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年度の節目は子どもが自分自身をみつめるチャンス!心を育てるサポート方法とは

2023.03.01
年度の節目は子どもが自分自身をみつめるチャンス!心を育てるサポート方法とは

3月に入り、窓から差し込む光が柔らかくなり、春ももうそこまで来ているように感じます。
日本の多くの学校では、3月は締めくくりの月。子どもと1年を振り返り、次の学年に備えていきたいですね。春は大人にとっても変化の大きな時期ですが、子どもにとっては大人以上に不安や緊張、期待も大きく、変化を感じる時期。そして、成長のチャンスでもあります。今回は、年度末から、新年度にかけての“節目”の時期を子どもの成長に繋げるためのお話しをしていきたいと思います。

■今月のTOPICS

●節目とは何だろう?
●年度末の節目は、学校生活でも大きな成長のチャンス
●目標に向かい、頑張る気持ちを継続させるには
●3月の食事ワンポイントアドバイス~進級・進学をお祝いする心身のケアにも嬉しい菌活レシピ~

節目とは何だろう?

節目とは、木材や竹の節のある所のことです。転じて、物事の区切り、転機といった意味で使われています。
では、子どもにとっての「節目」とは、どんなものがあるでしょうか。例えば、兄弟姉妹が生まれる、学校に入学する、クラブなどの集団生活に入る、など。そういう時子どもは、「今までの自分と違う自分になろう。」とします。下に弟や妹が生まれる時は、お兄さん、お姉さんになるから「いい子でいよう。」「お世話をするんだ。」、学校に入学するときは、「これからは、勉強をするんだ。頑張ろう。」と自分自身で決意して自分を変えようとします。

人は、自分で決めてやろうと思わない限り、行動を変えることはできません。無理やり押し付けられたことは、形だけ行動することはできますが、気持ちが入らないため成果に繋がらないことが多くなります。そこで、自分自身で決意し、気持ちのスイッチを入れる効果的な時期が、節目の時なのです。

年度末の節目は、学校生活でも大きな成長のチャンス

学校での節目といえば、最も大きなものは進級、進学のあるこの時期です。そういう意味でも春休みは、今までの自分を振り返り、新しい学年に向けての気持ちを作る最善の時といえます。
特に、自分自身と向き合って考えられるようになる高学年の子どもや、中学生の子どもは、振り返りだけではなく、なりたい自分について考え、そうなるために自分はどのようにすべきかを考える機会にするのも有効です。低学年の子どもは保護者の方と一緒に振り返り、どんなところが良かった・悪かった、や、これからどうなりたいのか等を一緒に考えてみてください。

子どものことを一番よく知っているのは保護者の皆さんです。ご自分の子どものプロなのです。一人で振り返りをできる子どももいますが、保護者の方の声がけをきっかけに考える子どもも多くいます。子どものくせや考え方、どの言葉がけをすれば伝わるのかは、お家の方が一番よくわかっていると思いますので、その子の特性を見ながら声がけができるとよいですね。
例えば低学年でしたら、「4月からは2年生だね、お兄さん(お姉さん)になるんだね。どんなお兄さんになりたいのかな?」と話し始め、なりたい自分像が見えてきたら、具体的な目標を一緒に考えるのが良いでしょう。低学年は、1年に一回の節目と考えず、短いスパンでこの反省をしていくとよいでしょう。高学年になると、「どんな6年生になりたい?」と聞きながら、5年生でやってよかったこと、足りなかったこと、頑張りたいこと、困ったこと、を聞いていき、目標を決めてください。中学生では、見守ることも大切です。大きくなるにつれて、成績にしても生活にしても、1年間を経ての反省は、言わなくとも自分からできるようになります。反省したことを次に生かすにはどうしたらよいかを考えるよう声をかけて見守ってください。

振り返りの時に、気を付けることは、大人が決めないことです。スイッチを入れるのは、あくまでもお子さんです。前述の通り、行動を変えて成長していくためには、子どもが自分自身で決めることが大切です。それも、本気で強く思うことです。保護者の方は、聞き役に回りつつ、時にはアドバイスもしながら、子どもの「こうしたい」を引き出せるとベストだと思います。

また、年度末以外にも、自分が成功したり、失敗したりした時も節目になります。成功した喜びのエネルギーを次のステップに活かしたり、失敗した悔しさを改善のエネルギーに変えたりするのです。
失敗を節目とした例で、以前こんなことがありました。
A君は徒競走が速く、毎年運動会のリレーの選手に選ばれていました。しかしその年はクラスの記録会で3位になり、選手に選ばれませんでした。とても落胆していましたが、その翌年の記録会では、A君の記録は、なんと学年1番でした。成長期でもあり身体能力が向上したのかと思いましたが、本人に聞いて見ると、「去年リレーの選手になれなくて本当に悔しかった。だから、次の日から毎日、家の周りを走って練習していたんだ。」とにっこり言いました。
A君は、悔しさがスイッチになりました。本気で強く「悔しい」と思ったからこそ、毎日の苦しい練習を続ける動力になりました。このように、本気で強く決心できるものが子どもとの話し合いの中で見つかると良いですね。それが、子どもにとってのスイッチになります。

