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HOP,STEP!Child Body Make Shcool ─運動能力向上塾─

脳の神経系は幼少期につくられる!「バランス遊び」で身体動作の基礎をつくろう

2024.04.15
脳の神経系は幼少期につくられる!「バランス遊び」で身体動作の基礎をつくろう

幼稚園の創始者として知られるドイツの教育者フレーベルは、その著書「人間の教育」の中で、幼児期の『遊び』の重要性を説いています。遊びは、「内なるものの自由な表現」であり、また、「喜びや自由や満足や自己の内外の平安や世界との和合をうみだす」と。

このコラムでは、「遊び」と「食事」を通して子どものより健やかな成長発達を促すことを目的に、専門家が様々な「遊び」や季節にあった栄養豊富なきのこレシピをご紹介していきます。ぜひご家族やお友だちと一緒に取り組んでみてください。

<遊びによる神経系の発達の重要性>

子どもは生まれてから成人するまでの間、段階的に身体がつくられていきます。中でも脳や神経系の発達は幼少期に著しく、このことは「スキャモンの発育曲線」でもよく知られています。(図1)

4歳ぐらいまでに神経系の7割程が、小学校期にはほぼ神経系が完成されるといわれているため、この幼少期から小学校期までに様々な体験をし、五感から様々な刺激を受けることが重要です。

脳全体には、1000億個のニューロン(神経細胞)があるといわれ、ニューロン同士がつながってネットワークを作っています。私たちが他者と会話する、遊ぶ、運動するなど何かをすることは、五感で外からの情報を感覚神経で受け取り、その情報をもとに脳で統合、処理、判断し、指令することで、運動神経を介した会話、遊ぶ、運動するなどの行動が行われます。

分かる、できる、何かするということは、このネットワーク形成ができており、機能しているということです。脳内のネットワークの構築がなされ、より多くの情報を如何に伝達できるかということが高い情報処理能力を獲得する上で大切になります。

このように情報処理能力はとても重要であり、よく交通機関に例えられます。私たちが移動するとき、「道」があるか否かから始まって、道の広さ、一車線か二車線か、または、高速道路であるかによって、移動速度が変わってきますよね。どんなに素晴らしいスーパーカーを持っていても狭い道であったり、そもそも道がつながったりしていなかったら、その性能を発揮できません。

我々は運動したり色々なことを学習したりすることで、この「道」にあたる、土台としてのネットワークを発達させることができます。そのため、幼少期に色々な経験をしてその通りを良くするということが大切になります。

<Let’s Play!>「遊び」で健やかな発達を!>おすすめの遊びはこちら
<Let’s Eat!>「食事」で健やかな発育を!>おすすめの食事はこちら

<Let’s Play!>

1歳~7・8歳の幼児期から学童期前半までは、身体操作の基本となる「バランス」「移動」「操作」するという運動要素が発育・発達のうえで重要かつ中心となります。今回はその中から、「バランス」を育てる遊びを、「親子で楽しめる遊び」、「友達や一人でできる遊び」の2パターンにわけてご紹介します。子どもの成長に合わせて、ぜひ毎日、1種目ずつからトライしてみてください。※次回からは「移動」「操作」に関する遊びをご紹介します。

■ 親子で出来るバランス運動遊び

親子飛行機バランス

① 大人は床に寝ころび、子どもは大人の足元に立つ
② 大人は、子どもの骨盤あたりに、足先を外に向けるように足を置く
③ 子どもの手を掴み、バランスを取りながら足で子どもをしっかりと支えて持ち上げる
④ バランスが取れたら手を放し、飛行機の姿勢をとって楽しみましょう

<ポイント>
・こころとからだの準備、タイミングをとるための声掛けをしましょう
・子どもに声掛けをしながら、怖がらせないこと、楽しませることを意識して、手を持った状態から始め、子どもの意志で手を放すようにしましょう
・少しでもできたら、褒めてあげましょう

背中の上に立ってみよう

<レベル1>
① 大人は床にうつ伏せになります
② 子どもは大人の腰の上に立ちます
③ 背中で立てたら、手を広げて、ポーズを決めてみましょう
④ 慣れてきたら手を広げたまま、ぐるっと1周してみましょう

<レベル2>
① 大人は四つ這いになります
② 子どもははじめ、馬に乗るように大人の背中にまたがります
③ またがった状態になれたら、子どもは大人の背中から腰の上に立ちます
④ そのまま手を広げてポーズを取るように促してあげましょう
⑤ 降りるときは②の状態に戻るようにして降ります。ジャンプしておりようとすると足を滑らせる危険性があるので注意しましょう。

