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Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第45回 空手・清水希容さんインタビュー

2024.08.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第45回 空手・清水希容さんインタビュー

アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回は空手女子形の日本代表として東京五輪に出場し、銀メダルに輝いた清水希容さんが登場。今年の5月に競技生活にピリオドを打った清水さんの、空手への思いや今後の夢、トップを走り続けてきた身体の土台となる食事についてお話を伺いました。

まずは空手を始めたきっかけについてお伺いします。小学校3年生で空手を始めたとお聞きしましたが、何かきっかけがあったのでしょうか?

1つ上の兄が先に空手をやっていて、道場に見に行ったら「形」をやっている女性の先輩が何人もいました。すごく格好いいなと思ったのがきっかけです。

実際にはじめてみていかがでしたか?

楽しかったですね。小学生の頃は習い事の一環としてやっていたので、勝ち負けではなく「形」をやることが楽しかったという感じでした。

中学生から全国大会で活躍するようになりましたね。

小学生の頃は全国大会の経験がなかったので、中学生になって全国大会を知り、『こんな世界があるんだ』とショックを受けました。同年齢の子たちのレベルがすごく高くて、私はその世界を知らずに空手をやっていたのだ、というショックです。『この人たちに勝ちたい』。そう思い始めた後は、もうどっぷりと競技に入っていきましたね。

空手の名門校である東大阪大敬愛高校に進学したのも「勝ちたい」という思いからだったのでしょうか。

そうですね。母は「女の子らしくピアノをやってほしい」と思っているようでしたが、もう全然反対の方向に行っちゃって。ですから、東大阪大敬愛高校に行くとなった時は親を説得して、高校の3年間で結果が出なかったら空手を辞めるという約束で入学しました。

高校3年生だった2011年のインターハイでは初優勝されましたね。

1、2年生の時は結果が出ずに焦っていましたが、最後の夏になんとか優勝を勝ち取れて良かったです。入学前は高校生で空手を辞めるつもりだったのですが、優勝できたことで楽しさもさらに出てきました。

清水さんが関西大学の2年生だった2013年9月に東京2020五輪の開催が決まりました。2015年には組織委員会の新競技プレゼンテーションで演武。2016年のIOC総会で東京五輪での空手競技実施が決まるなど、空手を取り巻く状況が大きく変わりましたね。清水さん自身はこの間に日本選手権初優勝、世界選手権初優勝と実力を磨きながら、空手女子形の「顔」として活躍されていきますが、当時のことを思い出していかがでしょうか。

2015年に組織委員会で新競技のプレゼンテーションをした時の演武は、空手を生で見てもらえる場を作っていただいたことへの嬉しさや責任感を感じながら、心を込めて演武しました。2016年に東京五輪で空手が実施されることが決まった瞬間は、みんなで日本空手連盟に集まっていたのですが、誰もが「決まったの?」という感じで高揚していたことを今も覚えています。

空手の「形」は目の前に本当に相手がいるように見えます。どのような練習をしてあの迫力を出すのでしょうか。

「形」は相手がいることを想定しているので、実際に当てる練習もします。目の前に本当に敵がいるような空気感はそういうトレーニングから出るのだと思います。

東京五輪ではずっと競い合ってきたサンドラ・サンチェス選手(スペイン)との決勝戦でしたね。

結果としては私が負けたのですが、演武をした直後はお互いにどちらに転んでもおかしくないと感じていたと思っています。あそこまで本気でぶつかり合えたのも、サンドラ選手だからだったと思いますし、五輪の舞台でそれをできたのはすごくありがたかったです。

東京五輪は無観客での開催でしたが、振り返ってみていかがでしょうか。

素晴らしい決勝戦でしたから、だからこそ観客に入ってほしかったという気持ちはあります。ただ、あの緊張感のある空間のなか無観客で試合をする機会は人生で多分もうないでしょう。独特な雰囲気はあの場にいた人にしかわからないと思うので、私の財産になる経験だったと思います。

ここからは、食事についてお聞きします。まず、子どもの頃の食生活について教えてください。

基本的には好き嫌いもなく、何でも食べる子どもでした。家族の中で母と兄は好き嫌いがありますが、私と父は何でも食べられるタイプ。でも、母は自分が食べないものでも食卓に並べてくれていたので、そのお陰で好き嫌いのない人になったと思います。合宿や遠征の時にも好き嫌いがないので苦労知らずで済みました。

ジュニア時代の体作りで意識していたことはありますか?

子どもの頃から食が細くて体も細く、「もやし」と言われていたんです。高校に入った時に体重を増やすよう言われて、高校生の頃に10キロ近く体重を増やしました。大学に入った後はあまり変わらないのですが、筋肉量は1、2キロほど増えたかなと思います。

高校時代はどれぐらい食べていましたか?

お弁当は2個で、ほかにもおにぎりを2、3個持って行きました。まさに『ザ・部活』というような食事で、昼休み前までにお弁当を食べ終わって、それでもお腹がすくので休み時間の合間にも菓子パンを食べたりしていました。部活が終わってからはコンビニに寄ってまた菓子パンを買ったり…。今思えばあの時は最強の胃袋でした。

引退からまだあまり日が経っていませんが、食生活に変化はありますか?

