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子どもの発達段階に応じて変化する「一緒」の意味。一緒を楽しみながら、子どもの自立を促すには?

2022.11.01
子どもの発達段階に応じて変化する「一緒」の意味。一緒を楽しみながら、子どもの自立を促すには?

霜月に入りましたね。木枯らしが吹き、夜の時間も長くなっています。この季節、皆さんは子どもとどんな時間を過ごされますか?
子どもが小さければ、一緒に運動したり本を読んだりするかもしれません。ある程度大きくなったら、一緒に料理をしたり、テレビを見たりするのも良いですね。中学や高校になれば、お子さんは勉強や部活で忙しく、少し寂しさを感じる、という方もいるかもしれません。

時には自分の時間が欲しいと思うのが子育てですが、子どもと一緒に過ごせる時間は、長いようで短いものです。子どもとの関係性の変化も楽しみながら、子育てできるとよいですね。そこで今回は、保護者の方からよく聞かれる「読書」「運動」をテーマに、子どもの発達段階に応じて変化していく「親子の一緒の意味」についてお話ししていきたいと思います。

■今月のTOPICS

●「手をかける」から「時間を共有する」ことで関係を培う
●思春期以降は「見守る」が鉄則。心のつながりを大切に
●11月の食事 ワンポイントアドバイス ~冬に向けて免疫力を高める、あったかレシピ~

「手をかける」から「時間を共有する」ことで関係を培う

先日、こんな相談がありました。

秋は読書週間がありますが、読書について、子どもへの接し方に悩んでいます。小さいうちは一緒に絵本の読み聞かせをしていましたが、今は学年も上がったので一人で読むようにさせています。すると、ゲームはしますが、読書はおざなりで、学校で借りてきた本も1ページも読まずに翌週返却してきます。一人で読ませるべきだと思うのですが、まだ一緒に読んであげるべきなのでしょうか?

子どもの成長のことを考えて対応を変えようとする一方で、思った通りにいかないと心配になりますよね。「独りで」できるようになるには時間がかかるので、「一緒」の形を変えながら、習慣づけできるよう導いてあげることが大切です。ここでは読書を題材に、親子の関わり合いの変化やおすすめの対応方法をご紹介します。

一緒に読んであげる時期

子どもがまだ文字を読めない頃は、読み聞かせをします。成長して文字が読めるようになれば、交代しながら一緒に読んであげましょう。まずは、一行ずつ交代で、次に段落毎に交代して、そして、ページ毎に交代して、という風に一緒に同じ本を読んでいきます。

子どもは、一緒に読んでくれる人が隣にいることで本に興味を持ちますし、文字を読むという面倒な作業も頑張ることができます。意味を理解しながら読み進めることができれば、話の内容にも興味がもて、続きが楽しみになっていき、自然と文字を読む習慣に繋がります。
十分に文字が読めて、本の世界を自由に歩きたくなると、子どもは自然に一人で読み始めます。しかし、ジャンルは自分の好みの物が中心になりますので、視野を広げるためにも時々別のジャンルのものも選んで、読み聞かせをしてあげましょう。
子どもは、常に自分を気遣ってくれる大人がいることに安心して、慣れないジャンルの事柄にも挑戦しようと思えますし、安心して自分の世界に浸ることができます。

一緒に時間を共有する時期

独りで読書ができるようになったら、保護者の方は自分の仕事ができますね。しかし、すぐに独りにせずに、一日30分でも「読書の時間を共有」することがおすすめです。同じ部屋で、黙ってそれぞれの本を読む時間を作るのです。
ゲームのように、読書よりも興味のある事柄がある場合、独りになるとそちらに意識が向いてしまい、読書のような文字を読む作業を面倒に感じてしまう子どもは少なくありません。また、独りで十分に読書を楽しめる子どもも、親と同じ時間を共有することで、心のつながりが生まれます。一人の人間として、読書の感想を言い合うのもよいと思います。そうすることで、読書の苦手な子は読書を頑張れますし、読書が得意な子もそうでない子も、親子の心のつながりを持つきっかけになります。

また、思春期に入ると、子どもは自分の考えを主張したくなりますし、時間に縛られることを嫌がるようになりますので、そのような時には、一日のタイムスケジュールとして決めておくとルーチン化できて抵抗がなくなると思います。

