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Do my best, GO! 〜輝く女性たち

第5回 クックパッド株式会社 Evangelist、コーポレートブランディング本部長 小竹貴子さん

2021.04.13
第5回 クックパッド株式会社 Evangelist、コーポレートブランディング本部長 小竹貴子さん

自分らしさを探求しながらイキイキと人生を楽しんでいる方に、生き方のヒントを伺う連載企画「Do My Best, Go!」。第5回は、クックパッド株式会社でコーポレートブランディング本部長を務める、小竹貴子さんのインタビューをお届けします。

「クックパッド」初代編集長で、日本最大の料理レシピサービスへと成長させた立役者のひとりである小竹さん。2009年には、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010」も受賞されています。会社のため、社会のため、家族のため。日々アクティブに過ごす小竹さんのライフスタイルと、忙しい中でも健康と笑顔をキープする秘訣を伺いました。

小竹貴子さん

<料理のファン>をもっともっと増やしたい

2021年4月現在、投稿レシピ数は349万品超え。世界74カ国・地域、32言語でサービスを展開している、日本一の料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」。小竹さんは、自身を含め社員が3人しかいなかった頃、クックパッドに入社した初期メンバーのひとり。現在はコーポレートブランディング本部長を務め、精力的に活動しています。

「クックパッドは<毎日の料理を楽しみにする>という企業理念をとても大事にしている会社で、私含め仲間たちすべてが、その理念を実現させることを軸に働いています。クックパッドのメインのレシピサービスは、今日のごはん何を作ろうというレシピを検索するユーザと自身のおいしい料理を多くの人に広めたいという投稿する人をつなぐコミュニティです。日々お料理をしている人たちに寄り添い、便利に簡単に料理を楽しむ場でもあります。
また、そもそも料理に接する機会の少ない人もたくさんいますよね。まずは、その人たちにいかに<料理に興味をもってもらう>きっかけをつくるか、これは最近の私自身のテーマとなっています。

料理はときどきなら楽しいけれど、毎日続くと負担と感じてしまう。家事のタスク、退屈な労働と思われがちです。でも、視点をあげ、そこに<地球への貢献>や<社会の豊かさ>につながると気付けば、もっと楽しく料理と向き合うことができそうです。「料理が人や社会や環境にどんな影響を与えるのか、料理の健康効果、料理と食品ロスの関係など、企業や大学と共同で、料理にまつわるさまざまな調査・研究を行っています。<栄養学>ならぬ、<料理学>ですね。それを普及するために、料理のワークショップや講演会を行ったり、学校とコラボして食の授業をともにつくっていく活動もしています。
料理についての研究というのは、あまり前例がなく、だからこそ今やりがいはあります。この先、料理を楽しむ人が増えたら、人間にとっても社会にとっても地球にとっても、ハッピーなことばかりですよね」と、にっこり。未知の世界への挑戦にもポジティブに取り組んでいる様子が伝わってきます。

小竹貴子さん

「ひとりで頑張ろう」から「一緒に頑張ろう」へ

もともとは専業主婦だった小竹さん。WEBディレクターの経験を経て、クックパッドに入社したのが32歳のとき。4年後には、36歳の若さで執行役に就任という異例のキャリアの持ち主です。

今まで何度となく訪れたであろう、人生の転機。何を基準に取捨選択をしてきたのか尋ねると、「ずっと自分が心地いい場所を探している感覚はあります。20代の頃は会社を転々とするばかりでしたが、クックパッドに入社して、やっと楽しいと思える仕事に出会えた。そこに共感しあえる仲間がいたから、続けられたのでしょうね」とのお答え。しかし、さらにその4年後、なんとクックパッドを退社することを決意します。

小竹貴子さん

「ちょうど二人目の子どもを出産するタイミングで辞め、フリーランスのフードエディターになりました。編集長を経験していたので、自分で何でもできると思っていたんですが……できませんでしたね、仕事も子育ても(笑)。それで、44歳のとき、クックパッドに戻りました。フリーランスを経験して気付いたのは、ひとりでやるには限界があるということ。30代の頃は<全部ひとりで頑張ろう、頑張ってもムリだったら仲間やシッターさんにお願いしよう>というスタンスでしたが、最初から悩みをみんなと共有して<一緒に仕事をしよう、一緒に子育てをしよう>という考えに変わりました。この経験は会社での仕事にも生かされていて、<ほかの人の手を借りながら頑張ろう>と素直に頼れるようになりましたね」

