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Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第25回 スノーボード・アルペン 竹内 智香選手インタビュー

2022.12.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第25回 スノーボード・アルペン 竹内 智香選手インタビュー

明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回登場するのは、スノーボード・アルペンでオリンピックに6度出場、2014年ソチオリンピックでは同競技日本初の表彰台となる銀メダルを獲得したレジェンド、竹内智香選手です。長期間にわたり第一線で活躍できた経緯、その土台となる食への意識などをお聞きしました。

はじめに、スノーボードを始めたきっかけを教えてください。

北海道にいれば小さい頃から雪に触れあうのが当たり前で、2歳くらいからスキーをしていました。小学校5年生くらいのときにスノーボードというのが流行ってきて、かっこいいな、と思ったのがきっかけです。

また、父親が乗馬でオリンピックを目指していた話を聞いていたので、小さい頃からオリンピックに興味を持っていて、長野オリンピックを観たのがきっかけで、スノーボードで出たいと思うようになりました。

高校3年生だった2002年のソルトレイクシティオリンピックに出場し、早くも目標を叶えられました。最初の大舞台はどんな印象でしたか。

当時は出ることが目標だったので、それだけで満足していました。一方で、先輩が日本人で初めて予選通過した姿を見て「日本人でも通用するんだ」と教えてもらった場となり、出場が目標で勝ち上がることを目標にしていなかったのを後悔した大会でした。

その後、2006年のトリノオリンピックに出場された後、スイスへ渡られましたね。練習や生活の環境はいかがでしたか。

生き残るのに大変過ぎてなにが大変だったか覚えていないほどです。プロスポーツと比べるときわめて厳しい環境でしたね。言葉も通じないし通訳がいるわけでもありませんから。しかも練習させてもらったのがスイスのナショナルチームです。本来いるべきではない人間がいるわけですから簡単な環境ではなかったですね。

異なる文化、言葉、地域で生きていくことって決して簡単なことではありません。でも、感謝やリスペクトの気持ちを持ち、人として正しいことをしているとどんな人にも認めてもらえる、受け入れてもらえると感じて、今もその生き方を大切にしています。

スイスで練習しながら出場した2010年のバンクーバーオリンピックが13位、続く2014年のソチオリンピックで銀メダルを獲得していますね。

バンクーバーもソチも世界ランキングは2位くらいでしたが、かたやバンクーバーは1回戦敗退、ソチはメダル。何が違うんだろうと考えたとき、メダリストたる器というか人間性であったかどうかなのでは、と思いました。

振り返ると、バンクーバーの頃の私はスイスに行って成績が右肩上がり、絶好調なときでした。「最初からスイス人として生まれていればもっと簡単に世界のトップに行けたのに」「なぜ日本人として生まれたんだろう」と自問自答する時間もあって、不平不満というか反骨精神のようなものをオリンピックにぶつけていたと思います。その精神でいる時点でオリンピック精神に反していますよね。

バンクーバーのあと、「日本とスイス両国に感謝をして、それを力にしよう」と決めました。どっちがいいではなく日本人として生まれて変えられないルーツがあり、でも助けてくれるスイスがある。2つの環境をいかせるのは恵まれているんだと考えるようになりました。

目標のメダルを獲得したソチのあと、2016年には左膝前十字靱帯断裂の大怪我を負われ、その後、復帰して迎えた平昌オリンピック。どのようなお気持ちでしたか。

成績もよくないし、正直スタートに立つのが嫌でした。予選通過もできないんじゃないかと。なによりも「金メダルを目指します」という目標を果たせないのではないかという怖さがありました。それでも5位と入賞を果たせて、ホッとしたという思いがありました。

また、敗退したあと試合やフラワーセレモニーを見ていて、敗者がいるから勝者がいること、そうしたいろんなことに支えられて華やかでいい舞台がつくられているんだなと感じたとき、初めて自分が獲ったメダルの価値に気づいた気がしました。

長いキャリアを重ねてこられた竹内選手ですが、食生活での気配りや、年齢とともに変化したことなどはありますか。

十代や二十代の頃は、特にこだわってきたということはありませんでしたが、三十歳を過ぎて怪我が増えてきて、長く健康にスポーツを続けたいという観点から、だいぶヘルシーなライフスタイルになっていたのではないかと感じます。

食事でいちばん大切にしているのは、あまり深く考えないことです。もちろん野菜、ビタミン、タンパク質、いろいろなものがバランスよく食べられればベストですが、遠征の多い競技の特性からホテル生活も多いし、決して食に恵まれた環境にいるわけではありません。ですから、これとこれを食べないといけないとこだわることがストレスになってほしくないので、あまり神経質にならないようにしています。その上でバランスを意識しています。

“ヘルシーなライフスタイル”ということですが、健康的な食材である「きのこ」の印象を教えてください。

ピザやパスタにきのこが使われていることも多いですし、海外でお世話になっていた家族がきのこを料理に入れてくれることも多くて、身近な食材でした。

あまり栄養学を学ぶ機会はなかったのですが、私はきのこは体に良い食材だと思っているので味噌を使ったスープにいろんな種類のきのこを入れて作ったりもします。きのこに関してはスイスやヨーロッパだとなかなか手に入らず、日本はきのこがすごく手に入りやすい環境だと感じます。

でもヨーロッパではきのこ狩りに行く文化があって、みんなで本を見ながら毒きのこじゃないか確認しながらきのこを採って食べる機会もありました。

きのこを使った得意料理はありますか?