同じ本を一緒に読むことも、同じ時間を共有することも「一緒」に行動することです。そうすることで、本当の意味で「独りで」できる子どもになっていくと思いますので、手をかけることから見守ることに関係性を変化させ、子どもの自立を見守ってください。

思春期以降は「見守る」が鉄則。心のつながりを大切に

子どもが小さいうちは、放課後や休日に、一緒にサッカーやキャッチボールをしていました。しかし今では、「一緒にやろう。」と言うと足手まといのようで、嫌がります。思春期の子どもと繋がっていたいと思うのですが、うまくいきません。どうしたらよいのでしょうか。

子どもと運動するのが好きな保護者の方なら、いつまでも一緒にスポーツを楽しんだり、近くで見守ったりしたいと思いますよね。しかし、子どもが小さい頃は、一緒にサッカーをしたりキャッチボールをしたりするのも容易ですが、子どもに体力が付いてくると、同じ土俵に立ってスポーツをすることは当然難しくなります。

また、思春期に入ると、子どもにとって親は「一緒にいられて嬉しいもの」から「敬遠するもの」へと変わっていきます。保護者の方がそのことを自覚しつつ、子どもの年齢に応じて、近くで一緒に過ごすということから、「遠くから見守る」という形で共に過ごす方法を選択していきましょう。見守ることや心をかけるだけでも、心の結びつきは強くなるものです。

子どもが大きくなり、一緒に運動することがなくなっても、例えば、子どものスポーツを応援することで話題を共有したり、応援するスポーツチームがあれば、一緒に観戦したりすることでも、心や時間を共有できます。

このように、子どもの発達段階や、保護者の方の体力に応じて、子どもとの過ごし方を変えながら、その時々で楽しみを見つけていきましょう。
親は、子どもと付き合っていくのではなく、一人の人として認め、「子どもの頑張っている姿が見られて嬉しい。」「成長を感じられてうれしい。」等々、自分が楽しんで共に行動できると素晴らしいです。

皆さんは「独り立ちさせる」ということは、どういうことだと思われますか。考え方は色々あると思いますが、私は、自己で判断し、行動して、その結果も自分の責任として受け入れられるようになること。そして、共同して生きていけるようになることだと思っています。
初めは手をかけ、次第に心だけをかけるようにする。そこに気持ちがあれば、子どもは安心して色々なことにチャレンジし、独り立ちの準備ができるのではないかと思います。
保護者の方には、子どもとの関係性の変化を楽しみながら、ご自分の時間も楽しみつつ、子育てをしていただければと思います。

11月の食事 ワンポイントアドバイス
~冬に向けて免疫力を高める、あったかレシピ~

冬への本格的な入口となる11月。冷え込みが厳しい日も多くなりましたが、体調を崩さず、親子ともに元気に過ごしていきたいですね。そこで意識したいのが、免疫維持と冷え対策です。
体調管理には、免疫を司る「腸」を整えることが有効です。「食物繊維」は免疫細胞の約7割が存在する腸をキレイにしたり、免疫機能に関わる腸の善玉菌を増やしたりする働きがあり、きのこには100gあたりレタスのおよそ2倍の食物繊維が含まれているので、腸を整えるのにぴったりの食材です。また、きのこには温活に役立つ栄養素「ナイアシン」も豊富に含まれているので、寒さ対策にも役立ちます。身体がポカポカ温まるようなスープや熱々のお鍋にきのこを取り入れて、寒さに負けない元気な身体を作りましょう♪
(監修:ホクト管理栄養士 德田美咲)

今月は、子どもの発達段階に応じた対応で、親も楽しむことについてお話ししてきました。木枯らしに落ち葉が舞い、冬もそこまで来ています。お家での時間を、お子さんとともに楽しめると良いですね。ではまた、12月にお会いしましょう。

profile

望月 保美

(ガイダンスカウンセラー、上級教育カウンセラー、特別支援教育士)
東京都の元小学校教諭。
現在はカウンセラーとして小学校を訪問し、授業の様子や児童の活動を観察して子どもの特性やその対応方法、指導法を先生方に伝える活動を行っている。
また、高等学校では友人同士の関わり活動を通して、友人や自分を理解する方法について演習等も実施。
教育カウンセラーを目指す方への学習サポートも行っている。

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