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ライフアップコラム

一年のはじまりを彩るおせち。伝統とアレンジで楽しむコツとは?

2025.12.11
一年のはじまりを彩るおせち。伝統とアレンジで楽しむコツとは?

年の瀬が迫り、一年の締めくくりとともに、新しい年を迎える準備を進めている方も多いのではないでしょうか。
※前回の記事では、お正月の意味やお正月に向けた準備についてご紹介しています。
【前回の記事はこちら】

新しい一年の始まりに、家族や大切な人と囲みながら食べる代表的なものといえば「おせち料理」。おせち料理は、華やかな見た目だけでなく、それぞれの具材・料理に縁起を担ぐ意味や願いが込められています。

そこで今回は、おせち料理に込められた由来や願い、手軽に楽しめるアレンジのアイデアをご紹介します。伝統の味わいを受け継ぎながら、彩りを工夫したり好きな食材を加えたりとアレンジをしたおせち料理で自分らしいお正月を楽しんでみてはいかがでしょうか。

記事の最後には、新しい年の元気なスタートを後押しする 「きのこレシピ」もご紹介しますので、新年を気持ちよく迎えるヒントに、ぜひ最後までご覧ください。

INDEX

おせち料理に込められた意味 ― 伝統の味で新年を祝う

おせち料理は、新しい一年の幸せや家族の健康への願いが込められた、日本の伝統の食文化です。おせち料理を食べる意味や歴史を知ることで、お正月の食卓がより豊かに感じられるのではないでしょうか。そこではじめに、おせち料理に宿る願いや由来をご紹介します。

おせち料理に込められた「願い」と「由来」

おせち料理は、季節の節目に神様へ供えた「御節供(おせちく)」が由来とされています。
平安時代の宮中では年に5回、無病息災や五穀豊穣を願って供物を捧げる「節会(せちえ)」と呼ばれる儀式が行われており、これらの節会で捧げられた料理がのちに「おせち料理」と呼ばれるようになります。

室町時代になると、元日に新年の神様を迎える行事が重視され、祝い膳が家庭にも広がり始めます。そして江戸時代には、「正月三が日は歳神様を迎えるために火を使わずに過ごす」という風習が根づき、保存性の高い料理を前もって準備するようになりました。これが、現在の「おせちを重箱に詰めて祝う」という風習の始まりです。重箱は「福を重ねる」という縁起の良いものであるため、祝いの席を彩る大切な器として使われてきました。

おせち料理や食材に込められた願いとは?

おせち料理の一品一品には、どれも、家族の幸せを願う意味が込められています。
ここでは、おせち料理に込められた意味をご紹介します。

黒豆:まめに働き、健康に暮らせるように
栗きんとん:金運招福
海老:長寿祈願(腰が曲がるまで元気にいられるように)
れんこん:先の見通しが良い一年に
伊達巻:昔の巻物(書物)を連想させるため、知識が身につくように
数の子:子孫繁栄
田作り:五穀豊穣
昆布巻:“よろこぶ”に音が似ていることから、新しい年も幸せが訪れるように
紅白かまぼこ:魔除けと浄化
紅白なます:清らかさと調和

長い歴史を経て、おせちは「新しい年の幸せを祈る風習」として、日本ならではの祝いの文化へと育まれてきました。
新しい年への願いの意味を感じながらおせち料理を囲むことで、一年の始まりをより深く味わう時間となるのではないでしょうか。

新しい年に受け継ぐ ― 食卓で感じるつながり

おせち料理は単なるごちそうではなく、家族や地域に受け継がれてきた「つながり」を感じる料理でもあります。
地域によって味つけや品目が異なり、関東の「くるみ入り田作り」、関西の「棒鱈」、九州の「かつお菜雑煮」など、土地の恵みや風土が色濃く反映されています。
さらに、同じ黒豆ひとつをとっても、家庭ごとに「わが家の味」があるもの。こうした違いは、土地の風土や家族の歴史がそのまま食卓に表れている証でもあります。

また、家族で大晦日から準備を進めたり、重箱のおせちを分け合ったりすることも、新年を迎える喜びを共有する大切なひととき。みんなで祝いの料理を囲むことで、一年の始まりをともに祝う気持ちが自然と生まれ、世代を超えて受け継がれるあたたかさを感じられます。

