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Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第31回 スカイランニング・上田 絢加選手インタビュー

2023.06.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第31回 スカイランニング・上田 絢加選手インタビュー

アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回登場するのはスカイランニングで世界大会のメダルを目指している上田絢加選手です。大学卒業後にスカイランニングと出会い、仕事と競技を両立。会社員の傍ら、2020年スカイランニング日本選手権〈SKY〉で優勝も果たされました。世界の舞台へ果敢に挑戦する注目の女性スカイランナーにこれまでの競技歴、その土台となる食への意識などをお聞きしました。

はじめに、子どもの頃はどんなお子さんだったのか教えてください。

水泳を10年、トランポリンも数年やっており、とにかくスポーツが大好きでした。家族で出かけたスキーも楽しかったですね。

中学・高校では陸上競技をされていたそうですね。

中学は800mを中心にやっていました。短距離は才能の部分が大きく、純粋な走力でトップ選手に勝つのは難しいと思ったので、高校は400mハードルに挑戦し、タイム的には全国の100傑に入りました。

神戸大学に進学された後、大学在学中に基礎スキーやウルトラマラソンにも挑戦された上田選手。大学卒業後はサントリーに入社されますが、入社後のスカイランニングとの出会いは〝偶然〟だったそうですね。

友人から「山を走るイベントあるからおいでよ」と言われて行ったら、2016年スカイランニング世界選手権日本代表の星野和昭さんが教えるスカイランニングの講習会だったんです。

その後、2018年2月の講習会を受けた後、星野さんから「香港に面白い大会があるから行こう!」と誘われたのがスカイランニングのレースだったんです。急峻な場所もある50㎞超えの大会で、トータルで3000m以上登りました。きつかったですけど、すごく面白かったですね。しかもアジア選手権だったのですが、強い日本人選手が他のレースに出ていたこともあって、3位に入ることができたんです。

当時はスカイランニングのための練習をしていたわけではないので、正直ラッキーという感じでしたね。その結果で日本スカイランニング協会の強化選手に選ばれたので、そこから本格的に競技に取り組んでいこうと心に決めました。

スカイランニングがどのような競技なのか改めて教えていただけますか。

トレイルランニングと似ているのですけど、トレイルランニングはどちらかというと横移動が重要です。一方、スカイランニングはいかに速く登るのか。垂直方向に駆け上る競技になります。

会場や季節によってコースの状況も異なると思います。どのようなトレーニングをされているのでしょうか。

平日はインターバルトレーニングなどスピード系の練習をすることが多いです。休日は毎週のように群馬県片品村に行ってトレーニングをしていました。心肺機能を強化する意味でも山を走るんですけど、関東以北で一番標高の高い日光白根山(標高2578m)はよく使いますね。冬は雪山をスキーで登ることが多いです。

2018年にスカイランニングアジア選手権で3位になり、翌年にはジャパンシリーズ年間総合2位。2020年にはスカイランニング日本選手権で優勝しました。ここまでの競技歴を振り返っていかがでしょうか。

やっと本当にやりたいスポーツに出会えた。だからこそ仕事をしながらも、競技にのめり込むことができて、結果もついてきたのかなと思います。

凄いスピードで結果を出されていますが、上田さんのストロングポイントを教えてください。

突出した部分はあまりないんですけど、日本人のなかでは下りが上手だと思います。一番の強みは自然が大好き、競技を楽しめるという気持ちかもしれません。

幼少期からスポーツにまっすぐに向き合ってこられた上田選手ですが、幼少期や学生時代の食生活、そして現在、アスリートとして食生活で意識していることなどを教えてください。

子どもの頃は、自分で何か意識したことはないんですけど、母親が栄養バランスを考えてくれていたのかなと思います。
また現在は、忙しいときも食事の彩りには気をつけていて、「まごわやさしい」(豆、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ、いもの頭文字)は意識していますね。最近は栄養士さんのアドバイスを聞いて、細かな栄養素まで落とし込んで食事をするようにしています。

「まごわやさしい」の一つに「きのこ(しいたけ)」も入っていますが、きのこについての印象はいかがですか。

子どもの頃は苦手だったんですけど、栄養の勉強をして、その印象が大きく変わりましたね。とらなきゃいけない意識になりましたし、山に行くときのこがたくさん生えているので、親しみを覚えました。食べるようになったら、どんどん好きになってきたんです。

好きなきのこ料理があれば教えてください。

野菜炒めに入れたり、肉巻きにしたりなどが多いですね。簡単な調理でもおいしく食べられるので、助かっています。

きのこの栄養的な価値はどのように感じていますか。

きのこはビタミンB群やビタミンDが多く、他の食材ではとりにくい栄養素も豊富です。スカイランニングは上に移動するスポーツなので、体重が軽い方が有利になる。カロリーが低いのも有難いですね。

きのこには腸内環境を改善する働きも報告されています。腸の状態、腸活について意識したことはありますか?

