きのこふしぎ発見

食卓から人の健康を支え続ける「きのこの力」はすごい!

2021.07.01
食卓から人の健康を支え続ける「きのこの力」はすごい!

6月の「きのこふしぎ発見」でもお話ししたように、縄文時代から日本人の「食」と関わりが深かったきのこ類。私たちの祖先は、きのこ類の美味しさだけではなく、それらの薬理効果についても知っていたようです。

「きのこが風邪によい」ことは昔からの常識?!

記事のイメージ

例えば、「椎茸業者は風邪知らず」との民間伝承もあるように、椎茸が風邪の予防に効果があることが経験的に知られています。実際に、マウスを使った試験では、椎茸水抽出液にインフルエンザに対する抗ウイルス作用があることが認められています。また、別の実験では、ブナシメジブナピーにも抗インフルエンザ感染作用があることが認められています。

ここでクエスチョン!

風邪やインフルエンザに効果があるとされているきのこ成分の一つは何でしょう?

きのこアイコン回答する

正解

正解

不正解

不正解

答え

Bβグルカン

きのこ類に含まれている、β-グルカンという物質が、血中の白血球を活性化し、インターフェロンを生成します。このインターフェロンには免疫力を高めてウイルスの増殖を抑える作用があり、インフルエンザや風邪に効果があると考えられています。

椎茸特有の栄養成分「エリタデニン」で血圧にも効果が!

「椎茸は血圧を下げる」との民間伝承もありますが、椎茸の血圧降下作用はエリタデニンという物質によるものであることがわかっています。

ここでクエスチョン!

「エリタデニン」は椎茸のある部分に多くあります。その部分はどこでしょう?

きのこアイコン回答する

正解

正解

不正解

不正解

答え

Bかさの裏側

「エリタデニン」は『かさの裏側』に約7割が存在しています。

年齢などの違いによりすべての人に顕著な降圧効果が期待できるわけではありませんが、一日1回の椎茸水(乾燥椎茸約2グラムに200ミリリットルの水を加え、冷蔵室に一晩置いたもの)の飲用で人に対する降圧効果が認められています。

エリタデニンは椎茸特有の成分です。活性酸素の働きの抑制や、血中コレステロールの上昇を抑制して血流をスムーズにし、血圧を下げてくれる効果があると言われています。高血圧症や高コレステロール血症が心配な方には嬉しい成分です。

さまざまな健康効果があるスーパー食材「きのこ」

ここでクエスチョン!

きのこを摂取することで効果が期待されているものとして、最も正しいものはどれでしょう?

きのこアイコン回答する

正解

正解

不正解

不正解

答え

DA〜Cのすべて

どんな成分がどう効果をもたらすのかは今からご紹介します。

食物繊維たっぷり!腸活で中からすっきりきれいに

記事のイメージ

きのこ類は、栄養の三要素の中ではタンパク質と脂質が少なく炭水化物の含有率が高い食品です。しかし、炭水化物の中に占める糖質の割合はそれほど多くなく、大部分は食物繊維です。食物繊維は、消化されないか、あるいは非常に消化されにくい成分ですので、以前は栄養学的には食物の“カス”のように扱われてきました。しかし、食物繊維の有する様々な薬理効果が明らかになった現在では、その機能性が注目される存在になっています。

例えば、食物繊維は下痢にも便秘にもよく効き、快便へと便通を調整する働きがあります。食物繊維のスポンジ作用で腸内の水分を吸収するので便の水分が減少し適度に固まります。さらに、食物繊維は腸管への刺激を促し蠕(ぜん)動運動が促進され便意を起こりやすくします。また、食物繊維は腸内の善玉菌の餌となるので善玉菌が増えて腸内が正常に保たれます。

逆に食物繊維が少ないと、悪玉菌が増えて腐敗発酵が促進されて下痢を起こしやすくなります。食物繊維にはこのような整腸作用の他に、血中コレステロール低下作用や肥満予防などにも効果が認められています。

ミネラル!ビタミン!まだまだ豊富なさまざまな要素

記事のイメージ

ミネラルで特に多いのはカリウムで、乾燥重量当たり3~5%含まれています。カリウムは血中の食塩濃度を低下させる働きなどがあり、高血圧の予防にも役立ちます。

ビタミン類としては、ビタミンB2とナイアシンが多く、またプロビタミンD2(エルゴステロール)を多く含んでいます。

ビタミンD2は、カルシウムの吸収を助けます。カルシウム不足が主な原因の「骨粗鬆症」は、平均寿命が延びるにつれて増加している病気のひとつです。また、最近は子供の骨の弱化も心配されています。

食用きのこ類は、ビタミンD2の前駆体であるエルゴステロールを乾燥重量当たり0.1~0.3%含んでいます。

美味しさだけではなく、人の体に必要な食材としての「きのこ」

記事のイメージ

このように、きのこ類はエネルギー源としての機能(一次機能)はあまりなく、これまではどちらかと言えば香りや旨味、歯触りなどを楽しむ嗜好品としての機能(二次機能)に優れた食品として位置付けられてきました。しかし、きのこ類に多く含まれる食物繊維に重要な生理機能があることや、抗腫瘍性などの働きがある薬理成分が含まれていることが明らかになるなど、現在きのこ類は生理活性物質源としての機能(三次機能)が重要視されるようになりました。

低カロリーでダイエットファイバー(食物繊維)やミネラル、ビタミン類などを多く含んでいるきのこ類は、最近の健康食ブームも手伝って機能性食品としての価値が高まっています。また、これまで民間伝承で伝えられてきた様々な機能性が次第に科学的に裏付けられるようになってきたこともあり、きのこ類は我々の食生活において今後、ますます重要視される食物になるに違いありません。

きのこを積極的に食事に取り入れよう

記事のイメージ

ヒダナシタケ目のきのこの分類学者として名高い故今関六也博士は、食生活の欧米化が日本人をガンになりやすい体質に変えたと考え、動物質や植物質の食物に比べ摂取量が少なくなった菌類質(きのこ類や味噌、納豆など)の食材を積極的に食事に取り入れることを勧めました。栄養の五大栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、およびミネラル)のバランスはもちろん重要ですが、それらを摂取する際には生物学的なバランス(植物質、動物質、および菌類質)も大切だという考えです。

この考えはとても良い考え方ですが、きのこ類はあくまでも食物ですので、薬理効果だけを期待した偏った摂り方をしないで、普段の食事の中でバランスよく摂取することが大切です。

profile

福田正樹 教授

信州大学 農学部 農学生命科学科 応用きのこ学研究室
人類にとって有益なきのこを、遺伝資源を栽培食用として効率的に利用するために、きのこ遺伝資源の系統解析やバイオテクノロジーを利用したきのこの育種技術の研究・開発などを行う。

生命力を食べる。 人と菌の物語

きのこらぼに無料会員登録をしていただき、ログインした状態で記事をご覧いただくとポイントがもらえます。
貯まったポイントは、プレゼント応募にご利用いただけます。