プロアスリートを支える食事に迫る。第8回パルクールアスリート・朝倉聖選手
2021.07.01プロとして活躍する方々のインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。
第8回は、新時代スポーツ、パルクール界の若きエース朝倉聖(SEI)選手のインタビューをご紹介。自分の身体のみを使って表現し、勝負をする世界にいる彼の、アスリートとしてのコンディショニング術や、アーティストとしての個性についてお伺いしました。
パルクールは、全身を使うとてもハードなスポーツだと思うのですが、子どものころから運動は得意でしたか?
「運動神経はよいほうだったと思います。体育のマット運動、跳び箱などは得意でした。ただ球技全般が苦手で、なにかルールを考えたりするものはあまり得意ではなかったですね。もともと動くのは好きだったのですが、ハマれるものが見つからず、中学の部活は美術部に入りました」
美術部ですか? 絵を書くのが好きだったのですか?
「いまも好きです。僕は母子家庭だったのですが、母親が仕事に行っている間は、ひとりの時間が多くて、いつも母親の用意してくれたペンと紙で、黙々と絵を書いていました。」
書道も得意と聞いたのですが?
「学校の先生に字がきれいだねと褒められて、それがきっかけでずっと続けています。いまは8段で、子どもに教えられる資格も持っているんですよ」
では、パルクールを知ったり、やってみたいと思ったきかっけは?
「中学2年生の時にテレビから流れてきたパソコンのCMです。パルクールをしている映像が使われていたのですが、その動きが繊細で、きれいで、とても印象に残りました。美術とか書道とか、なにか表現することには興味があったので、身体で表現することもできるんだな、と思ったことが始まりでした。CMに出演していたZENさんは、今では一緒に活動するようにもなりましたが、変わらず僕にとってのヒーローです」
パルクールをはじめる前まではインドアな印象もありましたが、パルクールアスリートになって、身体のコンディション維持のために意識していることはありますか?
「体に負荷をかけすぎないことですね。一時期はかなりの練習漬けだったのですが、最近は、なるべく気が乗らない時、体調がだるいなと思ったら練習をしないようにしています。ケガにもつながると思いますし、無理やりやることでストレスがかかってしまうと思うので、そういうときはきちんと休んで、調子が良いときにしっかりやるということ心がけています。また、調子を整えるためにも、自分の身体に意識を向けたり、食事の内容を意識したりしていますね」
食事で意識していることを教えてもらえますか?
「ヴィーガン(※)食です。ただ、ヴィーガンといっても、かっちりとしたものではなくて、自分の場合は8割9割くらい。ストレスを溜めたくないので、誰かと食事に出かける時などは、動物性のものが入った汁物はOKとか、たまにお肉も一切れ二切れ食べたりしています。また、エネルギー切れにならないように、普段から白米をたくさん食べる、など工夫しています」
(※)ヴィーガンとは、食生活において肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品を食べないとする主義のこと
どのような効果を感じていらっしゃいますか?
「動物性のものを食べると頭がボーとすると言いますか、モヤがかかっているというか。しばらくやめた後に動物性のものを食べると、とくに実感しますね。続ける中で体調の良さを実感したり、成績にもつながるように感じています。
また、変っていると思われるかもしれませんが、『僕は見えないもの』も信じています。運とか自然の力とか、そういうものを感じてパフォーマンスをしたい。そのためには五感が鈍い状態ではダメ。少しの判断ミスが、大きなケガにつながってしまうので、危険を感じるセンサーにも敏感でなければなりません。ですから、食生活は大切なんです」
その中で、いま積極的に取り入れているものはありますか?
「最近は、スムージーですね。バナナとアボガド、豆乳に合わせています。アボガドが大好きです。それから納豆と・・あと、きのこも意識して食べるようにしています。ヴィーガンの食事をしている中で、肉厚なきのこはお肉みたいで食べ応えがありますよね。特に食感が好きです。また、きのこは和食・洋食・中華などどんな料理にもなれるイメージで、良く取り入れています。中でも汁物や炒めものが多いですね。」
きのこは特に、腸の活性化させる役割があると評価されているのですが、そのことは意識されていますか?