自分らしく楽しむ、おせち料理のアレンジと盛り付けの工夫

おせち料理は、伝統の味わいを受け継ぎながらも、今の暮らしに合わせて自由に楽しめるよう変化してきています。少量でも華やかに見せる工夫や市販品と手作りの組み合わせなど、今の暮らしに合わせてとり入れて、おせち料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。ここでは、そんなアイデアをご紹介します。

無理なくできる、簡単おせちアレンジ

最近は、伝統のおせちを“無理なく”楽しむ工夫が増えています。たとえば、電子レンジで作れる一品を取り入れたり、混ぜるだけ・和えるだけの副菜を加えたりすることで、簡単な料理でも華やかさを出すことができます。また、市販品に手作りの一品を組み合わせるのも人気で、少量でも満足感のあるお正月料理を楽しめます。

<簡単に作れるアイデアの例>
・大根とにんじんを電子レンジで加熱するだけで作れる「紅白なます」
・茹でたれんこんと調味料を混ぜるだけで作れる「酢れんこん」
・市販の黒豆に栗を加えて彩りよくアレンジ
・少量の食材でも華やかに見える小皿盛り
・ローストビーフやテリーヌなど洋食レシピを少し加えて彩りアップ

簡単に作れる工夫に加えて、おせち料理には「きのこ」を取り入れるのもおすすめです。きのこはうま味成分である「グルタミン酸」と「グアニル酸」の2つが豊富に含まれているため、きのこ単体でうま味の相乗効果が生まれ、出汁を使わなくても美味しく仕上がります。また、おせち料理は糖質の高い料理や味の濃い料理が多いため、低カロリーでうま味の豊富なきのこを入れることで、ヘルシーなうえに減塩にもつながります。

ほかにも、種類や切り方によって食感が変わるため様々な食感を楽しめたり、エリンギやブナピーなど白いきのこを使うことで、紅白料理として使用したりすることもできます。負担を減らしつつ、彩りと栄養を両立できる「今どきのおせち」。きのこを上手に取り入れて、手軽におせち料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。

器と色で楽しむ、ハレの日の盛り付け術

お正月の食卓は、器選びと色の組み合わせでぐっと華やかさが増します。漆器や陶器など伝統の器は、料理の色を引き立て、ハレの日ならではの特別感を演出してくれます。黒い漆器には金色や赤がよく映え、白い器には紅白なますなど彩りのある一品が美しく映えます。

盛り付けのポイントは「色・高さ・余白」の3つ。
赤・白・緑などの祝い色を少しずつ配置し、高さの違う器を組み合わせると立体感が生まれ、食卓全体が豊かに見えます。また、あえて余白を残すことで料理が上品にまとまり、重箱でも皿盛りでもバランスよく仕上がります。

器と色を少しだけ工夫して、ハレの日ならではの特別な食卓を楽しんでみてはいかがでしょうか。

体調管理を助ける「きのこ」で新しい一年を健やかにスタート!

気温が低下し寒さが増すこの時期は、身体の冷えや年末の忙しさによって免疫力が落ち、不調を感じやすくなります。また、年末年始は食べすぎや生活リズムの乱れも重なり、身体に負担がかかりやすくなることも。
新年を健康にスタートするためにも、今から食事で体調を整えていきましょう。

中でもおすすめの食材が『きのこ』です。
きのこには、腸内の免疫細胞に直接働きかけ、免疫力を維持するのに役立つ「βグルカン」が豊富に含まれています。また、きのこに豊富な「食物繊維」は、免疫細胞の約7割が集まる腸を整えたり、この時期に乱れやすい自律神経を整えたりする働きがあるため、冬の体調管理に欠かせない栄養素です。

ほかにも、きのこは体調管理に役立つだけではなく、100gあたり約20kcalと低カロリーなうえに噛み応えもあるため、年末年始にかけてイベントが多く食べ過ぎが気になるこの時期にもぴったりです。

忙しさや気温の低下によって不調を感じやすい時期ですが、免疫ケアに役立つきのこを取り入れて、心身ともに健やかに一年をスタートしていきましょう。