A君の例は「運動会」が節目になりましたが、多くの場合、特に学習については、1年が終わる年度末を節目と感じるようです。一つ上の学年に進級することをきっかけに、気持ちの整理や切り替えができ、そのような時、子どもたちは少なからず『今までの自分を変えよう』とする意識になります。その気持ちを活用し、成長に繋げてあげましょう。

目標に向かい、頑張る気持ちを継続させるには

ここまでお話ししてきたように、節目の時期は、目標を決め、どうやって達成していくのかを考えるのに最適な時期ですが、その気持ちを継続させるのは、大変なことです。
A君のように、動機づけがしっかりしていたり、目標が実際的であったりすると継続しやすくなりますが、「よいお兄ちゃんになる。」「勉強を頑張る。」といった抽象的な目標の場合、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」のことわざの通り、日常生活を続けていくと、当初の思いが薄れてしまい、継続して行うことができなくなってしまうことがあります。

それを防ぐには、定期的に、実践の成果を振り返り、当初の気持ちを思い出す作業が必要になります。子どもの様子を見ながら、大体一ヶ月ごとに振り返りをするとよいでしょう。そして、目標の見直しをするのもよいと思います。目標が大きすぎて成果が出なかった場合は、目標をいくつかの段階に分け、その一つずつを今の目標にしていきます。目標を立てて4月から実践した場合、約4ヶ月すると夏休みになります。夏休みも節目になりますので、1学期の振り返りをして、次に繋げる良いきっかけになります。
このように、継続させるには、計画、実践、反省、修正、実施、を繰り返していくことが大切です。下記のポイントもぜひ実践の参考にしてみてください。

●計画:少し努力しなければ達成できない目標を設定しましょう。あくまでも少しです。実現不可能な大きな目標はよくありません。
(悪い例)漢字テストで100点を取りたい → (良い例)漢字を毎日5文字ずつ覚える

●実践:計画に沿って実践します
(例)毎日漢字ノートに5文字練習する

●反省:現実と目標を見比べ、計画の問題点を探ります
(例)5文字ずつ練習してはいるが、覚えられず漢字テストは、80点。覚えるにはどうしたらいいか考える

●修正:反省をもとに計画を見直します
(例)毎日2文字ずつ書き、その日に覚えられたかのテストをする。翌日は、前日に覚えた漢字のテストをしてから、新しい漢字2文字を練習するように修正。

●実施:修正した方法で練習する

こんな風に、簡単なことから試してみてください。

今月のお話は、見方によっては保護者の方の荷が重くなってしまうかもしれません。その場合は、あまり大きく考えず、日常的に変えてほしいことを子どもと話し合うことから始めてみてください。そうして子どもが目標を決めたら、一緒に細分化して、小さいステップで実践させ、時折振り返っていただければと思います。その積み重ねが、子どもの確実な成長に繋がっていきます。

3月の食事ワンポイントアドバイス
~進級・進学をお祝いする心身のケアにも嬉しい菌活レシピ~

いよいよ3月になり、今年度も残すところ僅かとなりました。新年度を迎えるまではお子さんも保護者の方も、うれしさと不安が入り混じった気持ちになることが多いと思うので、体調を万全に整え、前向きに新たなステージへと進みたいですね!
体調を崩さないためには、免疫を司る「腸」を整えることが欠かせません。腸には全身の免疫細胞の約7割や、メンタルに影響する「自律神経」も多く集まっています。
きのこはこの「腸」に溜まった老廃物の排出を促す食物繊維が豊富なので、心と身体の健康を保つのに役立ちます。また、最近ではきのこを毎日50g食べることで、免疫に関わる“短鎖脂肪酸”や“IgA抗体”が増えるという臨床結果も出ているので、環境の変化に負けない丈夫な身体づくりをサポートします。
暖かな春を迎える準備に、毎日のきのこで菌活を始めましょう♪
(監修:ホクト管理栄養士 德田美咲)

1年間お読みいただきありがとうございました。いろいろお話してきましたが、語ることは易いですが、実践することは、大変です。保護者の方は子育ての他にも、仕事や家事と様々な役割があり、大変な毎日を頑張っておられることと思います。まずはご自身を大切に、心に余裕を持てるとよいですね。そして、お子さんを愛し、健やかな成長を見守ってください。それでは、今月は、この辺で。

profile

望月 保美

(ガイダンスカウンセラー、上級教育カウンセラー、特別支援教育士)
東京都の元小学校教諭。
現在はカウンセラーとして小学校を訪問し、授業の様子や児童の活動を観察して子どもの特性やその対応方法、指導法を先生方に伝える活動を行っている。
また、高等学校では友人同士の関わり活動を通して、友人や自分を理解する方法について演習等も実施。
教育カウンセラーを目指す方への学習サポートも行っている。

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