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Method of Improving Performance

パフォーマンスアップのカギ!アスリートこそ大切にしたい“入浴”のススメ(後編)

2019.12.16
パフォーマンスアップのカギ!アスリートこそ大切にしたい“入浴”のススメ(後編)

後半では、入浴が身体にもたらしてくれる“効果”を、より具体的に知ってもらうために、実際に別府で温泉入浴をしたアスリートによる検証結果を使って解説していきます。また、みなさんが入浴をするときに知っておいてほしい知識やアドバイスもあわせてご紹介します。

■入浴による具体的な改善例

アスリートに温泉浴をしてもらい、以下の項目を測定しました。
<方法>
別府温泉滞在中、24時間心拍機能付活動量計を装着、睡眠や身体の状況を記録

<入浴時の条件>
1.水分補給
 入浴前… 自分の体重×10ml(脱水を起こさないよう入浴1時間前から水を摂取)
 入浴後… 体重が減った分の水分を補給
2.熱いと思える温度(夏場の41℃)でトータル10分入浴
3.肩まで浸かる

●男性競輪選手 1週間続けて入浴

<事前>
筋肉量が多いので身体の熱が下がりにくく、火照って眠れず、浅い眠りの割合が多かった。
<1週間後>
浅い眠りの時間が非常に短く、布団に入っていきなり深い眠りに入れており、深い眠りの時間が長くなった。数値も上がっており、自覚症状としても「熱い風呂に入ったのによく眠れた」と証言

●1泊のみの女性アスリート

<前日>
なかなか寝付けず、約90分後に入眠しても浅い眠りだった
<翌日>
数分で深い眠りに入っている。たんぱく質の量、たんぱくを合成するホルモンが上がり、入浴によるリセット効果がみられた
蛋白合成能の増加
期間に限らず入浴には効果があることがわかりました。

■湯温にはそれぞれ効果がある

<ぬる湯の効能>

スポーツをして交感神経が優位になっている場合はぬる湯がおすすめです。例えば筋肉量が多い相撲の力士が取組後にぬる湯に入浴するのは、リカバリーとして有効だといえるでしょう。

  • 心地よい温度が副交感神経(くつろぐ)を上げてくれる=疲労回復効果
  • 熱すぎない体温に近い温度での入浴=リラックス効果、ストレッチをするのに有効

<熱(あつ)湯の効能>

いきなり副交感神経を単独で活性化して働かせることは難しいので、いったん効率よく交感神経を刺激するために(深部体温上昇を効果的に上昇させるという観点から)、高温入浴も効果があります。

  • 熱い湯温=血液の循環をよくして血行をよくする
  • 熱い湯に浸かることでの刺激=交感神経を活性化

■より入浴効果を上げるために知っておきたいこと

①水分補給
運動による脱水状態を改善してから入浴するほうが、有効に皮膚血流量、筋肉内血流量を増加させることができます。十分な水分補給をして入浴しましょう。
<入浴前>
一口、二口飲んだだけでは胃にたまるだけで腸にまでいかず、効率よく体に吸収されません。水分は腸から吸収しますので、入浴前の水分補給は、できればゴクゴク飲み、理想では少なくとも1回にコップ一杯程度の量を飲むことをオススメします。
<入浴後> 減少分を補給
入浴前に体重を測っておき、減少した量を摂取するのが目安。水かお茶など種類は問いませんが、お風呂上りのコーヒー牛乳などの定番なものには、たんぱく質も入っているのでより効果的。

②自然熱放散
筋肉量が多いほど熱が身体にこもりやすいです。入浴後は、身体の温度を急激に冷やさず、自然に熱を冷ます方が体に熱がこもるのを防ぎます。水風呂に入ったり、冷たいシャワーを浴びると汗腺が閉じてしまい、熱を放散しにくくなります。締めに熱めの“かけ湯”は理にかなっているのです。

③入浴のタイミング
就寝直前は避けましょう。食事とのタイミングとしては、食前の入浴がおすすめです。入浴後30分ほど空けて食事をするのがベターでしょう。食後の入浴は胃腸への負担が大きいので、食後にしか入れない場合は、1時間程度空けてから入浴するようにしましょう。

入浴効果には個人差がありますが、リカバリー効果に加え、みなさんもご存じのリラックス効果や身体を温める効果も期待できるので、パフォーマンスアップのために、自分に合った入浴法を実施しましょう!

監修者 松田貴雄(Takao MATSUDA)

監修者 松田貴雄(Takao MATSUDA)
独立行政法人国立病院機構 西別府病院 スポーツ医学センター センター長
婦人科(生殖遺伝科)の医師であり、日本スポーツ協会認定スポーツドクターとして、様々なアスリートをサポート。特に、サッカー界における医事活動は長く、1998年より長年にわたり、地元大分のフットボールクラブをはじめ、サッカー女子日本代表“なでしこジャパン”などの帯同ドクターとして、その活躍を支援。2014年度からは順天堂大学女性スポーツ研究センターと共同で文部科学省(現スポーツ庁)事業の、女性アスリート育成・支援プロジェクト「女性アスリートの戦略的強化に向けた調査研究」の一部を委託され、女性スポーツ界の競技力向上のための研究に携わる。

今月の菌勝メシ

パフォーマンスアップのカギ!
アスリートこそ大切にしたい“入浴”のススメ

入浴によるリカバリーと合わせて行いたいのが食事による疲労回復です。エネルギー源となる糖質、糖質の代謝を促すビタミンB1を積極的に摂ることでリカバリー効果を高めることにつながります。

きのこたっぷりスタミナ豚丼

疲れを取るためには食事選びも大事なポイントです。きのこに豊富なビタミンB群はエネルギー代謝を促して疲労回復効果が期待できます。また豚肉に豊富なビタミンB1は主にエネルギーの素となる糖質の代謝を促して、きのこのビタミンB群の効果を高め、さらにニラに含まれるアリシンはビタミンB1の働きを高めるため、疲労解消を後押しします。
試合の前日や練習後に食べたいオススメメニューです。

レシピイメージ きのこたっぷりスタミナ豚丼

【協力】NPO法人ジュース(JWS)

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