ポリアミン
ポリアミンとは、人体を形成する細胞一つ一つすべてに存在している、人が生きるために必要不可欠ないくつかの成分の総称です。アミノ酸から作られる物質で、代表的なポリアミンには「プトレシン」「スペルミジン」「スペルミン」があります。
もともと人には体内でポリアミンを作りだす能力がありますが、年をとるにつれてその能力が衰えてしまいます。そこで重要になるのが、日々の食事からポリアミンを体内に取り入れること。年を取ってもポリアミン量を維持して全身の細胞の健康を保つことが、若さを保つことに役立つと考えられています。
寿命の延伸や発毛、抗炎症作用が期待される
ヒト細胞、マウスや酵母などいくつかの生き物において、ポリアミンを摂取することで寿命が延びる効果が報告されています(1,2)。
また、ポリアミンは加齢で減少することが知られていますが、90~100歳を超えるような長寿の方では体内のポリアミン濃度が30~50歳と同程度に維持されているという報告もあります(3)。このことから、ポリアミン濃度を維持することが長寿の要因の一つではないかと考えられています。
また、ポリアミンの一つである「スペルミジン」を含有したサプリメントを用いて行った臨床試験では、脱毛を抑制する効果がみられており、ポリアミンの脱毛抑制効果が期待されています(4)。
また、ポリアミンは食品から摂取するほかに、腸内細菌によって作り出すことも可能です。
腸内細菌由来のポリアミンを増加させることで、ポリアミンの増加とともに高齢者の腸の炎症マーカーの状態を改善したという報告もあり、抗炎症効果が期待されています(5)。
ポリアミンはきのこに多く含まれる
ポリアミンが多い食品として、きのこや、納豆などの豆類などがあげられます。きのこの種類によってポリアミン量は違いますが、特に霜降りひらたけにはポリアミンが多く含まれていることが分かっています。
ちなみに、ポリアミンは熱や酸に強く、水に溶けやすい性質があります。炒め物や蒸し物、汁物など料理全般におすすめですが、茹でて使う際には汁にポリアミンが溶け出してしまうため注意が必要(6)。茹で汁をスープとして活用するなどして、余すことなくポリアミンをとるのがおすすめです。
きのこに含まれるポリアミン量

参考文献
- (1) Soda K, et al., PLoS One., 2013, 8(5), e64357.
- (2) Eisenberg T, et al., Nat Cell Biol., 2009, 11(11), 1305-14.
- (3) Pucciarelli S, et al., Rejuvenation Res., 2012, 15(6), 590-5.
- (4) Rinaldi F, et al., Dermatol Pract Concept. 2017,31;7(4):17-21.
- (5) Matsumoto M, et al., FEMS Immunol Med Microbiol. 2001,31(3):181-6.
- (6) Muñoz-Esparza NC, et al., Foods., 2021, 10(8), 1752.