仕事で大切にしていることを聞くと「ユニット作りです」と、小竹さんは即答してくれました。「以前は自分に足りない能力を補ってくれる人材を探していましたが、今は人柄だったり、尊敬できる部分があるメンバーを迎えるようにしています。いいユニットをどう作るか。やっぱり最後は<人>なんですよね」

小竹貴子さん

パフォーマンスを上げるには、心と体の健康が不可欠

プライベートでは中学1年生と小学3年生、二人姉妹の母。手が離れたとはいえ、仕事のほかにも家事、お子さんの世話と、“やるべきこと”は尽きないはず。そんな忙しさの中でもイキイキと笑顔を絶やさない小竹さん、一体どんな秘訣があるのでしょうか。

「仕事相手にとっても家族にとっても、私が健康であることは大事ですよね。パフォーマンスを上げるためにも、<自分メンテナンス>にはものすごくコストをかけています。3年前にパーソナルコーチをつけてランニングを始め、今でも週に2回は4キロほど走っています。睡眠もコロナ禍でリモートワークになり、1日6時間とるように見直したら、調子がいいですね。あとは、やっぱり食。量は腹七分目にして、「腸」によいとされる食材を意識してとるようにしています」

積極的に取り入れているのが、みそや塩麴、しょうゆ麹などの発酵食品、良質でフレッシュなオイル、そして、きのこ。「特にきのこは、毎日のように食べます。朝のおみそ汁には必ず入れますし、ソテーにしたりサラダにしたり、煮物に入れたり……。エリンギ、まいたけ、霜降りひらたけをミックスすることが多いです。食感が違って楽しいですし、それぞれ栄養素が違うんですよね。腸内環境を整えてくれる食物繊維にビタミンB群、ビタミンD……。手頃な価格でこれだけの栄養がとれるって、コスパのいい食材だなと思います」

小竹貴子さん

お気に入りのきのこ料理として挙げるのが、炊き込みごはん。驚くのが、きのこを<後入れ>するところ。生どんことエリンギを薄切りにしたら、エリンギの半量を残して炊飯器に入れ、米、だし、調味料と共に炊きます。炊き上がったら、残りのエリンギを加えてフタをし、3分蒸らせば完成。「料理研究家・浜内千波先生に教わったアイデアがベース。最初から炊き込むときのこが縮んでしまいますが、この作り方だとシャキシャキの食感が楽しめるんです。炊き立ての白いごはんにブナピーを入れ、数分蒸らすだけでも、おいしい即席混ぜごはんができますよ」

小竹貴子さん

週に一度は、自分のために料理を作ってほしい

「料理が大好き」という小竹さんですが、それでもお子さんが小さかった頃は、料理をするのがストレスだった時期もあると振り返ります。「忙しい日は無理にやらなくていいと思いますし、家族や子どものために作ってばかりでは疲れてしまいますよね。週に一度は自分が食べたいものを、自分のために作ることを大事にしてほしいです。料理は本来ワガママでいいものですし、なぜか自分のためだとおいしく作れるんですよ」と笑う小竹さん。

2020年に発売した著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』(日経BP)にも、料理初心者や料理を負担に感じている人へのあたたかなエールが綴られています。

「例えば、ドレッシングは酢とオイルが1対1と覚えておけば、あとは自分の好きな味にアレンジできますよね。ひとつふたつでいいので、わざわざレシピを見ないでも作れる料理があると、ずいぶん楽になります。自分でクリエイティブに作れることこそ、料理の楽しみ。それをみなさんに伝えていけたらいいですね」

料理は一時のものではなく、ずっと続きます。つらいものではなく楽しいことだと視点を変えられるようになれば、今よりもっと、おいしいものが溢れる世界になる――。小竹さんの笑顔を見ていると、そんな幸福な予感に包まれるのでした。

小竹貴子さん
小竹貴子さん

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小竹貴子

(こたけ・たかこ)

■クックパッド株式会社コーポレートブランディング・編集担当本部長。1972年、石川県生まれ。WEBディレクターを経験後、2004年、有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)に入社し、2006年に編集部門長、2008年に執行役就任。2010年には「日経ウーマンオブザイヤー2011」を受賞。2012年、クックパッド株式会社を退社してフリーランスとなり、2016年に復職、2020年9月より現在のポジションに。料理教室の開催や簡単でおいしいレシピ提案など、個人での活動も精力的に行い、2020年に発売したレシピ本『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』(日経BP)も話題に。

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