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Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第35回 新体操・竹中 七海選手インタビュー

2023.10.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第35回 新体操・竹中 七海選手インタビュー

アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回は東京五輪に新体操団体のメンバーとして参戦し、現在は2024年パリ五輪に向けて自己研鑽に励んでいる竹中七海選手が登場。新体操を始めたきっかけや、2021年夏の東京五輪、今後の目標、体調と体型を維持するために意識している食生活まで幅広くお話しいただきました。

まず、竹中選手の新体操との出会いを教えてください。

家から少し離れたところに水泳や室内テニス、新体操などができる施設があって、私は新体操の体験レッスンに参加して、そこで楽しさに惹かれて習い始めました。

練習はどのくらいされていましたか?

小学校2年生で選手クラスに入ってからは、週7日やっていた時期もありました。練習に行ける方が嬉しかったです。

そして、フェアリージャパンのオーディションがあるという情報を小学校6年生の時に入手したんですね。

はい。私が憧れていたフェアリージャパンの団体は年1回、オーディションをやっていて、誰にでもチャンスがあることが分かったんです。条件は年齢と世界を目指す意思、日本国籍という3つだけだったので絶対に受けようと思っていました。

最初に受けたのは中学校1年生の時。その時は落ちてしまいましたが、2度目の中学2年生の時に合格しました。

中学2年生でフェアリージャパンの練習生になり、その後、高校3年生で迎えた2016年のリオデジャネイロ五輪には帯同もされましたね。

現地の直前合宿までメンバーと一緒に練習し、本番では観客席から応援しました。そこから実際に会場で演技を見て、五輪の雰囲気、どう盛り上がっているかを経験することができました。観客のみなさんが自分の国だけじゃなくて、全ての国を応援していて、楽しんでいることにも気づけたことは自分の中で大きかったですね。

それと同時に感じたのが「なんで自分がこのフロアで踊れていないんだろう」という悔しさも感じました。「次こそは絶対に自分がフロアに立って踊りたい」と強く思いましたし、競技生活の中で貴重な経験でした。

その後、竹中選手は正メンバー入りし、2019年にはアゼルバイジャンで行われた世界新体操選手権で団体総合銀メダルを獲得するなど、好結果を残しました。

リオが終わってから本当に一生懸命がむしゃらにやっていたんですけど、なかなか正メンバーとして踊ることはできませんでした。新チーム最初の公式戦だった2017年新体操W杯イタリア大会でも正メンバーには入っていなくて、補欠として帯同していました。しかし、本番直前の練習で1人の選手が足をケガしてしまい、急遽、私が出場することになったんです。

喜べることではないですが、ずっと悔しい思いがあったので誰のポジションでも出られるように準備はしていました。冷静に1つずつ演技をこなすことができたので、いつでも準備しておくことの大切さを痛感しましたね。これ以降、正メンバーに選んでもらうことができました。

2019年に大きな手ごたえをつかんで、挑んだ東京五輪でしたが、団体総合8位とメダルには手が届きませんでした。

ミスが続き、自分たちの演技がやりきれずに終わってしまい、悔しさと応援してくださった方々へ申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
環境の変化としては、コロナ禍などもありましたが、ルールの変化もありました。2017年までは点数の上限が設けられていて、その中で美しさや技術などで勝負していく傾向がありました。なので、日本チームの強みは生かせていたと思います。しかし2018年以降は点数の上限がなくなりました。つまり、高難度の技をどんどん入れた方が勝てるという状況になったんです。

それによって、2019年よりも2020年、2021年と各国ともに演技も進化して、素早く回るような技を数多く入れるように変化していったと思います。東京五輪での自分たちは、1つミスが起きた時に立て直し切れなかった。練習してきたことが出し切れなかったという意味で本当に悔しさが残る大会でした。

ただ今になって冷静に振り返ると、その経験があったからこそ、本番で力を出すためにどう練習していけばいいのか、練習の持っていき方やチームワークなど、生かせる部分が沢山あったと思います。悪いことだけではなかったなと感じています。

新体操の選手は体形維持が重要ですが、竹中選手は幼少期からどのような食生活を送ってきましたか?

