Method of Improving Performance

アスリートは特に注意! ~パフォーマンス低下の原因は貧血にあり⁉~(前編)

2019.10.01
アスリートは特に注意! ~パフォーマンス低下の原因は貧血にあり⁉~(前編)

スポーツの秋。暑さも落ち着き、試合や競技会が催されるなど、アスリートにとって身体を動かすのが楽しい季節がやってきました。ところが中には「疲れやすい」「集中力、持久力が落ちた」「夏の疲れが出たのかな」と、パフォーマンス低下を感じながら競技をしているアスリートもいるかもしれません。そんなとき、頭に思い浮かべてほしいのが”貧血では?”という疑問符です。貧血の基本的な情報から、スポーツをしているからこそ気をつけたいポイントをご紹介します。

そもそも貧血とは?

水分

私たちの身体は、全身に張りめぐらされた血管に血液が流れることで、生きるために大切な酸素や栄養素などを運搬しています。ところが、血液中の赤血球や、 赤血球に含まれる ヘモグロビンが不足すると、それらを運ぶ能力が低下し、身体に不調をきたしてしまう、これが貧血です。
貧血のうち9割以上を占めるといわれるのが「鉄欠乏性貧血」。
食事による鉄分の摂取不足や吸収障害、出血などによって体内の鉄が不足することが原因となって起こります。また激しいトレーニングを続けるアスリートは、鉄の排出や需要が多いため、貧血のリスクが高いといえます。

ヘモグロビン

一般的な貧血と「アスリートの貧血」「スポーツで生じる貧血」

貧血の診断は、ヘモグロビンが正常域にあるかどうかで判断します。スポーツで生じる貧血の統一した基準はありませんが、WHOでは以下のように基準を定めています。

吹き出し
ヘモグロビン値による国際的貧血判定基準(WHO)
成人男性 13.0g/dl以下
成人女性 12.0g/dl以下
小児(6~14歳) 12.0g/dl以下
フェリチンの貯蔵

またアスリートの貧血の指標にはヘモグロビンだけでなく、貯蔵鉄であるフェリチンがあります。鉄は体内で代謝、再利用されていて、基本的には尿などによる微量の排出にとどまるものなのですが、アスリートのように大量の発汗や体内での鉄需要が増えると、不足分を貯蔵鉄から補って均衡を保とうとします。例えるなら、ヘモグロビンは“お財布”、フェリチンは“銀行口座”です。

アスリートの場合、ヘモグロビンの低下が見られなくても、貯蔵鉄が低下した段階でパフォーマンスに影響が出てきます。このように貯蔵鉄が減少した段階を「アスリートの貧血」と呼んでいます。

ヘモグロビン

「スポーツで生じる貧血」はもともと「運動性溶血性貧血」といわれるもので、陸上長距離やバレーボール、剣道など足裏に強い衝撃を受ける(赤血球の破壊が起こりやすい)競技に多いといわれていましたが、最近では筋肉に貯まった乳酸などのせいで赤血球が壊れやすくなることで起こる貧血と考えられています。いったん生じると、壊れた赤血球に含まれていた鉄を再利用できなくなることで治りにくくなります。

成長期は男女ともに注意が必要

一般的に貧血は女性に多いと思われがちですが、実はヘモグロビンの数値(下図参照)でいうと、小児の間は男女同じレベル。ですから、成長期では男女関係なく貧血に注意する必要があります。
また、小学校高学年から高校までの思春期では、身体が大きく成長するために筋肉や血液を増やす必要があり、鉄の需要が増します。見た目にやせている子が貧血と思われがちですが、体格がいい子ほど貧血になるということもあるのです。
それに加えてスポーツをすると、さらに赤血球が壊れやすくなるわけですから、成長期アスリートは特に貧血にならないよう気をつけなければなりません。

男女の貧血の割合

図にあるように、ヘモグロビン濃度は成長していく過程で男女に違いが出てきます。男性は、造血に関わるテストステロンというホルモンが急増することに加えて、壊した鉄を再利用するために必要なハプトグロビンの合成も増えることで、成人男性だけヘモグロビン濃度が突出して高くなり、貧血があまりみられなくなります。
女性は月経が始まることで貧血の危険が高まるとされていますが、経血によって鉄の排出が増えることだけが貧血の原因ではありません。鉄が体内で再利用されていることはすでにお伝えしましたが、実は食事から得られる鉄の24倍もの量が体内で再利用されています。そのため、再利用に必要なハプトグロビンの合成が低いと、鉄が一度消費されてしまった場合にはなかなか治りにくい、これが女性や子どもにおける貧血の特徴です。

水分
水分

監修者 松田貴雄(Takao Matsuda)

監修者 松田貴雄(Takao Matsuda)
独立行政法人国立病院機構 西別府病院 スポーツ医学センター センター長
婦人科(生殖遺伝科)の医師であり、日本スポーツ協会認定スポーツドクターとして、様々なアスリートをサポート。特に、サッカー界における医事活動は長く、1998年より長年にわたり、地元大分のフットボールクラブをはじめ、サッカー女子日本代表“なでしこジャパン”などの帯同ドクターとして、その活躍を支援。2014年度からは順天堂大学女性スポーツ研究センターと共同で文部科学省(現スポーツ庁)事業の、女性アスリート育成・支援プロジェクト「女性アスリートの戦略的強化に向けた調査研究」の一部を委託され、女性スポーツ界の競技力向上のための研究に携わる。<

今月の菌勝メシ

アスリートは特に注意!
~パフォーマンス低下の原因は貧血にあり⁉~

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【協力】NPO法人ジュース(JWS)

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