子どもの運動能力のカギ“予測能力”の重要性とは?発達を促す遊びと共にご紹介
2024.09.16徐々に暑さが和らぎはじめ、お子さんと一緒に近所を歩いて散歩したり、自然豊かな場所へ出かけたりしやすい季節を迎えますね。幼少期に豊かな環境で様々な体験や経験をすることは五感を刺激し、その後の成長に良い影響を与えます。
今回ご紹介するのは、運動能力の発達に欠かせない「予測能力」です。身体を使った様々な経験が記憶として残ることで、私たちは次に起こることを予測できます(フィードフォワード)。例えば、「ボールをとる」ときも予測が非常に重要で、ボールが飛んでくる速さに合わせて、どの様に自分の身体を動かせばよいのか、どのタイミングで手を伸ばせばよいのかを経験的に知っていることで、初めてそのボールに対応することができます。日常動作でも転んだ時に手を出して衝撃を和らげ身を守ること、何かが飛んできて、よけるという動作もそうです。
私たちの脳は、五感を通して物体など外界の事象を認知し、今までの体験・経験を基にした記憶をもとにこれから起こる出来事を予測して身体を動かします。そして、経験値の多さ(記憶の量)がより的確な予測に繋がり、行動の質を高めます。
遊びや運動の中で記憶し、それを思考(分析、予測、判断など)と結びつけ行動できるかが、より高度な身のこなしに繋がってくるのです。
<Let’s Play!>
予測能力を高めるためには、自然あふれる場所やアスレチック遊具での遊びもとても重要です。例えば、山や川などでの「石渡り」。どの石ならば次に渡れるのかを自らの能力と照らし合わせて考え(予測能力)、決定し(自己決定感)、挑戦してできること(達成感・成功体験)によって楽しさを感じ、これらを通して能力を高め、自分はできるんだという感覚を育むことができます(自己有能感)。木登りやボルダリングも一緒ですね。
今回は、このような自然・アスレチック遊具の疑似体験ができ、運動能力の向上を促す遊びを4つご紹介します。
[1人で実践!]
石渡り
- 地面や床にブロックやマーカー(屋内では軽い新聞紙等も可能)を並べます。
- ブロックやマーカーの上を外れないように歩いて進みます。慣れたら速度を上げてみたり、ブロックやマーカーの間隔を広くして行います。
- ブロックやマーカーの位置を一定間隔でなくランダムに置くことで、どのくらいの距離ならばどのくらいの勢いで渡れるのかを予測し実践する力を養うことに繋がります。
- 自然の中で行うと、浮石が危険である、濡れた木・石は滑りやすいといった、身を守るための知識も養うことができます。気候の良い日には、ぜひ屋外での「石渡り」も実践してみましょう。
大股歩き
- 腕を大きくふり、脚は大きく一歩出して、踵からつま先まで踏み込みます。
- 一歩、二歩と繰り返し、全身を使って大股で歩きます。
- 着地の際、身体がぐらつくと思います。その不安定な状況への対応によってバランス能力、筋力が養われます。
- 自然の中では、筋肉・関節など身体を最大限に動かす機会に巡り合います。自然の中で遊ぶことが少なくなった現代においては、意図時に我々の身体を最大限に動かす環境を、遊びの中で創ることも重要です。
[親子で実践!]
手押し車
- 子どもはうつ伏せになり、手のひらを床に付けて腕立て伏せの姿勢をとります。大人は子どもの両足首を持ち上げます。
- 子どもは、お尻を少し上げ(腰を反らさないようにしてできるといいですね)、足をのばして、腕の力で前に進みます。
- 子どもは、自分を支えてくれている大人を信頼して体重を預けたり、前進する時のぐらつきに対応したりすることで、予測能力と共にバランス感覚、筋力を養うことができます。
- 大人は、子どものペースに合わせて進みましょう。また腰が反る場合には、足首ではなく膝を持つようにすると安定しやすくなります。
- 上肢の力や体幹が重要な運動なので、進まず姿勢をキープするだけでも体力向上につながります。
長いもゴロゴロ
- 2人は頭側に向かい合って横になり、腕を頭の上に伸ばし、手を繋いで一直線になります。
- お互いの息をあわせて、同じ方向にゆっくりと転がります。
- うまく転がるためには、相手の動きを予想することが大切になります。声掛けをしたり、相手の様子を伺ったりすることで、思いやりを育むことにも繋がります。
Let‘s Eat! きのこの力で子どもの健やかな成長をサポート
運動会や遠足など学校行事も多くなるこの時期は、お弁当を作る機会が増えてくるのではないでしょうか。今月は、子どもの身体づくりに必要な栄養がしっかり摂れて、忙しい朝でも簡単に作れる、行事の時のお弁当やレジャーにもおすすめの「きのこ」レシピをご紹介します。
<厳選レシピ>
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マイタケ鶏そぼろおにぎり
きのこに含まれるビタミンB1は、ご飯に含まれる糖質の代謝を促すことで、運動するときに必要なエネルギーづくりを助けます。片手で食べられるおにぎりは、お弁当の主食や運動の前後の補食としてもおすすめです。
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きのこの肉巻き
きのこに含まれるビタミンB6は、豚肉をはじめとする肉類に豊富なたんぱく質の代謝を助けるため、運動で使った身体のリカバリーや筋肉の成長を促します。ごはんがすすむ甘辛の味付けなので、お弁当にもピッタリです。
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きのこの冷製味噌シチュー
きのこに豊富なビタミンDは、牛乳に多く含まれるカルシウムの吸収を助けて、成長期の骨づくりに役立ちます。さらにビタミンDには、筋力づくりを助けるという働きも。スープジャーを使ってお弁当に持っていけば、栄養も水分も補給できます。
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タコライス弁当
タコライスは、ご飯の糖質、ひき肉やチーズのたんぱく質、きのこや野菜のビタミン、ミネラルがバランス良く摂れる万能メニュー。簡単に作れて一品で様々な栄養も摂れるので、忙しい日のお弁当にもピッタリです。
profile
松本大学人間健康学部健康栄養学科専任講師
兵庫大学を卒業後、管理栄養士を取得し、運動と栄養の両面から研究する運動栄養学を大阪体育大学大学院で学ぶ。大学院卒業後は、スポーツクラブアクトス、チームニッポン・マルチサポート事業(栄養)で健康づくりの運動指導やトップアスリート栄養サポートに従事して現職に就く。現在は、運 動栄養学の教育・研究とともに、県内・外のアスリートの栄養サポートを行う。
【資格】
管理栄養士、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士、スポーツ科学修士
松本大学人間健康学部スポーツ健康学科教授
日本体育大学卒業後、日本体育大学大学院在学中に中国北京体育学院へ交換留学。聖徳大学短期大学部、聖徳大学専任講師を経て、2002年度より松本大学に着任。信州大学大学院 医学系研究科 加齢適応医科学専攻で医学博士を取得。現在は、幼児の運動能力に関する研究などに取組み、レクリエーション関連科目や運動と遺伝子などの講義を担当する。
【資格】
レクリエーション・コーディネーター、体育学修士、医学博士
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