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Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第50回 フェンシング・加納虹輝選手インタビュー

2025.01.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第50回 フェンシング・加納虹輝選手インタビュー

アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回はフェンシング男子エペの日本代表として2024年 パリ五輪に出場し、個人で金メダル、団体で銀メダルに輝いた加納虹輝選手が登場。競技人生やパリ五輪で感じたこと、強さを支える「食事」の秘訣などをお伺いしました。

▶ 加納選手の食事インタビューはこちら

はじめに、フェンシングを始めたきっかけを教えてください。

小学校6年生の時に北京五輪の太田雄貴さん(男子フルーレ個人銀メダル)を見たのがきっかけです。それまでは体操をやっていました。小学校2年生から選手コースに入って週6日、ガッツリ練習をしていたのですが、ケガが多かったこともあって違う競技のことを考えていたタイミングでした。

フェンシングのどんなところに惹かれたのですか?

対人競技をやりたいなと思っていたのと、道具を使うところが格好いいと感じましたね。

地元の中学を卒業した後、実家(愛知県)を離れて山口県の岩国工業高校に入学。大きな決断だったのではないでしょうか?

純粋に「勝ちたい」「上手くなりたい」という思いでしたね。入学後もホームシックはまったくなくて、一人でフェンシングに集中できるのがうれしかったです。ただ、練習がそれまでは週2、3日でしたが、いきなり週7日になったので、かなりきつかったです。でもフェンシングのためだと決心していたので耐えられました。

ご両親から言われていたことなどはありますか?

体操を始めた時もそうでしたが、うちは「これをやりたい」と言った時に親が反対することが少なかったです。その代わりしっかりやり抜きなさいと。父は厳しくて、「一切手を抜くな」という感じでした。

オリンピックが現実的な目標になったのはいつ頃ですか?

大学1年生からシニアの国際大会に出るようになって、2度目に出たワールドカップで3位になったんです。その時、一気にランキングが上がったことで東京五輪が見えるようになりました。

加納選手はその後、右肩上がりに実力をつけていき、東京五輪はエペ男子団体で金メダルを獲得しました。東京五輪前の1年間はコロナ禍もありましたが、その時を振り返っていかがでしょうか?

当時はナショナルトレーニングセンター(NTC)も使えなかったですし、練習場所がないという状態でしたが、僕は全然焦らなかったんですよね。
それまでの1年間はノンストップで突き進んでいたので、逆にこんなに競技時間が空くことは今後ないだろうなと思って人生の休暇だと思いながら過ごしていました。僕自身はコロナ禍がなかったらメダルを取っていないかもしれないと思っているし、東京五輪の時は延期になった時間が自分にはプラスになったのかもしれないという気がしています。結果も出せたことでやればできるんだなという自信もすごくつきました。

そして今年行なわれたパリ五輪。会場はパリの歴史的建物であるグランパレでした。加納選手はそこでまず男子個人の金メダルに輝きました。決勝戦は地元フランス人選手との対戦。完全アウェーの状況でどんな気持ちで闘いましたか?

アウェーだからということはなく、すごく集中して闘うことができましたね。決勝では試合前から優勝すると確信を持って臨んだので、優勝したのはもちろん嬉しかったですけど、決勝戦はとても冷静に戦えたと思います。むしろ準決勝に勝った時のほうが僕の中では興奮していたと思います。

加納選手は個人戦の後、エペ男子団体では金メダルだった東京五輪に続いて2大会連続メダルとなる銀メダルを獲得しました。パリでは最高のパフォーマンスを発揮できたのではないでしょうか。

東京五輪の時は、団体では105パーセントくらいの力を出せたと思います。でも、パリ五輪は個人戦に関して言えば90パーセントくらいでした。ただ、オリンピックで100パーセントをせるとは思っていないので、“出せなくても勝てる”くらいの実力をつけようと思いながらやってきていました。

ここからは、加納選手の身体を支えてきた「食事」について伺います。まず、子どもの頃の食生活について教えてください。

当時は結構、好き嫌いはありましたね。今は食べられますが、刺身や寿司など海鮮系は食べられなかったです。野菜は好き好んではいないですが食べていました。食も細かったです。
うちは2世帯で、両親は仕事をしていたので料理は祖母が作ってくれていました。特に好きだったのはおばあちゃんの麻婆豆腐です。

では、現在の食生活について聞かせてください。

NTCで昼と夜の2食を食べています。サラダ、メイン、ご飯などの炭水化物、小鉢2つくらいとフルーツを必ず食べるようにしています。カロリー計算はしたことがないですが、ご飯は夜だけで2合くらい食べます。

これまで、栄養学について学ぶ機会はありましたか?

