夏休みは子どもと一緒に外遊び!外遊びが育む、子どもの豊かな心と体
2024.07.15
いよいよ梅雨が明けて、暑さの厳しい季節が始まります。そして、子どもたちは夏休みのシーズンが始まりますね。海や山、川といった屋外のレジャーを計画しているご家庭も多いのではないでしょうか。
スウェーデンのパトリック・ラグーン博士ら(1997)は、野外保育で育てる園の子どもたちは、普通保育の園の子どもたちに比べて、年間の平均病欠率が6%も低く、健康度が高いことを明らかにしました。また、運動面でも身体の柔軟性をはじめ、握力、幅跳び、腹筋力、バランスカにおいて、普通保育の園の子どもたちに比べはるかに優れており、さらには、物事に対する集中力も高い結果となりました。
このような運動神経や集中力の発達は、子どもたちが自身の能力と欲求に合わせて体と脳と心を働かせて、思い切りその対象に没頭することによって育まれます。つまり、野外という様々な刺激のある環境では絶えず五感が刺激され、脳や心身のよりよい発達が促されるのです。
一方、近年、子どもの集中力が低下していることが問題になっています。アメリカのカプラン(1991)の研究によると、子どもの集中力の低下は以下のような影響を与えます。
・すぐにイライラし、自己中心的になる
・他人を助けるという思いやりが低下する
・忍耐力が低下する
・物事の決定、計画、実行することが難しくなる
・物語の繋がりを理解することが難しくなる ・・・など
前述の通り、子どもの集中力を高めるためには、外遊びを通じて、子どもが自由に遊びを考えたり、子どもが主体的に楽しんだりすることが役立ちます。
暑い時期となりますので日々の食事から暑さへの備えをしつつ、今年の夏休みは、ぜひ、お子さんを見守りながら、時には一緒に外遊びを楽しんでみてはいかがでしょうか。
Let’s Play!
外遊びの第一歩として、子どもと一緒に散歩に出かけるのがおすすめです。車で移動するのではなく、「歩く」習慣をつけることで、車からは見えない景色が見え、様々な発見につながります。
また、公園で遊ぶのもおすすめです。公園には、色々な遊具がありますし、自由に走り回ることができます。屋外で子どもが自由な発想で遊ぶことで、身体も心も大きく成長します。
そこで今月は、広い屋外でぜひ実践いただきたいダイナミックに動くバランス遊びや、外遊びができない時に家でもできる、全身を使ったバランス遊びをご紹介します。

屋外で実践!ダイナミックに動くバランス運動遊び
親子でできる、空中遊泳

① 子どもを真ん中に挟んで3人で横に並んで手をつなぎます
② 子どものタイミングで、1(浅くジャンプ)、2(深くジャンプ)、3(大きくジャーンプ)とジャンプをし、タイミングを合わせて両側の大人が同程度の力加減で少し上に引き上げます
* 急な高さは恐怖感に繋がるので、浮かせすぎに注意し、徐々に高くしましょう
* タイミングを大切に!タイミングを合わせる掛け声をかけましょう
* タイミングが合うと、小さな力で子どもの身体は想像以上に高く浮き上がります。無理やりに手を引っ張るとケガに繋がるので、子どもが自分からジャンプをしないときは体を引き上げないように注意しましょう
親子でできる、空中散歩

① 空中遊泳と同じように子どもを真ん中に挟んで3人で横に並んで手をつなぎます
② 三人が一緒に走り、勢いがついたら掛け声をかけて1・2・3(3でジャンプ)のタイミングで子どもが走りながらジャンプします
③ 子どもがジャンプした時、両側の大人ができるだけ同程度になるような力加減で少し上に引き上げます。子どもの体が空中に浮いた状態になるので、子どもはそのまま足を動かすことで、空中を散歩している(走っている)ようになります。
* ポイントは、空中遊泳と同じです。
友達と実践!けんけん相撲

① 二人で向かい合って片足で立ち、手は胸の前で組みます
② けんけんをしながら、相手に近づき、相撲をとるようにぶつかります
③ 引いたり、かわしたりとバランスをとりながら、相手のバランスを崩すことを楽しみます。
* 周囲の人や物にぶつかったりしないよう広いところで遊びましょう
屋内でもできる!全身を使ったバランス運動遊び
お馬さん姿勢からの両手足上げバランス

① 四つん這いになり、腕は肩の真下に、膝はお尻の真下につきます。
② 四つん這いの姿勢から右手と左脚もしくは左手と右脚(対角)を真っすぐ前に伸ばして、バランスをとりましょう。それぞれ3秒ずつキープし、左右を入れ替えます
③ 次に、四つん這い姿勢から右手と右脚もしくは左手と左脚(同側)を真っすぐ前に伸ばして、バランスをとることにも挑戦してみましょう。それぞれ3秒以上キープし、左右を入れ替えます
友達と実践!背中合わせで手を組んで座ったり、立ったりしてみよう!

