのか、なぜいけなかったのかを伝えましょう。

もう一つは「約束を守れなかった時」です。約束を守ることは大人になってからも大切なことですね。子どもの責任感を培うためにも、子どもとの間に決まり事・約束を決めることは重要で、この約束を守れなかった時は叱ることも必要です。しかし、守れなかった時にすぐには叱らず、はじめは注意(警告)をします。すぐに叱られると、子どもも約束を守ろうという気持ちが減退してしまいます。それでも守れないときは、叱ってよいでしょう。
また、叱る時には、感情的にならずに「決めた約束を守らなかった」ことのみを叱るのです。もし守れなかった事情がある場合は、聞いてあげてください。そして、子どもの不注意や都合で守れなかった場合は、再度、約束の確認をしてください。守れなかった時にペナルティーを与える場合もありますが、ペナルティーは徐々に重くなりますし、ペナルティーがないと約束が守れなくなってしまうので、ペナルティーを決めるより、話し合うことが大切です。そして、約束が守れるようになるまでは、絶対に譲歩せず、約束通りにできるまで付き合います。こうすることで、子どもは約束を守れる責任感が身に付き、約束した内容も身につくのです。

一方で、子どもが約束を守れるようにサポートすることも大切です。親が約束ごとを一方的に決めるのではなく、子どもが理解できるようにすることや、子ども自身に決めさせることが必要です。場合によっては、決めたことはいつも見えるところに貼っておくのもよいでしょう。約束は、一日の生活時程、やる順番、などが多いでしょうか。特に生活習慣について約束をする場合は、低学年のうちに身に付けさせることも大切です。

最後に、叱る上で注意してほしいことは、親が我慢をため込んでから叱ることです。今起きている事象だけでなく、以前にあった、腹に据えかねて我慢していたことまでも次々に引っ張り出して叱ることは絶対に避けましょう。その時の事象についてのみ、短く、端的に叱ります。そうすることで、どのような状態になったら叱られるのかを子どもが理解できますし、子ども自身も、自分のしたことが約束違反ならば致し方ないと、納得できます。叱ることはエネルギーがいることです。しかし子どものために、面倒な気持ちや怒りをぐっとこらえて、接してもらえればと思います。

2月は特に、お子さんのいろいろなことが目に付く時期ですが、今の学年をしっかり締めくくり、次の学年への希望が持てるように、お子さんに寄り添い根気よく関係を育んでください。

2月の食事ワンポイントアドバイス
~保護者の方もホッと一息!不安や焦りを和らげる菌活レシピ~

あっという間に2月になり、暦の上では春を迎える時期となりました。新学期が近づくにつれて思いが募り、気が休まりにくいこの時期こそ、毎日の食事から心身をケアできるとよいですね。
心身を休めるには、「第二の脳」とも呼ばれる“腸”を整えることが大切です。腸は多くの自律神経が集まっていたり、全身の約7割もの免疫細胞が存在したり、心身の健康と深いかかわりを持つ腸内細菌も多数存在しています。
きのこは菌100%の唯一の食材であり、これらの多種多様な腸内細菌の餌となる食物繊維が豊富なので、腸内環境を整えてメンタルケアをサポートするのに役立ちます。また、きのこには近年注目されているGABAも豊富に含まれているので、気持ちを落ち着かせたいときにピッタリです。
食事の時間を上手に活用して、きのこで菌活で心身を整えていきましょう!
(監修:ホクト管理栄養士 德田美咲)

来月は弥生「桃の節句」です。1年の間にできるようになったこと、成長したことをお子さんと確認し、1年の成長を振り返ってみてはいかがでしょうか。会話の中から、近くて気づかなかったことが見えて来るかもしれません。それでは、また、来月お会いしましょう。

profile

望月 保美

(ガイダンスカウンセラー、上級教育カウンセラー、特別支援教育士)
東京都の元小学校教諭。
現在はカウンセラーとして小学校を訪問し、授業の様子や児童の活動を観察して子どもの特性やその対応方法、指導法を先生方に伝える活動を行っている。
また、高等学校では友人同士の関わり活動を通して、友人や自分を理解する方法について演習等も実施。
教育カウンセラーを目指す方への学習サポートも行っている。

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