大学がスポーツ科学部だったのでそこでベースの知識が身についたと思います。

栄養豊富な食材の一つに「きのこ」がありますが、きのこは良く食べますか?

きのこは栄養があるのでよく食べる食材です。料理に入っていると存在感がありますし、料理が美味しくなるイメージです。あと体にいいというイメージもあります。
NTCでは、普段からきのこの入った料理はよく出てきますが、月に2回くらい、季節に応じた「○○フェア」のようなメニューがあって、秋になるときのこ入りの料理がより増えるんです。

きのこの入った料理で、よく食べる料理や、最近食べて美味しかったものはありますか?

僕がよく食べるのは、豚肉や野菜と一緒にきのこが入っている炒めもの料理。きのこの入ったすき焼き、しゃぶしゃぶ、きのこ入りのパスタもよく食べますし、味噌汁にはほぼ毎日きのこが入っています。
パリ五輪の選手村には日替わりでミシュランの星つきレストランのシェフが来てくれたのですが、その料理にもきのこが入っていました。

きのこの特徴として、栄養価が高い、腸内環境に良いという効果もあります。腸の健康については意識されていますか?

腸内環境に関して言うと、大学3年生頃からNTCで練習するようになったのですが、その頃から意識するようになりました。腸内環境が悪いと、体調に直結してきて確実にパフォーマンスは落ちてしまうので、きのこをはじめ、バランスの良い食事をして腸内環境が悪くならないように心掛けています。

最後にスポーツを頑張る方へのアドバイスをお願いします。

まずは自分のやっているスポーツを楽しんでほしいですね。フェンシングの場合は勝ち負けがあるスポーツですから悔しい、嬉しいという感情はあったほうがいいと思いますが、その中に楽しいという気持ちは忘れないでほしいです。
それと、僕自身、体格に恵まれた訳ではないですし、センスがあると思った訳でもなく、ちょっと不器用な選手なんですけれども、それでもオリンピックの金メダルを獲ることができました。だから、諦めず頑張っていれば誰でもチャンスがあると伝えていきたいです。フェンシングに限らず、自分が楽しいと思えるスポーツを見つけてほしいと思いますね。


加納選手のDo my best,Go!

■ 座右の銘
ルーティンも含め、自分のあり方を決めるようなものは作らないようにしています。

■ 競技人生の中で忘れられないシーン
パリ五輪の個人戦準決です。そこで苦しい試合に勝ったからその勢いで決勝でも勝つことができました。

■ 切り替え方法
失敗しても引きずらずに次を考えること。切り替えは早い方だし、あえて早く切り替えるように意識して練習もしています。

■ これからの目標
大きいところですとロサンゼルス五輪は目指したい。個人と団体どっちも金メダルを取れれば最高の結果だと思うので、そこを目指してやっていきたいです。

■ 加納選手にとってフェンシングとは
仕事だからやっているという意識はまったくなくて、とにかくフェンシングがずっと楽しくて趣味として感覚が近いです。

加納選手が今食べたい菌勝メシ

コメント

栄養バランスを意識した食事を心がけています。また腸内環境が悪いとパフォーマンスが落ちてしまうため、腸の状態も意識しています。きのこは栄養があり腸にも良いので良く食べますが、キッシュにすることで様々な栄養がとれるところが良いですね。

きのことほうれん草のキッシュ

きのこに豊富なビタミンDは、丈夫な筋肉や骨づくりに欠かせない栄養素。筋肉の材料となるタンパク質や、骨の主成分となるカルシウムの豊富なチーズや牛乳と合わせることで効果が高まります。栄養バランスのよいメニューで、丈夫な身体をつくりましょう!

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profile

加納 虹輝

(かのう こうき)

1997年12月19日 173センチ 愛知県あま市
小学6年生からフェンシングを始める。中学まで地元で育ち、高校は山口県の岩国工業へ進学。高校1年生の時にフルーレからエペに転向した。早稲田大学4年生だった2019年にワールドカップ初優勝。東京五輪ではエペ男子団体で金メダルに輝き、パリ五輪ではエペ男子個人金メダル、エペ男子団体銀メダルを獲得した。2020年日本航空株式会社入社。

協力:THE DIGEST

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