人と菌の物語

歴史が育んだ、きのこの効果と人体の秘密
第6回 免疫を呼び起こす腸内細菌と秘められたきのこの驚くべきチカラ

2020.09.18
歴史が育んだ、きのこの効果と人体の秘密<br>第6回 免疫を呼び起こす腸内細菌と秘められたきのこの驚くべきチカラ

β(ベータ)グルカンが豊富なきのこは、免疫機能に欠かせない存在!

また、きのこの細胞壁に含まれる不溶性食物繊維の一種「βグルカン」には、腸管にいる免疫細胞を促進させる働きがあることで知られています。たとえば腸管にすみつき、外敵を食べる細胞「マクロファージ」の働きを活性化させます。

他にもβグルカンは、抗コレステロール、血糖値の上昇をゆるやかにするといった作用もあるといわれています。

さらに、摂った栄養を体に行き渡らせて代謝を助けるビタミンB1とB2、カルシウムの吸収を助け免疫機能を調整するビタミンD、摂り過ぎたナトリウム(塩分)を排出するカリウムなど、きのこに含まれる様々な栄養素は、ヒトの免疫機能の正常化に密接に関わっているのです。

そういったきのこは、古来より漢方において生薬として使用されてきた歴史があります。漢方の最も古い書物「本草綱目」に記された霊芝(マンネンタケ)、約600年前の明(ミン)の時代に妙薬としてシイタケが使用されていた記録が残されています。

ヒトの器官の中で、免疫に深く関わる腸を守り、助けている腸内細菌——。
そして太古の時代から、その腸内細菌に大きく寄与しているきのこは、ヒトが健康になるために欠かせない存在なのかもしれませんね。

監修:川村郁子(かわむら いくこ)
福岡県出身。管理栄養士、Ikofood代表。中村学園大学栄養科学部栄養科学科卒業。病院の管理栄養士として臨床栄養に携わったのち、独立後は“食育子”として栄養専門学校講師やラジオパーソナリティ、コラム連載、お料理教室や食育セミナーなどを開催。幅広く活動している。
生命力を食べる。 きのこふしぎ発見

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