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子どもとも相性がある。固定概念に縛られず、良い関係を築くには

2022.10.01
子どもとも相性がある。固定概念に縛られず、良い関係を築くには

空が、高く感じられるようになりました。10月になり、あっという間に1年の後半の始まりです。
子どもたちは半年の間にまた一つ大きく成長したことと思います。しかし、子どもが成長するのに従ってその子の個性がでてくると、親も「この子のこの部分は好きではない」「自分とは性格が合わないのでは?」と、愛情だけではなく、苛立ちや疑問を持ち始めることがあります。そのことに悩みを抱えてしまう方も多いのですが、それは普通のこと。今回は、「子どもとも相性がある」というテーマで、子どもとの良い関係の築き方についてお話しできればと思います。

■今月のTOPICS

●兄弟で「見え方が違う」のは当たり前
●相性を決める要素は無数にある
●自分とは性格が違う?子どもを好きになれない場合は
●10月の食事 ワンポイントアドバイス ~秋のイベントを楽しむエネルギーチャージレシピ~

兄弟で「見え方が違う」のは当たり前

先日こんな悩みを聞きました。

私には子どもが二人います。上の子は、何かにつけて行動が気になり、強い言葉で注意してしまいます。下の子は、そんな様子を見ているのでしょうか、上の子が注意されるようなことはしませんし、何をするのにも、私の傍に寄ってくることが多くあります。ですから、どうしても下の子どもがかわいく思えてしまい、上の子は、私に合わないと思ってしまいます。子どもは平等に愛すべきだと思っているので、そんな自分がダメな母親に思えて仕方ありません。

「そうそう、私にも確かにある。」と感じた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
下の子どもが、上の子どもの様子を見て学習し、要領よく行動することはよくあることです。下の子どもに対して親は叱らなくても済みますし、いつも傍にいてくれると安心ですから、可愛く思ってしまいます。

だからといって、「上の子どもとは合わない」と思う必要はありません。単純に、最初の子どもであることや、学校や社会に出てから困らないようにと思う気持ちから、つい転ばぬ先の杖で注意してしまうだけなのです。気になるから次から次へ心配の種に目が行ってしまいますし、自分に良く似ているがゆえということも考えられます。

ふとした瞬間に、いつも上の子どもを注意している自分に自責の念が湧いたり、本当は注意したいわけではないと自己嫌悪に陥ったりことがありますが、それは多くが愛情ゆえのもの。その気持ちを「合わない」と変換せずに、上の子と下の子はポジションが違っているため見え方が違っているだけ、愛情の形が違うのだと考えてみてください。きっと、下のお子さんがその立場であれば、気になることも見えてくるはずです。完璧な人間はいませんから。

相性を決める要素は無数にある

また、「子どもは平等に愛すべき」と思われているのは素晴らしいことですが、上のお子さん、下のお子さんはそれぞれ別の人間ですので、同じようにはいきません。どんなに大切な子どもでも親子の相性は必ずありますし、そこには様々な要素が起因しています。
子どもの生まれ順や性別、健康度などによって親の子どもへの思いは異なりますし、家族構成によっても、子どもへの期待度や、子育てへのプレッシャーが異なります。また、住んでいる場所によっても、地域の社会的価値観が異なります。単純に「自分の子育て」と思っていますが、実は多くの事柄に影響を受けています。

「子どもは平等に愛すべき」というのは社会で作られた固定概念であり、その通りにはいきません。実際には様々な要素が絡み合って相性を形作っていますので、「子どもを愛せない自分はダメな親だ」と縛られずに、自分の素直な気持ちと、子どものありのままを見ることが大切です。
良い関係を築くことも大切ですが、子育ての大きな目的は、一人前の人になるよう、養育することです。行き詰った時には、そう考え、肩の力を抜いてみてください。

自分とは性格が違う?子どもを好きになれない場合は

私は、上の子どもが大好きです。元気で、率直に自分の考えを話してくれます。それに比べて、下の子は、うじうじとなかなか決断せずにいます。自分とは性格が違うと感じますし、見ているとイライラして、つい「何を考えているの?どうしたいの?早く言いなさい。」と声を荒げてしまい、どうしても下の子は好きになれません。私は悪い母親でしょうか。