得意なきのこ料理と言われるとむずかしいですが、きのこはアシスタント役というか、ほとんどの料理にきのこを入れます。例えばハンバーグにもみじん切りを入れたり、ミネストローネにも細かく切って入れたり。細かくすることでいろいろな食に入っていける食材だと思います。
ただ、ほんとうにきのこは好きで、中でも椎茸ですね。乾燥椎茸を海外にも持って行きます。日本人の食に必要な味というか、出汁みたいにもなりますし、お蕎麦のつゆにも入れたりします。

では最後に、スポーツに励むジュニアアスリートへのアドバイスをお願いします

良くも悪くも情報社会になっていて、小さな子でも身近にタブレットを持っているような時代になりました。それは決してネガティブなことではなく、SNSなどを通じて世界で何が起きているかを知るきっかけになると思います。

大事なのは、そういったたくさんの情報から正しい知識を理解することが出来る人間になることだと思います。タブレットから得る情報だけではなく、実際に食べ物を食べてみたり、その国に行って現地の人々と触れ合うことで感じるもの、人間ならではの感覚が優れた人々が増えて、情報社会と融合できればより良い世界になると思います。

スポーツで世界を目指すことを夢見る子供たちにとって、怪我などである日オリンピックがなくなってしまう、あるいは突然中止になってしまうことがあるかもしれません。だからオリンピック、スポーツだけが人生のすべてになってしまうのではなく、人生100年と言われる時代だからこそスポーツのみで生きていけるわけではないので、アンテナを広げて自分の可能性を広げていってほしいと思います。

きのこらぼ限定公開 INTERVIEW

ジュニアアスリートへ、食事についてのアドバイスをお願いします。

日本人にとっては、やはり日本食が体に合うと思っているので、日本食を基本的に食べよう、ということですね。人間の持っているDNAはその土地に適したものになっていると思っていて、私は乳製品が体に合わないのであまり食べないのですが、それは戦後に入ってきた食材で、まだ日本では伝統的な食文化ではないと考えているからで、まずは日本食をベースにして、そこからほかの国の食文化を楽しむことが大事だと思っています。

食事は楽しむことが一番大事だと思いますし、子供にとっては美味しくて大好きなファーストフードなどもあるので、自分に合った食事と食事自体を楽しむことをバランスよく取り入れることが大事だと思います。

竹内 智香選手の Do my best,GO!

■好きな言葉、座右の銘は?
日本語だと「感謝」です。ドイツ語だと「Loker bleiben」。ありのままに、気楽でいこうよという言葉で、文化や過ごしている国によって好きな言葉も変わりますね。

■忘れられないシーンは?
やはり一番はみんなの記憶にも残っていて、自分のなかにも残っているソチ五輪の銀メダルですね。一番良いレースだったかと言われるとそうではないんですが、私にとっては多くの人に喜んでもらえたソチ五輪が一番だったかなと思っています。

■リラックスする方法は?
寝ることですね。睡眠が一番大切だと思っているので早く寝て早く起きること、睡眠の質をよくすることが長く競技を続けるうえでも大切だと思っています。

■これからの目標は?
次の五輪出場について聞かれますが、先ほども言いましたが最近感じるのは、私が「行きたいです」と手を挙げれば行けるんだと思われているんじゃないかと。実際は生半可な気持ちで出られるものではないので、簡単に「目指します」とは言えません。

■竹内選手にとってスノーボードとは?
今となっては生涯現役で、一生スノーボードをやっていたいと思いますし、スノーボードがあるから色々な場所に連れていってもらえたり、出会えたり、たくさんのことを学べたので私にとっては教科書のような存在かなと思います。

竹内選手が今食べたい菌勝メシ

コメント

栄養バランスを考えながら、できるだけ体が欲するものを食べることを心がけています。良く食べるペペロンチーノに大好きなきのこがたっぷり入れば、より美味しく、より栄養バランスも良くなりますね。

きのこのペペロンチーノ

きのこに豊富なビタミンB1は糖質の代謝を助けてエネルギーに変える働きがあるため、パスタと合わせることで効率の良いエネルギーチャージに役立ちます。また、にんにくに豊富なアリシンはビタミンB1の働きを高めるため効果を後押し!

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profile

竹内 智香

(たけうち ともか)

1983年12月21日生まれ 165cm/62kg
北海道旭川市出身、クラーク記念国際高等学校卒業
広島ガス所属

スノーボード・アルペンの第一人者として長年に渡り活躍。
高校3年生だった2002年にソルトレイクシティオリンピックに出場、以後2022年北京まで、日本女子史上最多の6回連続でオリンピックに出場。2014年ソチではスノーボード日本女子初の表彰台となる銀メダルを獲得。

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