PAGETOP
Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第27回 陸上・服部 勇馬選手インタビュー

2023.02.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第27回 陸上・服部 勇馬選手インタビュー

明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回登場するのは東京五輪男子マラソン代表、2022年のニューイヤー駅伝7区では区間賞を獲得した服部勇馬選手。高校時代からトップレベルで活躍され、東洋大では箱根駅伝2区で2年連続の区間賞。トヨタ自動車に入社後はマラソンに本格挑戦され、世界と戦っています。長期にわたり第一線で活躍してきた経緯、その土台となる食への意識、今後の夢などをお伺いしました。

はじめに、長距離走を始めたきっかけを教えてください。

元々サッカーをやっていましたが、中学にサッカー部がなくて、親の勧めで陸上部に入ったことがきっかけです。でも駅伝を初めて走ったのは小学5年生のときで、駅伝大会に出場する別の学校のメンバーに体調不良者が出たので、その助っ人で走りました。

その後、高校は宮城・仙台育英高に進学され、大学は名門の東洋大に進学されました。どんな環境でしたか?

大学は強い先輩方がたくさんいて、上には上がいるんだなと感じましたね。高校生のときから箱根駅伝を走ることが大きな目標でした。とにかく「箱根を走りたい!」という思いが強かったので、1年時から出場できてうれしかったのを覚えています。

2年時には花の2区を任されて区間3位。4年時は全日本大学駅伝でチームを初優勝に導きましたね。

1年時に箱根を走るという目標を達成できたので、2年時は主要区間で活躍したいという思いがありました。そういう意味では自分がエース区間を走って、優勝できたのはうれしかったです。
また、4年時の全日本は学生時代で一番印象に残っている駅伝です。僕はあまり状態が良くありませんでしたが、総合力で勝てた。東洋大のテーマである「その1秒をけずりだせ」というレースを体現できたと思います。

大学卒業後はトヨタ自動車に入社して、マラソンに本格参戦することになりました。どんな取り組みをされましたか?

1年目は佐藤(敏信/現・総監督)さんに、「ゆっくりでいいから120分とか150分とか、長い時間を走るように」とよく言われていたんです。でも、僕は時間を意識して走ることが苦手だったので、素直に練習に取り組めなかった部分がありました。

レースでも結果が出なくて、2年目には大きな故障をしてしまいました。それをきっかけに自分のやり方に固執せず、佐藤さんの言葉にきちん向き合って信じて練習をやり始めたら、課題だった終盤の失速がなくなってきたんです。

2018年12月の福岡国際マラソンは2時間7分27秒の自己ベストで優勝、その後、日本中の注目を浴びた2019年9月のMGCで2位に入り、東京五輪代表をゲットしました。振り返って、どのように感じていますか?

過去のマラソンは終盤の失速が課題でしたが、練習の成果もあって福岡国際マラソンでは逆に終盤の走りを自分の長所にできるようになったレースだと思います。この優勝があって自分の走り方に自信がついて、それがMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)にもつながりました。
また、僕の中でMGCは人生をかけて臨んだレースでした。だからこそ代表が内定したときは本当にうれしかったですね。でも東京五輪に出られると決まったからには、MGC以上の取り組みをやらないといけない。本番に向けて相当な集中力が必要になってくるなとも感じていました。

ご兄弟で陸上競技をされてきましたが、ご実家ではどのような食生活だったのでしょうか。

中学で成績が出始めてから、母は試合の前日はうどんなど、消化のいいメニューを準備してくれるようになりました。一方で、プロテインやサプリメントについては、中学生が摂取することを疑問視していたので、当時は食事から栄養をしっかり摂取していました。

アスリートとして食生活で意識していることはありますか?

大学からは管理栄養士の方が食事面でサポートしてくれているので、出されたものをしっかり食べるように意識しています。大学・社会人では血液検査も毎月実施しているので、その結果に応じて、足りないものはサプリメントで補うようなかたちにしています。

海外遠征や大会中などの食事や栄養管理はどのようにされているのでしょうか?

海外合宿については、チームの管理栄養士が帯同してくださるので、普段とあまり変わらない食事を食べることができます。しかし、レースのときは自分で管理しなくてはいけないので、電子レンジで温めるご飯など自分で用意できるものを持参しています。逆に国内にいるときでも、ポイント練習の日をパン食にすることで、海外遠征時に対応できるように考えて食事をしています。

食事も考えてとっている服部選手ですが、食材としてのきのこの印象を教えてください。

きのこは副菜によく入っていて毎日食べているイメージがあります。自炊する際にはシメジが好きなので、よく買って使っていますし、中でも茶碗蒸しに入っているきのこが好きですね。また、冬は鍋をすることも多いので、えのき、しめじもよく食べていますし、夏にバーベキューをしたときにはエリンギを焼いて食べたのが美味しくて、好きになりました。

きのこは低カロリーで栄養価の高い食材で、腸内環境を改善する働きも報告されています。腸の状態、腸活について意識したことはありますか?

