プロアスリートを支える食事に迫る。第51回 バスケットボール・宮崎早織選手インタビュー
2025.02.01
アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回登場するのは、バスケットボール女子の日本代表として多くの国際大会で活躍してきた宮崎早織選手です。銀メダルに輝いた東京オリンピック、中心選手として戦ったパリオリンピックの経験や、ご自身の身体を支える食事についてお伺いしました。
はじめに、バスケットボールを始めたきっかけを教えてください。
姉がミニバスをやっていたので私も始めました。最初からすごく楽しかったのですが、ドリブルやシュートなど攻撃には興味がなくて、ディフェンスでボールを奪い取るのが好きでした。ボールを追いかけることが本当に好きだったと思います。
中学でもバスケを続けられ、高校は埼玉県の実家を離れて愛媛県の聖カタリナ学園高校に進学。高校時代を振り返って印象に残っていることはありますか。
楽しさだけではなくても苦しい思い出もありましたが、選手同士で力を合わせて点を取りに行くことや、チームワークの大切さを教わった3年間でもありました。また、親元を離れたことで改めて親のありがたみを感じることができましたね。
高校卒業後、2014年にENEOSサンフラワーズへ。女子バスケ屈指の名門チームに入団することが決まった時のお気持ちを教えてください。
本当にびっくりしました。バスケを始めた小学生の頃から知っていた名門チームにまさか自分が声を掛けられるとは思ってもいませんでしたし、練習についていけるのかなという不安も同時にありました。
入った当初は試合のプレータイムを確保することにも苦労されたのではないでしょうか。
そうですね。でも試合に出られなくても一緒にやらせていただいている選手が素晴らしい方々ばかりだったので、本当に良い形で下積みをたくさんさせてもらえたと感じています。それに、小さい頃から吉田亜沙美選手(現アイシンウィングス)のファンだったので、同じチームでプレーできること自体が素晴らしい経験でした。吉田選手が2016年リオデジャネイロオリンピックで活躍している姿はすごくかっこ良かったです。

2021年7月、東京オリンピックの日本代表メンバーに選出されました。当時はコロナ禍で、東京オリンピックは1年延期しての開催。日本女子は男女を通じて史上初の銀メダルに輝きましたね。
私自身は、オリンピック開催が1年延びたから代表に入れたという要素が確実にあったと思っています。代表チームの中では12人目(※バスケットボールのオリンピック登録選手は1チーム12人)くらいの選手だったので、試合に出るためによりも、まずサブ選手の役割を果たそうと思って、練習で相手チームの役をスカウティングの通りにどれだけしっかりやれるかということに全力で取り組んでいました。今振り返っても、自分の役割をしっかり果たすという面でみんなが本当にプロだったなと思いますし、みんながトムさん(ホーバスヘッドコーチ)についていくという覚悟を持ってチームとして戦えたことで銀メダルを獲得できたのだと思います。
パリオリンピックに向けて、恩塚亨ヘッドコーチが指揮を執りました。宮崎選手は立場にも役割にも変化があったのではないかと思います。
試合に出る機会が増えたことが大きな部分だと思います。恩塚HCから言われていたのは「スピードでかき回す」ということです。そこは自分の役割だと考えてプレーしていました。
パリオリンピックではアメリカ、ドイツ、ベルギーと同組という厳しいグループを戦い、結果としては予選リーグ敗退となりましたが、当時を振り返っていかがでしょうか。
全体的に見ると私たちは銀メダル以上のものを狙っていたので、望んでいた結果ではありませんでした。でも、私自身は東京オリンピックからの3年間、すべてをかけて頑張っていましたし、個人のパフォーマンスは悪くなかったと思っています。東京オリンピックの時に感じた、試合に出られない悔しさや、コートに立った時に通用しなかった悔しさを晴らすことは出来たのではないかと思っています。パリは、個人的にはすごく楽しめたオリンピックでした。

