Do My Best, GO! 〜アスリートの舞台裏

プロアスリートを支える食事に迫る。第12回 サッカー・中村 憲剛さんインタビュー

2021.11.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第12回 サッカー・中村 憲剛さんインタビュー

明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。第12回に登場していただくのは、2020年に現役を引退した中村憲剛さんです。川崎フロンターレ一筋で築いたプロ生活18年。日本代表としても長く活躍したサッカー界のレジェンドは、どのような食生活、身体作りを意識して第一線で戦ってきたのか、その思いを伺いました。

引退され、メディアの仕事や子ども達への指導等、様々に活躍されている中村さんですが、まず、中村さんご自身の子どもの頃の食事について教えてください。

「恥ずかしながら、そこまで多く食べる方ではありませんでした。小学校、中学校時代は特に身体も小さく、胃袋も小さかったので、食に対してそこまで貪欲ではなかったのかもしれません。でも高校時代に成長期に入り、グッと食べる量が増えました。そして大学やプロでは栄養学を学びましたが、今思うのは……小さい頃からもっとしっかり食べれば良かったということです。これは本当に後悔しています。もしそうしていれば、小学生の頃からもっと身長が伸びていたかもしれません。

今でこそなくなりましたが、小さい頃は好き嫌いもあるほうでした。世の中にはそういう子はたくさんいると思いますが、好き嫌いせず、たくさん食べれば怪我や病気もしにくくなるはずです。僕はプロになれましたが、小さい頃からしっかり食べる分には、悪いことはありません。偏った食べすぎにだけは注意して、食事を楽しめれば良いですよね。」

サッカーを続ける中で、身体的なハンデを感じたこともありましたか?

「高校2、3年くらいまでは身体的なハンデしか感じなかったです。高校2、3年で20センチくらい身長が伸びましたが、それまではかなり苦しみました。正直、サッカーが楽しくなく、距離を置いた時期もありました。そういう意味で、ハンデを抱えていましたが、逆にそのハンデをどう埋めるかを考え、小さくてもできるプレーを意識した結果、身長が伸びたことも合わさり、自分の頭の中で考えていたプレーより表現できるようになりました。だから、今、もし体格面で悩んでいる子がいたら、その経験を伝えたいですね。

引退セレモニーでも話させてもらったのですが、人と比べた時のハンディキャップを良い方向に持っていけるかは自分次第です。「小さいから自分はダメだ」と考えるのではなく、「小さくても自分はこれができる」という発想を持ち、親御さんやコーチの方々も、一緒に考えてあげることが大切です。すべては自分発信で変えていけます。ただ自分が変わらなくては、周りも変えられません。自分がそうした道を歩んできたからこそ、強く伝えたいですね。身体が小さいから諦めて、やらないのが、一番もったいないと思います」

食事についてより考えるようになったきっかけやタイミングはありますか?

「大学で寮生活をして、5大栄養素を意識するようになりました。また自炊もしていたので、2日に一度くらいの頻度で鍋を作り、野菜、豆腐、鶏肉、豚肉、そしてきのこ類も含めて具材も色々、考えていましたね。2、3人でお金を出し合って、スーパーで特売などを狙ったりして。ちなみに僕特製のキムチ鍋はお店で出せるレベルだと自負しています(笑)。」

栄養を考えながら自炊をされていたのですね。栄養や食材についても意識されている中村さんですが、「きのこ」もよく食べられていたとのこと。好きなきのこ料理があれば教えてください。

「お話しした鍋や、あとバターソテーが好きです。きのこを食べれば免疫力が上がると言いますし、ビタミンDも取れて身体に良いですからね。昔からよく食べています」

ビタミン、ミネラルが豊富で、食物繊維も含むきのこは「サッカー」でいえばどんな存在でしょうか?

「ボランチであり、サイドバックですね。要は彼らが機能しないとチームは上手く回りません。チームを下支えするポジションで、ビタミン、ミネラルも身体を支えますからね」

きのこに豊富な食物繊維には「腸」を整える働きも注目されていますが、体調管理において大切と言われる「腸」についても意識されていますか?

「そこまで敏感にはなっていませんが、暴飲暴食はしない、等、腸に負担をかけないことは意識しています。あとは水分をよく取るようにしています。現役の時はよく汗をかくので自然とよく飲んでいましたが、今はより意識的に飲むようにしています。腸がしっかり働いてくれれば健康を保てると考えていて、そのために大事なのは食事と水分だと思います」

サッカーにとってスタミナ、タフさは欠かせないと思いますが、食事を摂る際に意識していたことはありますか?

「プロになって数年は細かく気にしていました。例えば油っぽいモノや生モノは食べないだとか、トンカツは衣を省いて食べるだとか。でも一時期、そういったことに神経質になったものの、パフォーマンスはなかなか上がらず……。そこで、食べたいものを我慢せずに、身体が欲しているモノを食べるようにしました。例えば、焼き肉を食べたくなったら、妻には申し訳なかったですが、ご飯を途中まで用意してもらっていたのに、それは翌日にいただいて、『今日は焼き肉を食べに行こう』と。

食べたいということは、身体が欲しているんだと考えるようになったんです。頭の回転が遅い時にチョコを食べたいとか、炭酸水を飲みたいとか……。全部、思った時に口にするようにしました。そうしてストレスを少しずつ減らしたら、自然とパフォーマンスが上がったんです。それは30歳手前あたりからですかね。だからお菓子も普通に食べていました。