新体操に本格的に取り組み始めたばかりのころは食事について何も考えることなく、普通に好きなものを食べていました。小学2年生のとき選手クラスに入って、練習量も増えてからは母が送迎の車の中で食べられるものを作ってきてくれました。

練習が終わって帰ると夜10時近くになってしまうので、練習前におにぎりとかエネルギーになる補食を摂って、練習後にはバランスがよくて消化にもよい物を食べるといった形でした。ジュニア期は食事制限をせず、しっかり食べて、間食をしないという形を取っていました。当時、エネルギー不足にならないようにしていたことが今になってケガのない体につながっているのかなと感じています。

フェアリージャパンに入ってからは栄養について学ぶ機会も多くなりました。運動強度も増えてくるので、どう食べたらバランスの良い食事になるのかを具体的に勉強していました。合宿所ではビュッフェ形式の食事だったので、必要なものを摂るように意識するようになりました。

新体操の選手にとって、カロリーの少ないきのこは役に立つ食材ではないかと思います。

そうですね。私もきのこは大好きです。きのこをお味噌汁に入れるだけでもうまみが増しますし、低カロリーでビタミンDを摂取できるということもあるので、積極的にキノコ料理は食べるようにしています。味でいうとマイタケが好きですね。お味噌汁に入るだけで味がレベルアップしますから。

お味噌汁以外に好きな料理はあります?

きのこのバターしょうゆ炒めが一番好きです。ただ、合宿生活になると食堂のメニューが決まっているので、出てくることを願うという状況になってしまいますね。海外遠征のときにもきのこ料理はいろんなところで出てくるので、助かっていますね。

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竹中選手は身長167センチ、体重49キロというスリムな体形ですが、それを維持するためにどんな努力をされていますか?

努力と言うより、やはりバランスのいい食生活を意識していることかなと思います。代表に入って栄養について勉強してからは、まずは栄養素がバランスよく摂れることで、疲労回復や、ケガの予防、動ける体作りにも繋がってくると知りました。それからは、栄養が偏ることが絶対にないように心がけています。

ビタミンやカルシウムについては特に不足がないようにしようと意識しています。新体操の選手は運動量が多いので、食べないと動けないので、普通にご飯などの炭水化物も食べますし、練習中にゼリーで補給することもありますよ。

食事面で苦労したことはありますか?

海外遠征した時ですね。なかなか野菜を摂れないし、お肉も脂っこいし、ご飯じゃなくてパンだったりするので、胃もたれはするけど、お腹はすいているみたいな感じになってしまって最初は大変でしたね。

自分なりの対策を考えて、日本食をできる限り持っていって、現地で食べていました。外せないのはレトルトご飯。あとはタンパク質やスープのおかずですね。以前、ロシアに合宿に行った時、お肉の味がなかったので、味噌や焼き肉のタレなども持っていきました。

20代になった今、食生活で気配りしていることはありますか?

以前は『動けるようにしっかり食べる』ということに重点を置いていましたが、今は疲労回復を考えています。私はフルーツよりも野菜やきのこ類を多く摂るのですが、野菜があまり食べられないと感じるときにはフルーツで補ったりしますし、疲労回復に良い豚肉を積極的に摂ったりしています。

体重増に悩んだり、体質が変わってしまったりする選手もいるのでしょうか?

そうですね。私たちのチームでは自己管理が基本なので、それぞれの体に合ったように食事内容を調整したり、コーチと相談しながら考えていったりする形を取っています。しっかり食べて、動いてくことで消費する選手もいれば、少し食事内容を改善して低カロリーにする選手もいるので、自分に合ったやり方で進めている感じですね。

食事のコントロールはメンタル的な影響も大きいと思います。あまりにもムリな食事制限をすると、逆に甘いものを食べたくなりがち。それは一番よくないので、やはり個人的にはご飯をしっかり食べて、それ以外の部分で減らすことを意識した方がいいかなと思います。あと、食べた後に即歯磨きをすれば、食べたい欲を断ちやすいのかなとは思います。

きのこらぼ限定公開 INTERVIEW

最後に、スポーツを頑張るジュニアアスリートの皆さんに食生活のアドバイスをお願いします。

今はいろいろな情報がありますけど、一番は偏りなく栄養素を摂るのが大事。自分に合う食材を見つけて、日々の生活で取り入れていくのが大事かなと思います。

ジュニアの選手に関しては、体作りができるのはその時期しかないので、ムリに食事制限をするのではなく、将来、ケガをしないための体作りを考えた方がいいですね。必要な栄養素をしっかり摂ることを大切にしていただきたいと思います。

竹中選手の Do my best,GO!

