PAGETOP
Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第42回 体操競技・谷川 航選手インタビュー

2024.05.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第42回 体操競技・谷川 航選手インタビュー

アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回登場するのは、体操の日本代表として東京オリンピックに出場し、男子団体総合銀メダルに輝いた谷川航選手。体操競技への思いや、幼いころから意識していた食事のとり方、今後の目標などをお伺いしました。

まず、体操競技を始めたきっかけを教えてください。

子どもの頃に通っていた幼稚園(健伸幼稚園)に体操クラブ(健伸スポーツクラブ)があったことです。幼稚園の時から体操の時間にクラブの先生に教えてもらい、小学校入学と同時にそのクラブに入りました。

弟の翔(かける)選手も体操選手です。子どもの頃はどんな兄弟でしたか?

翔は僕の2歳下です。子どもの時に同時に何かをやればもちろん年上の僕が勝つのですが、自分が2年前に翔と同じようなことを出来ていたかなと考えると、いつも翔が先を越していた気がします。翔はまだ1年生になってない時から、僕の体操の迎えに母と一緒に来て先生に補助されながら体操をしていましたから、スタートが早かったんです。近くで僕のことも見ているから、どんどん色々なことを出来るようになっていましたよ。


<左:航選手 右:翔選手>

中学3年生まで健伸スポーツクラブで、高校は市立船橋高校へ進みました。練習時間や取り組み方に変化はありましたか?

中学3年生までは練習時間がすごく長くて、平日は夕方4時半から夜10時まで。休みの日は午前10時から夜6時、7時までやっていました。高校では短い時間の中で効率よく練習することを覚えていきました。

中学校までは先生に言われたことをそのままやっているだけだったのですが、高校に入ってからはある程度自分で考えて、その中で必要なことだけを先生に教えてもらうようになったのです。自分で練習メニューを作っていくことを考え始めたのも高校時代です。

高校ではインターハイなどで活躍し、順天堂大学3年だった2017年に初めて世界選手権の代表に選ばれましたね。

当時はまだ、代表に入ろうという気持ちが今ほどは強くなかったと思います。代表になれたら良いなという気持ちで選考会に出場したのですが、意外と「ゆか」の調子が良く、思った以上に点数が出せて、いつの間にかメンバーに入っていたという感じでした。本番の世界選手権では失敗して良い結果ではなかったのですが、その経験から世界でもっと頑張りたいと思えましたし、自分の可能性を感じるきっかけになったと思います。

そして、2021年東京オリンピックに出場して団体銀メダル。2017年から毎年代表入りして迎えた大舞台はどのような場所でしたか?

試合中は自分たちの演技に集中していましたから、(ライバルの)ROCや中国のことはあまり考えていませんでした。大きなミスを出すことなく最後までやりきれたので、僕としては満足感がありましたね。ただ、細かいミスは何個かあったので、もう少し行けたなという気持ちもありました。

さらに、2022年の世界選手権で念願の個人総合銅メダルを手にしました。どんな気持ちでしたか?

やはり僕は個人総合で戦いたいという気持ちが強いので、このメダルを取れたことは自分の中で自信になりました。それまで何度も世界選手権を経験してきましたが、個人総合の決勝に出たのは2022年が初めて。少ないチャンスで結果を出せて良かったです。

ジュニア時代から活躍されてきた谷川選手ですが、子どもの頃、食事面で好き嫌いはありましたか?

食べられないほどではなくても、好きではないものが結構ありました。でも頑張って食べるようにしていました。好きではないけど食べたほうが良いのだろうなと思いながら、できるだけ好き嫌いしないように意識して食べていたと思います。

食事は体作りにも大切だから、という意識でしょうか?

はっきりと体を作るためと考えていた訳ではないですが、やはりアスリートとして好き嫌いするよりはいろいろ食べたほうがバランスよく体が作れるんじゃないかなとは思っていましたね。

バランス良く食べることの大切さはどこで教わりましたか?

自分から学習したのではなく、小学校の授業や給食の時の放送で「バランスよく食べましょう」「残さずに食べましょう」と言われていたからだと思います。グリーンピースが嫌いで、ナス、ピーマンもあまり好きじゃなかったのですが、食べないよりは食べた方が得だと思って残さず食べていたので、それが習慣になったのかなと。


<左:航選手 右:翔選手>

学生時代の食生活はどのようにされていましたか?

大学生からは寮生活となったのですが、食事が用意される環境ではなく自分で管理していました。栄養価を考えてというレベルではなかったですが、できるだけバランスが良くなるような食生活を心がけていました。ただ、いま振り返ると毎日きちんとした食事をすることはできていなかったと思います。

その後世界で活躍される機会も多くなりますが、海外遠征で食事に困ったことはありますか?

