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人と菌の物語

歴史が育んだ、きのこの効果と人体の秘密
第6回 免疫を呼び起こす腸内細菌と秘められたきのこの驚くべきチカラ

2020.09.18
歴史が育んだ、きのこの効果と人体の秘密<br>第6回 免疫を呼び起こす腸内細菌と秘められたきのこの驚くべきチカラ

腸を整えるために食物繊維が欠かせないワケとは?

人の健康を司る腸内環境を整えるのに、最も有効なのは食品です。
食物繊維やオリゴ糖など、有用な善玉菌の成長を促す食品成分を「プレバイオティクス」と言います。きのこは食物繊維が豊富なため、プレバイオティクスとして、腸内細菌を活性化する効果が期待できます。

また、健康を維持する生きた微生物は「プロバイオティクス」と呼び、代表的なものはビフィズス菌や乳酸菌、麹菌などの発酵食品が挙げられます。

プロバイオティクスは2〜3日で体内から排出されるため、既に腸内に存在している善玉菌に働きかけたり、腸内バランスを整えるためには、プレバイオティクスである食物繊維を摂ることで効果が出ることが期待できます。

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食物繊維は大きく分けて2種類あります。「不溶性食物繊維」は、水に溶けにくい繊維を指します。大腸内で水分を吸収し、腸を刺激して便通を促進。一方で「水溶性食物繊維」は水に溶けやすい繊維で、ヌルヌルとしているため、大便をスムーズに出す働きをします。

さらに食物繊維は、腸内で酪酸産生菌のエサとなることで酪酸濃度を高めて腸内環境を整え、免疫機能向上に役立ちます。

料理の主役にも名脇役になるきのこの多様なチカラが、人知れず私たちの体をサポートしているのです。

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監修:辨野義己(べんの よしみ)
1948年生まれ。酪農学園大学獣医学科を卒業。東京農工大学大学院をへて特殊法人理化学研究所入所 研究員。独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター・微生物材料開発室室長。現在は、同所科技ハブ産連本部辨野特別研究室特別招聘研究員。十文字女子大学客員教授、農学博士(東京大学)。受賞歴は、日本獣医学会賞(1986年)、日本微生物資源学会賞 (2003年)、酪農学園大学獣医学部同窓会「三愛賞」(2007年)、文部科学大臣表彰 科学技術賞(理解増進部門)(2009年)、Top Ten New Species Award (2009)
生命力を食べる。 きのこふしぎ発見

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