■好きな言葉は?
「初心忘れるべからず」です。
以前「座右の銘って何ですか?」と聞かれる機会があって検索したのですが、その時に本当にこの言葉がすごくいいなと思いました。一時、変えた時もありましたが、やはり初心に戻って自分の行動を見直すことが結構あって、新体操が好きという気持ちを忘れずいろいろなことにトライしていくことが大事だなと感じる機会も多かったです。特に東京五輪が近くなった頃、そう感じていました。なので、一周回ってやっぱりこの言葉だなと思います。

■競技人生の中で忘れられないシーンは?
2019年の世界新体操選手権です。種目別のボール5で優勝、団体総合と種目別のフープ3+クラブ2で2位になった時ですね。
それまでなかなか結果が出ていなかったので、応援してくださる方々に結果で恩返しできた部分は嬉しかったです。そして何よりも自分たちが納得できる演技ができた。それをやり切って結果がついてきたというのが一番、嬉しかったですね。
新体操は2分30秒という短い時間にやってきたことの全てを出すんですけど、高難度の技を完成度高くやれた時の喜びは本当に大きいんです。2019年の世界新体操選手権ではそういう感覚を味わうことができました。

■リラックスや切り替え方法は?
ボーッとすることと、好きな動画を見ること。マッサージをすることかなと思います。
動画に関しては、その時々で面白そうなものがあったら、後から配信サイトで見たりします。一時期はアニメにハマって、「鬼滅の刃」をよく見ましたね。「鬼滅の刃」は夜見ると心臓に悪いので、朝時間ができた時に見るのですが、何か悩んでいても『自分はこんなところでくじけていちゃダメだ』って思えたりするので、すごく勇気をもらいますね。

■今後の目標は?
パリ五輪にメンバーとして出場して、メダルを獲得することが一番の目標です。そのためにも、来年のアジア選手権でまずは五輪の出場枠を勝ち取ること。
そういう中で今、自分はメンバーから外れてしまっているんですけど、登録は本当にギリギリまで何が起こるか分からない。つねに最大限準備し続けることは大事ですし、それがチームのためにもなると思います。
チャンスがある限り、挑戦し続けたいですし、やり切りたい。最終目標はパリ五輪に出場してメダル獲得することですが、課題を克服し、強みに磨きをかけて、大舞台で輝けるようにしていきたいと思います。

■竹中選手にとって新体操はどんなものですか?
自分の人生にとって、なくてはならないものだと思います。新体操を通じて本当に多くのことを学ばせてもらっているので。人間関係もそうですし、目標への向かい方、どう自分をコントロールするかという部分でも、新体操から学ばせてもらっている。単に大好きな競技というだけじゃなくて、いろんなことを教えてくれる大切な競技です。

竹中選手の今食べたい菌勝メシ

コメント

全ての栄養に色んな効果があると考えていて、バランスよく食べることを意識しています。きのこは栄養があり、特に疲労骨折の予防になるビタミンDも含まれているため、日本はもちろん、海外でもよく食べています。こちらのスープはきのことトマトの組み合わせが美味しそうで、具沢山で色んな栄養素がとれる点も嬉しいですね。

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profile

竹中七海

(たけなか ななみ)

トヨタ自動車 / みなみ体操クラブ所属、愛知県名古屋市出身
名古屋経済大学市邨高校ー日本女子体育大学ートヨタ自動車
5歳で新体操を始める。「五輪で金メダルを取る」という夢を描き、新体操団体日本代表のフェアリージャパンの存在を知り、オーディションに挑戦。中学2年生の時に練習生(強化選手)に選ばれ、高校1年生の時にフェアリージャパンのメンバー入りを果たす。
高校3年生で迎えたリオ五輪(2016年)ではリザーブ選手として現地に同行。東京五輪への思いを強める。そして2019年世界新体操選手権で団体総合・銀メダル、種目別・ボール5優勝の快挙を達成。東京五輪でのメダル獲得の期待が一気に高まった。
2021年春にトヨタ自動車に入社。万全の体制で同年夏の東京五輪に参戦したが、8位という悔しい結果に終わる。この経験を糧に、2024年パリ五輪でのメダル獲得を目指して、今なお前進を続けている。

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