好き嫌いがあまりないので、海外へ行っても現地の食事に順応できますね。世界選手権などでは栄養士の方が帯同して食事面を管理してくれます。栄養士の方がいない遠征の時は、お湯を注いで食べるアルファ米や、開けるだけで食べられるタイプの魚やお肉や和食を持って行きますが、現地のご飯でも問題なく食べられています。

社会人になって6年。今はどんな食生活ですか。

所属のセントラルスポーツから夕食のお弁当と、朝食用のおにぎりを出してもらっています。体重変化はあまりなくて特にカロリー計算はせずに、適度な分量を食べている感じです。好きなものをお腹いっぱいになるまで食べて、いっぱい練習しているとちょうど良い感じです。

ジュニア期から「バランス」を意識されていましたが、栄養価の高い「きのこ」も食事に登場していましたか?好きなきのこや、エピソードがあれば教えてください。

エリンギや椎茸が特に好きです。きのこは食感が良いですし、うま味が出てくる感じや食感が好きです。所属先のセントラルスポーツで出してくれるお弁当にはほぼ毎日、きのこが入っているんです。先日、チームメートとその話題になって、「毎回入っているということは栄養価が高いということだね」と話しました。きのこを食べることで腸内環境が良くなるということも知ったので、食べながらそういうことも意識しています。

どんな料理にきのこが入っているのですか?

お弁当には毎回必ず味噌汁やスープが出るのですが、そこに入っていることが多いです。マリネのようなサラダの中にエリンギが入っている料理も美味しかったですね。

今後の目標を聞かせてください。

オリンピックで金メダルを獲ることが小さい時からの夢なので、パリでそれを達成したいというのが今年の最大の目標です。自分の演技に集中して自分の力を出し切れば入れると思っているので、自信持って選考会に挑んでいきたいと思います。

つらい練習や壁を乗り越えるためのアドバイスがあればお願いします。

うまく行っている時は楽しいから色々なことができると思うんですけど、調子悪い日や時期があると、そこでどんどん落ち込んでいって、さらにそれが悪い流れに繋がっていってしまうこともあります。だから、もし調子が悪くても、そういう日もあるよねという軽い気持ちになるとか、その分は明日しっかりやろうとか、そういう切り替えは大事だと思います。

あとはやはり楽しくないと競技を続けることは難しいですし、やる気も出てこない。コンディションはメンタルの状態で左右されやすいので、しっかり気持ちをコントロールすることも大事です。そのために、上手くいかない日もあるよねと考えることが大切だと思っています。

きのこらぼ限定公開 INTERVIEW

最後に、アスリートの皆さんへの、食事面のアドバイスをお願いします。

好き嫌いをしないでバランスよく食べる、ということですね。普段とは違う環境や海外へ行ったときに急に食事面で苦労するようなことにならないように、そんなに好きでないものでも食べられるように慣れておくのは必要なことですね。また、好きなものだけ食べていたら、どうしてもバランスが悪くなってしまいますし、体作りの観点から考えたらバランスよく食べることが大事だと思います。


谷川選手のDo my best,Go!

■ 好きな言葉、座右の銘は?
「楽しい体操」。楽しくなかったら継続していけないし、何のためにやっているのかなと思ってしまいますから。

■ 競技人生で忘れられないシーンは?
東京オリンピックでミスなく最後までつなげられたことです。すごく嬉しかったですし、達成感がありました。

■ リラックス方法
一人で家でごろんとすること。何も考えずに中でゆっくりすること。寝ること。

■ これからの目標
オリンピックの金メダルは最大の目標ですが、試合以外の部分でも体操教室などのイベントをやって体操に興味を持ってくれる人、体操を始める子どもを増やしたいという目標があります。

■ 谷川航選手にとって体操とは?
自分の個性を発信できるもの。自分を表現するものです。

谷川選手が今食べたい菌勝メシ

コメント

自分が食べたいと感じるものを大切にしながら、色々な食材をバランスよく食べるようにしています。きのこは栄養価が高いと感じていて、食感がよくうま味もあるので好きな食材の一つ。きのこと黒酢の組合せも良さそうで、色々な栄養がとれるところもよいですね。

きのこの黒酢酢豚

きのこに豊富なビタミンB群は三大栄養素を代謝し、エネルギーや筋肉づくりを助けます。お肉や野菜もいっしょにバランスよくとれる、アスリート応援メニューです。

詳しく見る>


profile

谷川 航

(たにがわ わたる)

1996年7月23日 160センチ 千葉県船橋市出身
幼稚園児の頃はショー・コスギのアクションクラブに通い、2歳下の弟の翔と一緒にテレビ番組やCMなどに出演。小学校1年から体操を始め、順天堂大学3年だった2017年に世界選手権で初めて日本代表入りを果たす。2018年、2019年も代表入りし、2021年には東京 2020 オリンピックで男子団体総合銀メダルを獲得。2022年世界選手権では男子個人総合銅メダルに輝いた。抜群の跳躍力を武器とし、得意種目はゆか、跳馬、平行棒。

協力:THE DIGEST

きのこらぼに無料会員登録をしていただき、ログインした状態で記事をご覧いただくとポイントがもらえます。
貯まったポイントは、プレゼント応募にご利用いただけます。