ただ……、ですよ。量を考えなくちゃいけません。好きなモノばかり食べるのではなく、大事なのは適量を守ることです。そして我慢せずに好きなモノを少し食べ、幸福感を得るやり方が、自分には合っていたと思います。これは人それぞれなので、合う人と合わない人がいます。中村憲剛としては我慢するやり方と、好きなモノを食べるやり方、両方を経験して比較したからこそ編み出せた方法です。

だからこそ、皆さんにも自分流を見つけてもらえればと思います。僕はチームメイトによく羨ましがられました。『なんで40歳近いのに好きなモノを適当に食べている選手があのパフォーマンスなんですか』と。

食事は大事ですが、プロにとってはパフォーマンスがなにより大切です。口にするモノを規制しすぎて、パフォーマンスが落ちたらそれこそ本末転倒です。栄養の基礎知識は学びながら、自分に合ったやり方を見つけ、パフォーマンスを向上できればベストですよね」

中村さんは強いというより、柔らかくしなやかなイメージですが、ストレッチや筋トレなどで工夫していたことはありますか?

「ストレッチは一日、3、4回していました。自分の身体がしっかり動かないのに、筋トレをしても仕方がないと考えていたんです。まずは可動域の100パーセント、自分の限界値を出して、そこから筋肉をつけるようにしました。しなやかさを養えたのは、そういう意識があったからこそだと感じています。あとは怪我の防止でもあったので、ストレッチは基礎練習より大切にしていました」

そういったポイントは、子ども達への指導の際にも大切にされているとか。中村さんがご両親から受けたサポートや、子ども達への指導で大切にしていることについて教えてください。

「両親から、命令や強制をされたことはなかったですね。基本的には僕の考えがあって、それをサポートしてもらえました。そういう両親で、本当にありがたかったです。僕は自分の生きたい道を進ませてもらえました。自分が親になって、子どもに『言いたい』という場面もありますが、僕の両親はそういう時でも、口を挟まず、そっと後押ししてくれました。勉強も『やれ』と言われるのではなく、『やらないで困るのは自分だぞ』と諭されました。自分もその言葉を聞いて『やらなくちゃまずい』と考える子どもだったので、僕のそういう性格も理解してくれていたのだなと、振り返って感じますね。

だから僕も子育てや指導で強制はしたくありません。僕の思ったようにプレーさせるのが、指導者の役割ではないですからね。選手たちのアイデアや発想を表現させてあげるために、サポートするのが指導者の仕事だと思っています。そこにはやはり両親の教えが関わっていますよね。あれやれ、これやれと言うのは簡単です。でも、それは子どもたちのためにはならないはずです」

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では、最後に夢を追いかける次世代の選手たちへ、アドバイスをお願い致します。

「自分の可能性に自分で蓋をしてほしくないです。引退して改めてそう思いました。子どもたちを見ていても、上手くいくこと、いかないことがありますが、上手くいかないのは自分に自信がなかったり、不安があったり、歩みが遅くなるからこそです。

もし苦しい時でも、どう成長していくか、どう脱却していくかを自分で考える。歩みを止めるかどうかは自分次第。周りはいろいろ言うと思いますが、責任を取るのも自分ですからね。

自分が良いと思ったことを能動的にやってみる。自分で決めて自分で動く。頑張る子には周りが手助けをしてくれるはずです。一歩一歩、自分のなりたいものに邁進してもらいたいですね」

中村さんの Do my best,GO!

■好きな言葉、座右の銘は?
「感謝・感動・感激」

■ストレス解消法やリラックスの方法は?
家族といること

■競技人生の中で忘れられないシーンは?
2017年のリーグ初優勝の瞬間です

■これからの目標、目指す姿は?
模索中です。すべてが選択肢であり可能性だと思っています。そのために今は知見と見分を広めている段階です

■中村さんにとって「サッカー」とは?
もう人生すべてです。間違いなく中村憲剛はサッカーに生かされ、育ててもらいました。それを今度は皆さんに還元する番になったと感じています。だから、これからもサッカーと生きていきます

中村さんが今食べたい菌勝メシ

コメント

食べたい物を食べること、栄養バランスを取ることの両方を大切にしているので、鍋にすることでより多くの栄養を一回で取れる点はありがたいですね。きのこは免疫を高める、食べたら健康になるイメージが強いので、この時期のコンディショニングにもぴったりだと思います。

栄養たっぷり!きのこのごま豆乳鍋

きのこに豊富な食物繊維は免疫細胞の集まる腸を整えて免疫力の向上に役立ち、白菜に含まれるビタミンCは粘膜を強化してウイルスの侵入をブロックします。様々な栄養が詰まった鍋を食べて、寒い冬も元気に!きのこの旨味と栄養分が溶け出た汁を〆として楽しむのもオススメです。

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profile

中村 憲剛

(なかむら けんご)

1980年10月31日生まれ、東京都出身

小学1年時にサッカーを始め、東京都立久留米高校、中央大学を経て、2003年に川崎フロンターレに加入。プロ1年目から試合出場を重ね、06年に日本代表に初選出される。07年のAFCアジアカップ、10年のFIFAワールドカップに出場。クラブでは8度のJリーグベストイレブン、最優優秀選手(16年)に選出されるなど川崎Fを象徴する選手として活躍。2020シーズンをもって現役を引退。現在は、育成年代への指導や解説活動などを通じて、サッカー界の発展に精力を注いでいる。

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