「知らなかったです。胃腸が弱いので、そのポイントは気になりますね。乳製品や炭酸もだめで、あとは冷えたものもお腹を壊してしまいます。最近はどんな食べものがよいのか調べたり、メンバーと情報交換をするようになってきたので、きのこについてももっと知りたいと思います」
身体をつくったり感覚にも影響する食事。朝倉選手はまさに今、ご自身にあう食事を大切に考えられているのですね。話は変わりますが、最近目にする機会が特に増えているパルクールですが、全身を使うパルクールは、さまざまスポーツのトレーニング方法としても取り入られているようですね。
「パルクールにはもともとトレーニングとしてのカルチャーがあり、肉体のみならず精神を鍛える目的がありました。それから身体の使い方、日常の簡単なところで言えば、転んだ時などの回避方法、距離が足りなかった時のうしろに転がる動きだったりとか、高いところで落ちた時にコロンと回る動きだったり、身を守る術を学べます。スポーツの側面だけでなく、そうしたルーツやカルチャーも多くの人に知ってもらいたいですね」
まだまだ日本では新しいスポーツという印象がありますが、意味や文化的側面も深いのですね。観るスポーツとしては、どんなところに注目したらよいですか?
「フリースタイル部門は、自由度が高い分、性格が出やすいと思っています。それぞれいろいろなかたちがあるので、そこを見てほしいです。僕の場合は、苦手なことより、好きな事をつきつめるタイプなので、苦手な鉄棒はあまり取り入れていないです。それからひねくれた性格なので“THE 王道”は好まなくて、ファッションもそうですが、パルクールでも流行の技はしません。ちょっと外したり、変化をつけたり、人と違うことをしようと意識しています」
そのあたりがSEI選手の魅力であり、強みになっているのですね。SEI選手のパフォーマンスを見ると、力強いというよりも、しなやか、華麗という表現が合う気がします。
「技やフォームの美しさにこだわっているので、そういっていただけとうれしいです」
ご自身のこだわりを大切にされ、体現されている姿はスポーツをするすべての方、特にジュニアアスリートにとっても勇気づけられることだと思います。最後に、スポーツをする子どもたちへメッセージをお願いします。
「僕自身の経験で語るのであれば、スポーツはコミュニケーショツールとしての側面があります。僕はしゃべるのが苦手で、学校でも決まった友達としか話しませんでした。そんな時、絵を書くことを覚えて、そこで表現をすると、友達が寄ってきて、自然と会話や疎通ができるようになりました。そのツールがパルクールに変わったというイメージです。
インドアからアウトドアに変わったことで、今までと違って、いろいろな場所にも行くようになりましたし。いまでも英語は苦手ですけど、海外の人もコミュニケーションを取れたりもできるようになりました。これはあらゆるスポーツに通ずることですが、上手になっていけば、続けていけば、世界が広がりますし、自分を支えてくれる、大切な存在になってくれると思います」
きのこらぼ限定公開 INTERVIEW
最後に、子どもたちへ、食事の面についてのアドバイスもお願いします。
「まずはたくさん食べること。オススメはやっぱり白米かな。パワーの源のイメージがあります。あと、きのこ。何をするにしても、身体が資本ですから」
朝倉選手のDo my best,Go!
■好きな言葉、座右の銘は?
好きな言葉は「ありがとう」です。そう感じられたことも含めて素敵だなって。座右の銘は健康第一!
■ストレス解消法やリラックスの方法は?
なるべくストレスがかからないように過ごします。
■競技人生の中で忘れられないシーンは?
やっぱりドイツの優勝かな。そこから出会う人もいただく仕事も変ってきたので。
■これからの目標、目指す姿は?
ヒーローみたいな存在になりたい。
■朝倉選手にとってパルクールとは?
コミュニケーションツール。自分を表現するもの
朝倉選手が今食べたい菌勝メシ
コメント
パルクールは全身を使う競技なので、エネルギー不足にならないようご飯をしっかり食べています。こちらのメニューはきのこ、ネギ、ごま油が食欲をそそります。僕自身、身体に良いものを食べようと思っていてヴィーガンの食事をしていますが、きのこは体に良く、肉厚で食べ応えがあるので、好きでよく食べています。
どっさりきのこのねぎ塩丼
きのこにはエネルギーの素となる糖質の代謝を促すビタミンB1が豊富なので、ごはんと合わせれば効率の良いエネルギーチャージが叶います。また、長ねぎのアリシンはビタミンB1の働きを高めるとされるので、合わせるのがオススメ!ヘルシーなうえに大満足のスタミナレシピです。
profile
(SEI)
1999年3月27日生まれ。monsterpk Crew所属。神奈川県出身。
中学生の時にパルクールと出合い、独学で練習に励み高校卒業後、日本トップのパルクール集団monsterpk Crewに加入。華麗に動き回る独自のスタイル「SAINTKOUR」を武器に、2019年日本選手権初代王者、国際大会で日本人初の優勝を成し遂げるなど、世界レベルの実力を示した。ソニーのスマートフォン・Xperiaの魅力を発信する「Xperia Ambassadors」や「TEAM G-SHOCK」メンバーとしても活動している。
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