PAGETOP
菌活コラム

心の不調サイン、キャッチできていますか?秋の心身を整えるきのこの力

2025.10.20
心の不調サイン、キャッチできていますか?秋の心身を整えるきのこの力

10月も下旬に入り、秋らしい過ごしやすい日が続いていますね。
一方、10月10日は世界精神保健連盟が制定した「世界メンタルヘルスデー」であったことをご存知でしょうか。この日をきっかけに日本では毎年、各地で心の健康を支えるイベントが開催されています。
心の病気は、自分自身でも気がつきにくく、また周囲も見逃しがちなものです。皆さんは、ご自身の心の声に耳を傾ける習慣はありますか?
特に、秋は気温や日照時間の変化からメンタルバランスが崩れやすい季節とも言われていますので、日々の生活を工夫して、過ごしやすいこの時期をさらに元気で健康に楽しんでいきましょう。
そこで、今回は、秋のメンタルケアに役立つ食生活や生活習慣のポイントをご紹介します。

INDEX

10月は心の不調が現れやすい時期。毎日の食事で対策を!

秋は秋雨前線の停滞や台風などによって気圧差が大きくなることで、メンタルと深く関わる“自律神経”に大きな負担がかかります。また、日照時間が短くなることで“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの分泌量が減ることで、気分も落ち込みやすくなると言われています。

加えて、「秋の夜長」と言われるこの時期は、つい夜ふかしをして睡眠時間が短くなることも。睡眠不足が続くと自律神経の乱れやネガティブな感情を引き起こしやすくなるため、頭痛やだるさ、肩こりなどの身体症状のほか、不安や焦り、悲観的になるといった心の不調が現れやすくなります。

こうした心の不調を予防・改善するのに重要なのが、生活習慣を整えること。中でも実は食事も関係しており、心の健康に加えて全身の健康リスクを高める食生活の要因として紹介されているのが下記の3つです。

1.塩分の過剰摂取
2.全粒穀物・果物・野菜・食物繊維の不足
3.加工肉・砂糖入り飲料の過剰摂取

日本では、健康で豊かな食生活の実現を目的に、主食・主菜・副菜を基本にバランスの良い食事をとることが推奨されていますが、日々を健康に過ごすためにも、まずはこちらの3つに当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

ココロの健康のために摂りたい7つの栄養素

ここでは次に、メンタルを良好に保つために食事で積極的に摂りたい栄養素を7つご紹介します。

① ビタミンB群(特にビタミンB 12、葉酸)

脳神経を良好に保ちます。ストレスによって消費されてしまうため、意識して摂ることが大切です。
代表的な食材:きのこ、あさり、ブロッコリーなど

② ビタミンD

うつ症状との関連が示される栄養素。日光に当たることで体内で合成されますが、日照時間が短くなる秋は食事から摂取することが大切です。
代表的な食材:きのこ、卵、青魚など

③ イミダペプチド、DHA&EPA

自律神経の疲れをケアする働きのある栄養素。脳の健康にも役立つと言われています。
代表的な食材:鶏肉、マグロ、鮭など

④ ミネラル(マグネシウム、亜鉛、鉄など)

神経の興奮を抑え、脳神経の働きをスムーズにする重要な栄養素。不足するとイライラや不安感が高まると言われています。
代表的な食材:あさり、ほうれん草、鰹など

⑤ トリプトファン

「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの原料となるアミノ酸。セロトニンは精神の安定やストレス緩和に深く関わっています。
代表的な食材:大豆製品、乳製品、バナナ など

⑥ GABA

交感神経の働きを抑え、リラックス効果をもたらす働きがあります。ストレスケアに役立つ栄養素として注目されています。
代表的な食材:きのこ、カカオ、トマトなど

⑦ 食物繊維

自律神経の集まる腸を整える。腸はセロトニンが合成される場所であり、「第二の脳」とも呼ばれ、心の健康にも深く関わっています。
代表的な食材:きのこ、海藻、根菜など

7つの栄養素をご紹介させていただきましたが、これらの栄養素を多く含む食材が「きのこ」です。きのこは、ビタミンB群やビタミンD、GABA、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。
中でも葉酸やビタミンD、GABAを含む食材は多くないため、メンタルケアに必要な栄養素を効率よく補うことができます。

また、トリプトファンは「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料となり、精神安定やストレス軽減にも効果が期待できます。セロトニンは腸内で合成されるため、食物繊維の豊富なきのこで腸を整えることが良好なメンタル維持のカギになります。

食事と合わせて取り入れたい、生活習慣のポイント

食事に加えて意識したいのが生活習慣の見直しです。起床時間や就寝時間を一定保つことと、有酸素運動やストレッチ、ヨガなど自分に合った適度な運動を習慣的に行うことがメンタルケアに効果的とされています。
また、リラックスできる趣味や「ほっとできる時間」を日常の中で作るなど、自分の生活リズムを整えることも心身のバランスを整える上で大切です。

加えて、自身の不調にいち早く気づき、意識的に休息を取ったり、気分転換をしたりすることができれば、回復は早まる傾向にあると言われています。
「なんとなく調子が悪い」「疲れが抜けない」という心身の不調を感じたら、「気のせい」として見過ごさず、自分自身のサインに丁寧に向き合うことが、健やかな毎日への第一歩です。

過ごしやすい秋を元気で健康に過ごすためにも、バランスの良い食事や整った生活習慣を心がけ、健やかな心と身体をつくっていきましょう。

今月のおすすめ菌活レシピ

profile

池田 正典
医療法人雨宮病院 副院長 / 群馬大学医学部 卒業

石井 華帆
雨宮病院リハビリテーション部 / 理学療法士