試合前に便通が良くないと、コンディションが悪いなと感じますし、お腹を下しているときは走れません。長距離ランナーは胃腸炎には絶対なってはいけないので、腸のコンディションは日々、意識していますね。きのこが腸内環境に良いと知ったのでこれからは積極的に摂取したいと思います。

現在は「新しい服部勇馬」をテーマにされているそうですが、今後の目標を教えてください。

新しく自分自身を作っていくという意味でも、強い選手というか、勝ち切れる選手。それに付け加えて、速さのある選手になりたいと思っています。目標は日本記録(2時間4分56秒)の更新です。それとオリンピックの舞台にもう一度立ちたい。悔しい思いでは終わりたくないので、自分自身が納得するかたちで終わりたいと思っています。

では、スポーツを頑張っているジュニアアスリートへアドバイスをお願いします。

僕自身がジュニア時代に、素直になんでも吸収しようと意識していました。まずは親や指導者の言うことしっかり聞いて、素直に実践してほしいですね。あと、自分のためだけに競技を続けていくことには限界があります。応援してくれる誰かのために頑張る。その気持ちが大きなエネルギーになると思います。

きのこらぼ限定公開 INTERVIEW

最後に、ジュニアアスリートへ食事のアドバイスをお願いします。

僕も食べ物の好き嫌いがあるので、あまり強くは言えないですが、やっぱりまずは出されたものを満遍なく食べるのが大切だと思います。

あとは高校ぐらいまでは太りやすかったので、体重を意識していた時期もありました。でも食べないとスタミナはつかないし、貧血になる恐れもある。体重へ意識がある選手は少なくないかもしれませんが、特にジュニア期は成長過程なので、体重はあまり気にせず、しっかり食べることが必要かなと思います。

服部勇馬選手の Do my best,GO!

■好きな言葉、座右の銘は?
僕が大事にしているのは、『心で走る』という言葉です。走りながら降ってきた言葉なんですけど、苦しいときに心が自分自身を奮い立たせてくれるかなと思っています。

■忘れられないシーンは?
東京五輪ですね。熱中症で苦しみましたが、本番までの過程も含めて、今後絶対に忘れることができないレースです。

■リラックス方法は?
最近はサウナにハマっています。疲労回復だけでなく、リフレッシュできて、思考の整理もできる。寮にサウナがあるので、基本、毎日入っています。普段は1セットですけど、休日などは3~4セット入ることもあります。

■これからの目標は?
日本記録(2時間4分56秒)をターゲットに、まずは自己ベスト(2時間7分27秒)の更新が目標です。故障せず順調に練習を継続して、パリ五輪も狙っていきたいです。

■服部選手にとってマラソンとは?
学生時代、マラソンはひとつの「ゴール」でした。その先はなかったんですけど、社会人になって、マラソンは「仕事」になりました。ここで結果を出したいという思いが強いですし、僕が最も活躍できる場所なのかなと思っています。

服部勇馬選手が今食べたい菌勝メシ

コメント

競技特性上貧血になりやすいので、栄養バランスの良い食事を大切にしています。きのこはどんな食材にも合うので毎日の食事に入っています。このメニューは具沢山で、一品でいろんな栄養がとれるのが良いですね。

チーズ焼きカレー

きのこに豊富なビタミンDは牛乳やチーズのカルシウムの腸管での吸収を高めるので、合わせて摂ることで丈夫な骨づくりに役立ちます。また、牛肉や卵のタンパク質で丈夫な骨づくりや筋肉づくりを後押し!カレー味が食欲をそそる栄養満点メニューです。

詳しく見る>

profile

服部勇馬

(はっとりゆうま)

1993年11月13日生まれ、新潟県中魚沼郡中里村(現・十日町市)出身
東洋大学卒、トヨタ自動車所属
東京五輪の男子マラソン日本代表。宮城・仙台育英高校時代から世代トップクラスの選手として活躍。大学時代は箱根駅伝に4年連続出場して、花の2区で2度の区間賞に輝いた。トヨタ自動車入社後はマラソンに本格参戦。2018年12月の福岡国際マラソンで日本歴代8位(当時)の2時間7分27秒で14年ぶりとなる日本人優勝を果たした。現在はマラソンの日本記録更新とパリ五輪を目指して活動している。

きのこらぼに無料会員登録をしていただき、ログインした状態で記事をご覧いただくとポイントがもらえます。
貯まったポイントは、プレゼント応募にご利用いただけます。