■ 友達と一緒に、または一人で出来るバランス運動遊び

一本足の案山子さん&一人飛行機バランス

<一本足の案山子さん>

① 両手を広げて立ちます
② 太ももが床と水平になるくらいを目標に、片脚を上げます
③ はじめは目を開けて10秒以上を目標に行います
 ・親が近くにいる時は、ぜひ一緒に数を数えてあげましょう
 ・何秒でも、まずはできたことを褒めてあげましょう
④ 次に目を閉じて何秒できるか挑戦してみましょう
 *再度、挑戦したい、やりたいという気持ちを持たせるように、「すごい」「上手」「○秒もできたね」と、まずは褒めてあげましょう。

<一人飛行機バランス>

① 「一本足の案山子さん」の状態を作ります
② そのまま上半身を前方に傾け、上げている膝を後ろに伸ばします
③ そのまま何秒できるか挑戦してみましょう
 *「かっこいい、飛行機みたいだね」「〇秒もできたね」と褒めてあげましょう

L字バランス・Y字バランス

<L字バランス>

① 片方の脚を大腿部(ふともも)が水平になるまで膝を横方向に挙げ、手で大腿部の後ろを持ち、挙げた足を伸ばします
② 片方の腕を耳に当てるようにまっすぐ上に伸ばします
③ 何秒できるか挑戦してみましょう
 *「上手」「足が良く上がっているね」「手の指先までしっかり伸びているね」「〇秒もできたね」などと良いところを見つけて褒めてあげましょう。

<Y字バランス>

① 膝を曲げて足を横方向に挙げて片脚立ちの状態を作ります
② 挙げた脚の膝の裏を持ち、脚を徐々に上に伸ばしていきます
③ 足の踵(または、つま先)を持ち、できるだけ高く持ち上げ、反対側の手を上げます
④ 何秒できるか挑戦してみましょう
 *「上手!」「かっこいいね」「足が良く上がっているね」「手の指先までしっかり伸びているね」「〇秒もできたね」などと良いところを見つけて、少しでも出来たこと、挑戦したことを褒めてあげましょう

■ 番外編:道具を使って遊びましょう

バランスボールに座ってみよう

<レベル1>
① バランスボールを用意します
② ボールの正面に立ち、ボールに手を付き、次に膝を乗せバランスを取ります
③ 前後左右に転がってもケガをすることがないように広いところで行いましょう
注意:バランスボールに慣れないときには、腹ばいになってボールの上に乗り、両手両足を広げてボールの上でバランスをとることから始めましょう。前に転がっても、しっかりと手を出して顔から落ちないようになってから、ボールに乗るようにしましょう

<レベル2>
① 椅子に座るようにバランスボールに座ります
② 床から足を離し、手と足でバランスを取ります
③ 後ろに転がっても頭を打つことがないように、親は後方にいて、後方に転がった時には、受けとめてあげましょう。

<Let’s Eat!きのこの力で子ども健やかな成長をサポート>

ここでは、子どもの健やかな発達に欠かせない「食事」についてご紹介します。皆さんは、食事を単なる栄養素を摂る手段と考えていませんか?食事は、子どもの様々な五感を刺激する働きがあります。

・食べて美味しさを感じる(味覚)
・素材の香りを感じる(嗅覚)
・鮮やかな料理をみて目から刺激をうける(視覚)
・会話でコミュニケーションをとる(聴覚)
・一緒に料理をつくる(触覚)

ぜひ、食事の時間を通して子どもの五感(味覚・嗅覚・視覚・聴覚・触覚)をくすぐると共に、子どもの身体づくりに必要は栄養素をしっかりととって、元気で健康な身体づくりをサポートしましょう。

<おすすめレシピ>

profile

監修 長谷川 尋之

松本大学人間健康学部健康栄養学科専任講師
兵庫大学を卒業後、管理栄養士を取得し、運動と栄養の両面から研究する運動栄養学を大阪体育大学大学院で学ぶ。大学院卒業後は、スポーツクラブアクトス、チームニッポン・マルチサポート事業(栄養)で健康づくりの運動指導やトップアスリート栄養サポートに従事して現職に就く。現在は、運動栄養学の教育・研究とともに、県内・外のアスリートの栄養サポートを行う。
【資格】
管理栄養士、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士、スポーツ科学修士

監修 中島 弘毅

松本大学人間健康学部スポーツ健康学科教授
日本体育大学卒業後、日本体育大学大学院在学中に中国北京体育学院へ交換留学。聖徳大学短期大学部、聖徳大学専任講師を経て、2002年度より松本大学に着任。信州大学大学院 医学系研究科 加齢適応医科学専攻で医学博士を取得。現在は、幼児の運動能力に関する研究などに取組み、レクリエーション関連科目や運動と遺伝子などの講義を担当する。
【資格】
レクリエーション・コーディネーター、体育学修士、医学博士  
 

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