ここからは食事面についてお尋ねします。まず、幼少期の食生活について教えてください。
小さい頃から食べることが好きだったので、ご飯をたくさん食べていました。家で出てくるご飯やお惣菜が好きで、1日3食しっかり食べていました。また、祖母が作ってくれる炒り卵をご飯の上にかけて、東北限定の「味どうらくの里」という甘めの醤油をつけて食べるのが好きでした。
和食が多かったようですね。
はい。基本的にパンよりお米が出ていましたし、今となってはそれがすごく良かったと思います。ご飯の方がパンより消化がいいし、エネルギーにもなりやすいし、腸にもいいので、アスリートとしてはお米が好きになる環境で育って良かったなと思います。
海外遠征時に食事で苦労することはありましたか?
まず、基本的に海外がめちゃめちゃ苦手なので、代表に入って一番苦痛だったのは海外遠征があることでした。食事も、海外の料理は香辛料がついていたり匂いがきつめだったりすることがあったので全般的に苦手で、海外に行くと体調を崩すことが多かったです。
食事の工夫や日本から持参していた食品はありますか。
いつも持って行っていたのは味噌汁とふりかけ、お茶。基本的に白米は海外遠征時にも出るので、いつも白米は食べています。
では、いろいろなメニューに使いやすい食材である「きのこ」についての印象を教えてください。きのこはよく食べますか?
すごく好きな食材ですね。食べやすくて美味しいイメージがあるので、きのこは普段から結構食べています。お味噌汁にも積極的に入れます。種類で言うと実家のお味噌汁にはしめじやなめこが入っていることが多かったですし、椎茸を鍋に入れて食べることも多いです。
きのこは低カロリーで栄養価の高い食材として注目されていますが、栄養面での価値はご存じでしたか?
栄養価について少し知っていたので、それもあってなるべく摂るようにしています。それにきのこは調理方法が簡単。サッと炒めて食べられますし、自炊をするのにも楽だと感じています。
きのこには腸内環境を改善する働きも報告されています。腸の健康について意識したことはありますか?
きのこが腸に優しいことは自分で調べて知っていましたし、自分自身、子どもの頃から胃腸系が弱いことを自覚していて改善したいと思っていたので、なるべく体の内側から変えていこうとして意識してきました。(きのこをとりいれるなど、)そうやって腸を意識していくうちに少しずつ腸の調子も改善されましたね。

バスケットボールはジュニアからシニアまで幅広い年齢層のプレーヤがいます。アスリートとして大切な考え方などをアドバイスしていただけますでしょうか。
好きなことをやり続けるということが一番大事だと思いますね。私自身も小さい頃はバスケットボール選手になりたいという夢をそこまで強く持っていた訳ではないですし。やりながらスポーツの楽しさを知り、それを最後までやり続けることで何かをつかめるのではないかと思います。
最後に、そんな皆さんに食事面でのアドバイスもお願いします。
ご飯をたくさん食べることが一番大事だと思いますね。特に子どもの場合は、好き嫌いがたくさんあると思いますし、私自身、お菓子も結構好きだったのですが、それでも3食しっかりお腹いっぱい食べていました。食べることでエネルギーをつけることが基本だと思います。
宮崎選手のDo my best,Go!
■ 好きな言葉、座右の銘は?
今を楽しむことを一番大切にしています。
■ 競技人生の中で忘れられないシーン、大会は?
パリ五輪の出場枠を獲得するために戦った「オリンピック最終予選(OQT)」。カナダ戦に勝った時が一番忘れられない瞬間です。
■ リラックス方法、切り換え方法は?
サウナに行くこと。車を運転すること。アロマも好きです。
■ これからの目標は?
現在開催中のWリーグで、一試合ずつしっかりと結果を残していきたいと思いますし、まずはケガをしないで今シーズンをやりきりたいです。
■ 宮崎選手にとってバスケットボールとは?
高校生の頃から描いていたプロ選手になることが叶って、今は夢のような時間です。苦しさ8割、楽しさ2割くらいですが、私の人生を大きく変えてくれたのがバスケットボールです。
宮崎選手の今食べたい菌勝メシ
コメント
お米と緑黄色野菜をしっかり摂るなど栄養バランスを意識しながら、腸活も心がけて食事を選んでいます。きのこは美味しくて栄養もあり、腸にも良いので良く食べる食材。回鍋肉にすれば様々な食材がとれて栄養満タンですね!

きのこの簡単回鍋肉
パフォーマンスを高めるには、栄養バランスのよい食事、中でも「ビタミンB1」を摂ることが大切です。ビタミンB1はきのこにも豊富に含まれる栄養素で、糖質を代謝してエネルギーを生み出したり、疲れをケアしたりする働きが期待できます。日々の食事から、動ける身体をつくりましょう!
profile
(みやざき さおり)
1995年8月27日 167センチ 埼玉県川越市出身
小学生の頃に南古谷アクロスでミニバスを始め、与野東中学校を経て愛媛県松山市の聖カタリナ大学附属高校に進学。高校時代はインターハイ、ウインターカップで準優勝、3位という成績を残し、卒業後にENEOSサンフラワーズに加入した。ポジションはポイントガード。ENEOSサンフラワーズでは昨季からキャプテンを務めている。
協力:THE DIGEST
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