きのこふしぎ発見

菌活実践者やマイコファジストが増加中!人の健康を保つ菌類特有の成分とは

2021.10.01
菌活実践者やマイコファジストが増加中!人の健康を保つ菌類特有の成分とは

人工栽培が始まる以前は季節の恵みだったきのこ類も、品種改良や栽培技術の向上によって、現在では四季を通じて手軽に購入できる身近な食材になっています。
おいしく食べることができる上に、様々な健康効果も期待できるきのこ類は、我々の健康維持にも欠かせない食材です。今回は、きのこを積極的に取り入れる「菌活」のヒントになる菌類ならではのきのこ類の多彩な健康効果についてお話しします。

二日酔い予防はシジミではなくきのこが良い?!

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ここでクエスチョン!

肝臓の代謝や解毒作用をサポートし、二日酔いの予防に作用してくれる「オルニチン」を多く含むことから「二日酔いにはシジミ」とよくいわれていますが、シジミ以上にこの「オルニチン」を多く含むきのこは以下のどれでしょう?

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答え

Aブナシメジ

なんとブナシメジは、生重量当たり少なくともシジミの5倍以上のオルニチンを含んでいます。

きのこの健康効果については、7月の「きのこ!ふしぎ発見」でも少し触れましたが、それらの他にも様々な効果があります。例えば、アルコール性・運動性疲労の軽減、ストレス軽減、睡眠効率向上、成長ホルモンの分泌促進、肝機能保護などの効果が期待されるアミノ酸「オルニチン」は、シジミに多く含まれている成分として知られていますが、きのこ類の中にはブナシメジのように、シジミ以上にオルニチンを含んでいるものもあります。きのこ類の摂取は、疲労回復などのオルニチンの健康効果も期待できるのです。
また、きのこ類に多いアミノ酸として「GABA」があります。GABAとは「γ-アミノ酪酸」のことで近年、抗ストレス作用を持つことで注目されている神経伝達物です。ドーパミンなどの興奮系の神経伝達物質の過剰分泌を抑えてリラックス状態をもたらしてくれるため、寝つきがよくなり深い睡眠がとれたり、免疫力の低下を防いだりする効果があるといわれています。GABAを多く摂取できる代表がきのこで、特に多いのがブナシメジブナピーです。その量は、ブナピーで乾燥100gあたり0.58g、ブナシメジで0.34gです。

日本人の食事摂取基準が2020年に改定

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厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」は、健康維持のために必要な1日当たりの栄養素の摂取量(基準値)を示したものです。5年ごとに改定され、2020年から5年間使用されるのが2020年版です。5年前に策定された2015年版からの大きな変更はありませんが、2020年版では、きのこ類に多く含まれている食物繊維やビタミンDなどの摂取量が改定されています。

健康に不可欠な「食物繊維」実はほとんどの日本人が不足気味

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便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの生理機能が明らかになっている「食物繊維」。現在では、ほとんどの日本人に不足している食品成分といわれ、厚生労働省からも積極的に摂取することが勧められています。また食物繊維の摂取量を増やすと、循環器疾患(心筋梗塞や脳卒中)、糖尿病、胃がん大腸がんなどの発症リスクを減少するとの報告もあり、毎日の食事で食物繊維を摂ることは大切です。

2020年版「日本人の食事摂取基準」では、一日の食物繊維の摂取基準が、成人男性で21グラム以上(2015版では20グラム以上)、成人女性で18グラム以上となっています。しかし、2018年の「国民健康・栄養調査」によれば、日本人(成人)の食物繊維摂取量は平均約15グラム/日で、食物繊維は不足しがちな成分と言えます。

ここでクエスチョン!

きのこ類はどれも豊富に食物繊維が含まれていますが、次の中で一番食物繊維が含まれているものはどれでしょう?

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不正解

答え

Cシイタケ

生シイタケでは生重量当たり5%前後、エノキタケやブナシメジ、エリンギなどでは同3%強の食物繊維が含まれています。
一般に、きのこ類は野菜よりも食物繊維を豊富に含んでいます。理由の一つとして考えられるのは、きのこは菌類のため、野菜とは食物繊維の構造が違うことにあるかもしれません。菌類特有の健康成分が摂れ、さらに食物繊維も効率よく摂取できる「きのこ」は健康に役立つ存在といえますね。

骨や歯の健康に大切なカルシウムづくりの要「ビタミンD」もきのこから摂る!

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ビタミンDの摂取基準に関しては、2015年度版「日本人の食事摂取基準」の5.5マイクログラムから8.5マイクログラムに引き上げられています。ビタミンDは、カルシウムの吸収を促すので、比較的カルシウム摂取量の少ない日本人にとっては重要な栄養素です。ビタミンDが不足すると、平均寿命が延びるにつれて増加している病気のひとつ「骨粗鬆症」のリスクも高まります。
ビタミンDは穀類や野菜には含まれていません。主要な供給源としては、魚類やきのこ類です。

健康的な生活のカギは「菌活」や「マイコファジスト」

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毎日の食事に菌食材を取り入れて健康に過ごそう、という「菌活」の認知や実践者数が年々高まっていますね。意図する事は同じですが、宮崎大学名誉教授の河内進策博士は、菌類由来の食材を積極的に食事に取り入れることを「菌食」と呼び、菌食は健康維持のために大切との考えから、菌類を積極的に食べることを心がけている人を「マイコファジスト」(菌食主義者)と命名し、菌食を勧めています。どちらとも、きのこ類はもちろん、納豆、味噌、ヨーグルトのような菌類の発酵作用を利用した加工食品を食べることですが、やはり、菌活や菌食の主役は、菌そのものだけを食べられる「きのこ類」だと私は思います。

「健康でいること」が何より生きていく上で大切であることは間違いありません。人類の誕生よりも遥か昔から地球の循環・地球の健康に寄与し、私たちの健康にも欠かせない栄養が詰まった「きのこ」の力を私たちも毎日の生活に取り入れて、もっと豊かで幸せな毎日を過ごしていきましょう。

profile

福田正樹 教授

信州大学 農学部 農学生命科学科 応用きのこ学研究室
人類にとって有益なきのこを、遺伝資源を栽培食用として効率的に利用するために、きのこ遺伝資源の系統解析やバイオテクノロジーを利用したきのこの育種技術の研究・開発などを行う。

生命力を食べる。 人と菌の物語

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