① 二人で背中を合わせでお互いの腕を組み、お尻をつけて座ります
② お互いの身体に体重を預けて、息を合わせて立ってみましょう。立った状態から座ることにも挑戦してみましょう。
*はじめは自分一人の力で立とうとしてしまい、お互いの背中が離れ、うまく行かないことが多いと思いますが、何回か繰り返すうちに、座った状態から相手の背中と自分の背中をくっつけたまま、相手に自分を預けながら少しずつお尻を浮かせて、バランスがとれるようになります。
*ポイントは、相手の力を背中で感じること。自分一人で立とうとしないことが大切です。お互いに相手の身体に寄りかかりながら、バランスをとり立ち上がるようにします。座る時も同様です。
Let’s Eat! きのこの力で子どもの健やかな成長をサポート
暑さがピークとなりますが、夏休みを迎える子どもたちは元気いっぱいに遊びたいことと思います。そこで今月は、暑い日に汗で失われやすい水分やビタミン、ミネラルが補給できる、安心、安全な外遊びを手助けするレシピを厳選してご紹介します。今月も食事を通して五感をくすぐるとともに、子どもの健やかな身体づくりをサポートしましょう。
<厳選レシピ>
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きのことトマトのスープごはん
暑い日が続くと徐々に食欲が落ちてくるので、スープと主食を合わせた喉どおりのよいメニューはいかがでしょうか。スープで水分補給ができ、きのこに豊富なビタミンB1は糖質を代謝してエネルギーチャージを助けます。トマトの酸味でさっぱり食べられるので、外遊びで体力を消耗した後の栄養補給におすすめの一品です。
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きのこと夏野菜のカラフル炒め
カラフルな夏野菜ときのこをたっぷり使った彩り豊かな一品は、食卓が華やぎ、子どもの視覚を刺激します。また、鶏肉には筋肉の材料となる豊富なタンパク質が含まれ、きのこにはタンパク質を代謝するビタミンB群が含まれているので、子どもの健やかな身体づくりをサポートします。
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きのことパプリカのコンソメジュレ
水分補給をしたいと思っても、子どもは胃が小さいため、水分でお腹がいっぱいになってしまうことも。そこで、水分も栄養も補給できるジュレがおすすめです。きのこには汗で失われやすい水溶性のビタミンやミネラルが豊富なため、夏バテのケアにも役立ちます。
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きのこで菌勝ドリンク
オレンジジュースをベースにきのこ、はちみつ、レモンを攪拌して作る栄養満点ドリンク。きのこのミネラルやビタミンに加えて、糖質やビタミンC、水分が補え、エネルギーチャージや疲れケアにぴったりの一品。さっぱりとした後口なので、外遊びや運動の前後におすすめです。
profile
松本大学人間健康学部健康栄養学科専任講師
兵庫大学を卒業後、管理栄養士を取得し、運動と栄養の両面から研究する運動栄養学を大阪体育大学大学院で学ぶ。大学院卒業後は、スポーツクラブアクトス、チームニッポン・マルチサポート事業(栄養)で健康づくりの運動指導やトップアスリート栄養サポートに従事して現職に就く。現在は、運動栄養学の教育・研究とともに、県内・外のアスリートの栄養サポートを行う。
【資格】
管理栄養士、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士、スポーツ科学修士
松本大学人間健康学部スポーツ健康学科教授
日本体育大学卒業後、日本体育大学大学院在学中に中国北京体育学院へ交換留学。聖徳大学短期大学部、聖徳大学専任講師を経て、2002年度より松本大学に着任。信州大学大学院 医学系研究科 加齢適応医科学専攻で医学博士を取得。現在は、幼児の運動能力に関する研究などに取組み、レクリエーション関連科目や運動と遺伝子などの講義を担当する。
【資格】
レクリエーション・コーディネーター、体育学修士、医学博士
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