体調に合わせて食べる食材を考える習慣が根付いているので、あまり変わっていないのですが、やはり、量は減らしています。今も練習は続けているのですが時間は以前より少ないので、量に関してはコントロールしないといけないという感じですね。

食事への意識も高い清水さんですが、栄養豊富な「きのこ」の印象を教えてください。

うちの食卓にはきのこが毎日出てきます。母がいろいろ考えてくれて、基本的に毎日必ずきのこを食べていますね。考えて食べているというよりも、必ず料理に入っているという感じです。

中でもよく食べるきのこはありますか?

疲労がたまっているときはスープの具材として舞茸やキクラゲが出てくることが多いです。きのこはビタミンが豊富に含まれているからだと思います。あと、食卓に多く出てくるのはシメジ。小さい頃からきのこは食卓にあって当たり前という食材です。

きのこは低カロリーで栄養価が高い食材ですが、そういった知識はありましたか?

はい。個人サポートを受けている森永製菓さんの栄養士さんから知識として教えてもらったのは、ビタミンが豊富に含まれていること、疲労回復や腸内環境を整えるために効果があるということです。こういう知識があるので、自分で料理をする時も自然ときのこを買うような流れができています。

昨今、きのこには腸内環境を改善する働きがあることが注目されているのですが、腸については既に意識されていそうですね。

はい。アスリートは常に体を使っているので、免疫力が低いと言われているんです。免疫力を上げるのはやはり腸からだと思うので、食べてすぐに全回復するかというと分かりませんが、少しでも良い状況にしたいので、その意識は持っていたと思います。

5月に引退されたばかりですが、今後の目標を教えてもらえますか。

一番は、80歳になった時にバリバリ動ける空手家でいたいという思いです。指導者になってもずっと動ける人でありたい。それと、これまで競技の経験は多くしてきた方だと思うので、これからは空手家としての深みを人生の中で追い続けていきたいです。

では、アスリートの皆さんへのアドバイスを聞かせてください。

やっぱり、スポーツの楽しさは忘れないでほしいですね。勝ち負けばかりにこだわってしまうと苦しくて嫌になってしまい、もう少しという壁を超えられなくなるかもしれません。自分のやっているスポーツが好き、この動きが好き、という気持ちを軸にしながら勝負のフィールドにも立ってほしいと思います。

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最後に、アスリートの方へ食事面でのアドバイスをお願いします。

一番はバランスよく食べること。だからといって嫌いなものを無理に食べるとストレスになると思うので、食べられないものがあるなら違うもので栄養素を取るようにするのが良いかなと思います。

例えば、アスリートにはタンパク質が重要だから、とりあえず鶏のササミや卵を食べればいい、というのは多分違うと思うんです。バランスよく食べているからこそ体のエンジンがあってガソリンがあるという状態になるのだと思います。エンジンばかりを吹かしてもガソリンがなかったら動かないのと一緒で、バランス良くまんべんなく食べることを大事にしてほしいと思います。


清水さんのDo my best,Go!

■ 座右の銘は?
「自分を信じて」。サインの横にいつも書いています。私はもともとあまり自信がないタイプなので、自分に対して言い聞かせるために書き続けてきました。大学1年生ごろから書き始めたと思います。

■ 競技人生の中で忘れられないシーンは?
東京2020オリンピックの決勝。予選も含めて決勝までかなり鮮明に覚えています。無観客でしたが、目の前に広がる感じの会場と独特な雰囲気もすごく覚えています。東京五輪は私の競技人生でベストに近い状態に持っていけた大会でした。小さなミスはあったのですが、自分の中ではあの時のベストは出せたんじゃないかと思っています。

■ リラックス方法
最近は温泉に行くのが好きです。おばあちゃんが和歌山の山が多いエリアに住んでいるので、自然のあるところも好きです。

■ これからの目標
80歳になってもバリバリ動いて空手をやっていること

■ 清水さんにとって空手とは
人生そのものであり、私の人生を表すためのものでもあります。自分自身をいつまでも磨き続けるための手段だと思っています。

清水さんが今食べたい菌勝メシ

コメント

炭水化物・タンパク質はもちろん、ビタミンがきちんと摂れていないと身体の動きが落ちてしまうので心がけて摂取しています。きのこは栄養価が高く免疫力を高めてくれるので毎日の食事に欠かせないもの。きのこやお肉など具沢山の丼は栄養を摂取しやすく、疲労回復にも良いメニューですね。

きのこと牛肉の甘辛炒め丼

きのこには糖質の代謝を促すことでエネルギーづくりを助けるビタミンB1や赤血球の形成を助ける葉酸が豊富。また、合わせるパプリカには抗酸化作用を持つビタミンCが、牛肉には筋肉づくりに欠かせないタンパク質が豊富なため、アスリートの身体ケアにぴったりです。

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profile

清水 希容

(しみず きよう)

1993年12月7日 160センチ 大阪府大阪市出身
小学3年生から空手を始める。中学時代は3位という結果が多かったが、空手の名門・東大阪大学敬愛高校に進み、3年生でインターハイ初優勝。関西大学2年生だった2013年に全日本選手権で初優勝を飾り、2019年まで7連覇。世界選手権は2014年、2016年に連覇を達成している。大学卒業後はミキハウス所属で世界と渡り合い、東京五輪は銀メダルに輝いた。今年5月19日の西日本地区大会特別演武で競技の世界を退いた。

協力:THE DIGEST

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