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菌活コラム

残暑の時期も心地良く。蓄積する“夏疲れ”はきのこの力で解消!

2025.08.18
残暑の時期も心地良く。蓄積する“夏疲れ”はきのこの力で解消!

8月も後半となり、二十四節気では「夏の終わり」を意味する「処暑」の時季を迎えます。日中はまだまだ暑さが残りますが、朝晩は少しずつ暑さが和らいでいきます。一方この時期は、長かった暑さによる疲れが表面化しやすいため、残りの夏を楽しむためにも食事から身体を整えていきましょう。

INDEX

夏の不調の原因となる「自律神経の乱れ」はなぜ起こる?

夏の疲れやだるさを引き起こす最も大きな原因が「自律神経の乱れ」です。
自律神経とは、私たちの意思とは無関係に働き、体内をベストな状態に保ち続ける神経の総称。自律神経は、緊張時・興奮時に働く「交感神経」とリラックスしている時に働く「副交感神経」の2種類から成り、互いにバランスをとりながら身体の状態を整えています。
つまり、交感神経とは日中活発に動くための神経であり、副交感神経は身体を十分に休ませ、栄養の吸収や排泄などの生命維持に必要な行為をコントロールするための神経なのです。

自律神経は全身に張り巡らされていますが、外部環境やメンタル面の変化による負荷が大きくなると、バランスが崩れて身体に様々な危険信号を発信します。例えば、不眠や疲労感、頭痛、肩こり、胃痛や便秘などの消化器症状、イライラや不安などとなって現れてきます。夏はこうした不調の引き金となる暑さや疲れ、ストレスなどによって身体への負荷が大きくなり、自律神経が乱れやすくなるのです。

年々暑さの増す夏ですが、今年は全国的に早い梅雨明けで暑くなるのも早かったため、長引く暑さに疲弊している人も多いと思います。暑さによる睡眠不足や食欲不振、室内外の激しい温度差、暑さによるイライラは身体にとって大きなストレスとなります。ストレスを受けるとそれに対応するために交感神経が優位になり、緊張・興奮状態が続きます。今年は暑い時期がより長いため、長期にわたり交感神経優位な時間が増えることで、疲れが蓄積されやすくなっていると考えられます。

自律神経を整える暮らしのヒントと腸の働き

自律神経を整えるためには、まずは生活環境を整えることが大切です。環境省では、夏の理想的な生活環境について、室温は25〜28℃、湿度は40〜60%を推奨しており、温度・湿度の両方を調整することで快適さと健康を両立できるとされています。この基準は健康な成人だけでなく、高齢者や子供・赤ちゃん、ペットの健康リスクにも配慮されています。

また、自律神経を整えるためには、食事の内容を意識することも重要です。中でも、自律神経と密接な関係のある「腸」を整えることが不可欠となります。人体が形成されるとき、一番初めに作られる場所は「腸」といわれるように、腸には自律神経が多く集まっており、全身をコントロールしている器官なのです。

この腸を整えるのに効果がある栄養といえば、食物繊維です。食物繊維が豊富な食材である「きのこ」には、腸の善玉菌を増やす・腸に溜まった老廃物の排出を助けるなど、腸を整える効果があります。また、きのこには免疫維持に役立つ「βグルカン」が豊富に含まれていたり、きのこを食べることで腸内では免疫維持をサポートする「短鎖脂肪酸」が増えたりすることもわかっているため、きのこは夏の体調管理の強い味方ということができるでしょう。

GABAにオルニチンも。夏の体調ケアに嬉しいきのこのチカラ

さらに、きのこには交感神経の働きを抑制するGABAや、ストレスホルモンの分泌を抑制するオルニチンも豊富なため、夏のストレスケアをサポートします。きのこは電子レンジで加熱するだけでも火が通るので、加熱してサラダにトッピングしたり、常備菜にしてストックおかずを作ったりするのもおすすめです。また、レトルト食品にプラスすれば、手軽に栄養バランスアップも叶うので、冷蔵庫に常備しておくと夏の体調管理も無理なく実践できるでしょう。

加えて、食事の時間を一定にすることは体内リズムを整えるのに非常に効果的なため、暑い時期は食欲が湧かずつい食事を抜いてしまいがちですが、少量でも食事を摂る習慣をつけることも大切です。こうした習慣と合わせて、バランスの取れた食事や適度な運動、良質な睡眠を意識することで、自律神経の乱れが改善され、心身ともに健康的な生活を送ることができます。できるところからで構いませんので、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。

暑さのピークは過ぎたとはいえ、まだまだ残暑が続くことが予想されます。室内の温度や湿度を快適に保ち、さらに食事をはじめとした生活習慣を整えることで、自律神経のバランスを整え、心身ともに安定した状態をキープしていきましょう。
また、食事の回数、睡眠時間などのルーティーンを作ることで、リズムのある生活が叶い、自律神経の働きも自然と整えることができます。疲れやストレスを上手に解消しながら、残暑の季節も心地よく過ごしていきましょう!

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profile

池田 正典
医療法人雨宮病院 副院長 / 群馬大学医学部 卒業

石井 華帆
雨宮病院リハビリテーション部 / 理学療法士