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Method of Improving Performance

アスリートは特に注意! ~パフォーマンス低下の原因は貧血にあり⁉~(後編)

2019.10.15
アスリートは特に注意! ~パフォーマンス低下の原因は貧血にあり⁉~(後編)

前半では、貧血の基礎的な知識を中心にお話しましたが、後半はアスリートにどのような影響を与えるのかを解説。また、特に貧血に気をつけてほしい子どもや女性アスリートに向け、知っておきたい障害などについても触れ、貧血を未然に防ぐポイントをお伝えします。

アスリートが貧血になったら

具体的にアスリートが貧血になると、パフォーマンスにどのような影響が出るのでしょうか。
疲れやすい、だるさ、息切れ、めまいなど、一般的に貧血でみられる症状のほか、以下をはじめとする能力低下がみられます。

【持久力】 【動体視力】 【判断力】 【集中力】

これらが低下することでパフォーマンスの低下、記録の伸び悩みにつながります。
競技によっては記録にまで如実に現れるものもあります。酸素運搬能力は貧血による影響が大きいことから、貧血になると持久力が低下します。また陸上中距離などのアスリートにとってはここぞというときとにスパートがかからない状態で、実際に陸上中距離ランナーでは800mの記録が5秒違うと報告されました。

女性アスリートと貧血

女子中高生がパフォーマンス低下を訴えてきた場合、まずは貧血かどうかを診断することから始めます。なぜなら、貧血は「エネルギー不足」の指標となるからです。
中学生から高校生になる時期(15~16歳)の女子サッカー選手を対象に調査したところ、トレーニングなどによって“体重増加≒骨格筋の増量”という時期が存在することが示唆されています。こういった時期の女性アスリートが「体重が増えた」といって減量のために食事制限をしたり、運動量が増加してもそれに見合ったエネルギーを摂取しなかった場合、利用できるエネルギーが不足し、それに伴い、男性に比べるともともとあまり高くないテストステロンがさらに低下して造血が低下します。さらに鉄の再利用に必要なハプトグロビンの合成も消費に追いつかないことで貧血が治りにくくなります。
貧血はエネルギー不足の指標で、貧血にならないようにすることは、女性アスリートが陥りやすいFAT*(女性アスリートの三主徴;Female Athlete Triad)を未然に防ぐことであり、無月経や女性に多い疲労骨折などのスポーツ障害を防ぐことにもなるのです。

ダイアリー

メディカルチェックのすすめ

貧血はアスリートに起こりやすい症状です。貧血だけでなく心身のコンディションをチェックするようにしてください。早めに身体の変調に気づくことが、なによりも大切です。それ以上に大切なことは、体内での鉄の再回収(再利用)がきちんとできる身体の状態を保つために、運動後のリカバリーをしっかり行うこと。この中には、バランスのよい食事を摂ることや睡眠を十分にとることも含まれます。エネルギー不足にならない生活習慣で丈夫な身体をつくり、アスリートとしてぐんぐん成長していってください。

ミスの回数で貧血チェック

貧血になると集中力がかけたり、動体視力の低下で、日頃ないミスをしたりします。ミスが増えたのは、気合が足りないのでなく、貧血のせいかもしれません。

ダイアリー

やる気が低下するのも、エネルギー不足からくる“貧血の影響”の可能性大です。風邪をひきやすくなったり、胃腸炎になるのもストレスではなく、エネルギー不足のせいかもしれませんよ。

監修者 松田貴雄(Takao Matsuda)

監修者 松田貴雄(Takao Matsuda)
独立行政法人国立病院機構 西別府病院 スポーツ医学センター センター長
婦人科(生殖遺伝科)の医師であり、日本スポーツ協会認定スポーツドクターとして、様々なアスリートをサポート。特に、サッカー界における医事活動は長く、1998年より長年にわたり、地元大分のフットボールクラブをはじめ、サッカー女子日本代表“なでしこジャパン”などの帯同ドクターとして、その活躍を支援。2014年度からは順天堂大学女性スポーツ研究センターと共同で文部科学省(現スポーツ庁)事業の、女性アスリート育成・支援プロジェクト「女性アスリートの戦略的強化に向けた調査研究」の一部を委託され、女性スポーツ界の競技力向上のための研究に携わる。

今月の菌勝メシ

アスリートは特に注意!
~パフォーマンス低下の原因は貧血にあり⁉~

スポーツの秋。暑さも落ち着き、試合や競技会が催されるなど、アスリートにとって身体を動かすのが楽しい季節がやってきました。ところが中には「疲れやすい」「集中力、持久力が落ちた」「夏の疲れが出たのかな」と、パフォーマンス低下を感じながら競技をしている方も。スポーツをしているからこそ気をつけたい貧血におすすめの菌活メニューをご紹介します。

鉄分たっぷりきのこオムレツ

アスリートには特に気を付けたい貧血を予防する栄養満点メニュー!きのこには造血作用のある葉酸が豊富。アスリートに不足しやすい鉄が豊富なほうれん草やひじき、卵とヘム鉄の吸収を助けるビタミンCが豊富なじゃがいもを使った具だくさんオムレツです。きのこがたっぷり入っているため食べ応えもアップ!食事から栄養をしっかり摂って貧血を予防しましょう!

レシピイメージ 鉄分たっぷりきのこオムレツ

【協力】NPO法人ジュース(JWS)

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