子どもの“成長スパート”を見逃すな!(前編)
2019.05.01子どもの頃、「どうしたら身長が伸びるだろう?」と考えたことありませんか? そして、あるとき身長の伸びが止まったことに気づき、「もっと背が高くなりたかった!」と悔やんだ人も多いはず。懸命にスポーツに取り組んでいる子どもに後悔をさせないためにも、知っておきたいのが“成長スパート”のお話です。
そもそも身長はいつ伸びる?
人生の中で、身長がぐんと伸びる時期が2回あります。一番伸びるのは第一次成長期。約50㎝の身長で生まれた新生児は、生後1年で急激に成長し、1年後には70~80㎝にまで成長します。そして4歳になる頃には、新生児期の約2倍近くになるほど身長は伸びます。
次に大きな成長を見せるのが第二次成長期です。個人差はありますが、男子は約13.05歳、女子は約11.06歳頃にあたります。この頃になると男子はヒゲが生え始めたり、女子は胸が膨らんでくるなど、性による身体の変化が現れてきて、メンタルも含め成長に伴う変化が生じてくる、いわゆる思春期といわれる時期を迎えます。
この第二次成長期には、1年間に男子は約10〜12㎝、女子は約8㎝も身長が伸びるのです。この急激な伸びをみせるこの時期を“成長スパート”といいます。成長スパートの時期を過ぎると、身長の伸び率(1年あたりの伸び幅)は徐々に減少し、一般的に男女共18歳頃には身長の伸びが止まります。
成長スパートを知る方法とは?
では、どうやったら成長スパートを知ることができるのでしょうか。私が指導している大学生からは、「(成長期をすでに過ぎてしまったので)もっと早く知りたかった」とよく言われます。なぜなら、多くの競技において高身長であることは競技力向上に有利に働くからです。だからこそ、“成長スパート”のチャンスを見逃すのはもったいないのです。見逃さない方法はいたってシンプル。
まずは、両親からの予測身長を計算してみましょう。<予測身長の計算式>これで自分の予測身長がわかります。
男子= (両親の身長の合計+13)÷2+2
女子= (両親の身長の合計−13)÷2+2
※ 最近は親世代と小世代の格差がほぼなくなったとされ、上記の計算式に「+2」を入れないことが多い傾向にあります。
もっとも重要なことは、予測身長よりも大きくなることを目標に、定期的に身長を計測し、成長の変化を記録していくことなのです。そして、身長曲線が上へ向かって大きく傾いたら、成長スパート突入のサインです。
予測身長に達しなかった、私自身の経験談
ちなみに私の父の身長は175㎝、母の身長は164㎝なので、私の予測身長は、(175+164-13)÷2+2=「165cm」ということになります。しかし実際には158cmしかなく、7cmも足りていませんでした。私の姉は164㎝ありますので、私が十分に成長できなかったことがわかりました。その原因として思い当たることがたくさんあります。
私は中学校時代にバレーボールをしていました。バレーボールの練習時間はとても長く、いつも夜8時すぎに家に帰り、ご飯をたべて、宿題をしてから就寝。翌朝は朝練習があり6時半には家を出る生活をしていました。睡眠時間は5、6時間だったと思います。また、牛乳が嫌いでほとんど飲んでいませんでした。さらに、コーチや先輩がとても怖く、いつもストレスを抱えていました。「睡眠不足」、「栄養不足」そして「ストレス」と、中学校時代は成長を妨げることばかりが重なっていたのです。私は身長が低いことに劣等感を感じ、高校ではバレーボールを続けることを諦めてしまいました。たまたま、違う競技で頑張ることができましたが、大好きなバレーボールの夢を叶えられなかったことは残念なことです。
私のような失敗がないように、本来獲得するはずの身長まで確実に成長するためにも、成長スパートを見逃さず、予測身長まで、または予測身長プラスアルファとなるようにしましょう!
■成長スパートを知る実践法
成長スパートを把握するための計測は、学校で行う年一回の身体測定だけでなく、成長期のアスリートの場合は少なくとも3か月に1回は測ってください(1か月に1回、月誕生日に計るのが理想的です)。測った身長は、体重と一緒に記録・管理していきましょう。
成長をサポートするソフトウエアを活用
成長スパートを見逃さないためのソフトウエアも開発されており、こちらの活用をお勧めします(下記参照)。このソフトを使えば、成長スパートを確認できるだけでなく、エネルギー不足かどうかなども把握でき、健やかな成長をサポートすることができます。
【(参考)成長曲線作成ソフト】女性アスリートヘルスサポート(FAHS)ソフトウエア
「スラリちゃん、Height!」(順天堂大学女性スポーツ研究センター)
https://www.juntendo.ac.jp/athletes/surari/surari_download.html
※無料ダウンロードが可能です
次回、後編では予測身長以上に身長を伸ばすために、注意すべき重要なポイントをお伝えします! お楽しみに!
- 監修者 鯉川なつえ(Natsue Koikawa)
- 筑紫女学園高等学校に進学と同時に陸上競技を始め、'90年3千米で日本高校新記録を樹立。順天堂大学に進学後、’92年日本インカレで3千米、1万米の二冠を達成、ハーフマラソンでは学生日本新記録を樹立。’93、’95年のユニバーシアードに2大会連続で日本代表として活躍。卒業後、三田工業(株)に入社。その後、順天堂大学大学院を経て、現在は順天堂大学スポーツ健康科学部先任准教授、同大陸上競技部女子監督。’14年より、女性スポーツ研究センター 副センター長。
女性スポーツ研究センターウェブサイト https://www.juntendo.ac.jp/athletes/
【協力】NPO法人ジュース(JWS)
素敵な賞品をGetしよう!