このような話もよく耳にすることがあります。

一番目に生まれた子どもは、手を懸けて大事に育てられ、それゆえに、成績も優秀に育っていく。親はいつも上の子のことを気に懸けて育てているがゆえに、下の子への声掛けは少なくなり、下の子は、おとなしく自己主張しない子に育っていく・・・。
下の子の自己主張しない性格に歯がゆい思いを募らせてしまうかもしれません。しかし、自分の意見を持っていても、うまく表現できないだけかもしれません。育った環境ゆえにそのような性格の場合もあります。しかし、親が熱を出して寝ていると、そっと飲み物を枕元に持ってきてくれるような優しい子なのではないでしょうか。
自分と性格が違うということはよくあります。無理して好きになろうとする必要はありませんが、「好きになれない」と一括りにせず、その子が自分の主張をするまで、待ってみるのも良いかもしれません。そうすれば、新たな一面もみつかるかもしれません。

親と子どもは別の人格ですので、性格も相性も違って当然です。自分の性格と瓜二つで嫌だと思う場合もありますし、自分と正反対で理解できないという場合もあります。自分から生まれたので自分の分身のように思いますが、一人の人格として尊重すると、自分と合うところ、合わないところが明確に見えてきて、違いを冷静に認めることができます。
人間同士ですから、子どもと合わないことは、いけないことではありません。違うところは新しい発見につながりますし、子どもから教えてもらう、新しい視点もできるでしょう。そうした違いに気づいた時に、新たな関係作りが始まります。
今まで否定的に接していたことも、見方を変えると、新たな気づきに繋がるのです。子どもとの関係について、少し良くなかったかなと思ったら、そこからが始まりです。時間がかかりますが、掛け違えたボタンをかけ直すように、初めからやり直すつもりで新たな関係を築いていきましょう。

また、「愛せないからダメな親」ということはありません。愛せないと思う時も、好きになれないこともあります。例えば、いつも注意していることを繰り返してしまったときや、他人に迷惑をかけてしまったとき。しかし、親も聖人ではありませんので「そんなこと(愛せない、好きになれない)を思ってしまうこともあっていい。」と考えてみましょう。そのようにして、子育てに対する「~べきである。」という思い込みを変えられると、もっと自由に、生きやすくなるはず。今回は、兄弟関係が二人の場合のみについてお話しましたが、何人であっても同じように感じることがあります。ご自分と、お子さん一人ひとりについて考えてみてください。

10月の食事 ワンポイントアドバイス
~秋のイベントを楽しむエネルギーチャージレシピ~

秋は、味覚の秋、スポーツの秋、読書の秋と、何をするのにも気持ちの良い季節。子どもたちも音楽会や運動会などイベントが盛りだくさんですね。そこで今回は、親の皆さんも10月を元気で楽しく過ごせるよう、身体が整いエネルギーチャージも叶う食事のポイントをご紹介します。
疲れのケアやエネルギーチャージには、「糖質」と「ビタミンB1」が欠かせません。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えたり、元気溢れる身体を保つのに欠かせない栄養素。ビタミンB1はきのこや豚肉などに豊富に含まれますので、おかずにはこれらの食材を取り入れるのがおすすめです。また、きのこに豊富な食物繊維は健康の要「腸」を整える効果もありますので、体調管理を強力に後押しします。新米も美味しい時期になります。秋の味覚とともに、きのこを取り入れた食事で、秋を楽しめる身体を作っていきましょう!
(監修:ホクト管理栄養士 德田美咲)

一年の後半が始まる10月。子どもとの関係を見直し、自分にないお子さんの良いところ、自分と同じ良いところを沢山見つけてください。秋の夜長、一緒に読書をしたり、話し合ったりする時間をもってもいいですね。自然の恵みを沢山いただき、健康な体でお過ごしください。ではまた、来月お会いしましょう。

profile

望月 保美

(ガイダンスカウンセラー、上級教育カウンセラー、特別支援教育士)
東京都の元小学校教諭。
現在はカウンセラーとして小学校を訪問し、授業の様子や児童の活動を観察して子どもの特性やその対応方法、指導法を先生方に伝える活動を行っている。
また、高等学校では友人同士の関わり活動を通して、友人や自分を理解する方法について演習等も実施。
教育カウンセラーを目指す方への学習サポートも行っている。

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