便秘で困ったことは数年ありませんし、海外に行ってもお腹を下すこともないんです。きのこに加えて、お味噌やヨーグルトなど発酵食品も大好きなので、その効果が出ているのかもしれません。

上田さんは、スカイランニングを生涯スポーツとして普及させたい、楽しさを伝えたいという思いで、妹さんとYouTubeの活動もされています。上田さんが感じるスカイランニングの最大の魅力は何でしょうか?

自然のなかを縦横無尽に駆けめぐる感じが魅力ですね。1日でたくさんの景色を観ることができるので、ランニング好きや登山好きはもちろん、自然が好きな人にも是非やってほしいなと思います。

スカイランニングに興味を持つジュニアアスリートへのアドバイスをお願いします。

勝ち負けだけでなく、自然を満喫してほしいですね。楽しんでいたら結果がついてくるスポーツだと思うので、ぜひ一度体験していただきたいと思います。キッズレースもありますし、ショートコースに出る中高生もいます。また一線で活躍されている60代もいるので、幅広い年齢層で楽しめる。体力がなくなってきたら登山に切り替えることができますし、かたちを変えてずっと続けられるスポーツかなと思っています。

きのこらぼ限定公開 INTERVIEW

最後に、ジュニアアスリートへ食事のアドバイスをお願いします。

子どものころから細かく考えるのは難しいですけど、栄養のバランスは見た目でだいたいわかることも多いと思います。たとえば茶色ばかりではなくカラフルな食事になるように心がけることで野菜が多く取れると思います。そんな風に難しく考えずゲーム感覚で楽しめば面白いですし、食事の時間を楽しみながら栄養もしっかりとって、それぞれのスポーツを頑張ってほしいなと思います。

上田選手の Do my best,GO!

■好きな言葉、座右の銘は?
人生一度きり。最後はみんな灰になる。だからチャレンジしたいことはすべてやりたいと思っています。

■忘れられないシーンは?
2020年スカランニング日本選手権の優勝はすごくうれしかったです。自分のなかで準備もバッチリできたので、狙い通りのレースになりました。

■リラックス方法は?
疲労回復という目的もあり、時間があるときはとにかく眠ります。あとは、トレーニングとしてではなく、自然の中でゆったりリラックスして過ごすことで気分を切り替えています。

■これからの目標は?
スカイランニングは世界選手権でトップスリーに入るのが目標です。また2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪はスキーモでの出場を目指しています。

■上田選手にとってスカイランニングとは?
自然のなかで身体を動かすのが大好きなので、ありのままの自分を表現できる手段ですね。自然の地形を利用して走る競技は、自分に生きる糧を与えてくれる。この競技に出会えて良かったなと心から思っています。

上田絢加選手の今食べたい菌勝メシ

コメント

栄養バランスよい食事を心がけながら、特に練習後やレース前の食事での疲労回復を大切にしています。きのこは栄養価が高く私が意識しているビタミンB群やDも豊富ですし、きのこおにぎりなら練習後すぐに食べられるところもいいですね。

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profile

上田絢加

(うえだあやか)

1993年2月10日生まれ、大阪府富田林市出身
神戸大学卒、中央カレッジグループ所属
大学卒業後、25歳からスカイランニングに挑戦。初出場となる2018年のアジア選手権でいきなり3位に入る。会社員の傍ら競技に取り組み、2020年はスカイランニング日本選手権で初優勝、2021年にはスカイランナージャパンシリーズで史上初のスカイ、バーティカルの2種目で年間チャンピオンに輝いた。現在はスカイランニング世界選手権〈SKY〉のトップスリーを目標に掲げる一方、スキーモ(※)で2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に出場を目指している。(※スキーモとは山岳スキーのことで、スキー場やバックカントリーのフィールドで、決められたコースをスキーを使い登ったり滑ったりしてタイムを競う競技)

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