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子どもの問題解決能力と自己肯定感を育てる!
今すぐ実践したい子どもを“育てる”接し方

2022.06.01
子どもの問題解決能力と自己肯定感を育てる!<br>今すぐ実践したい子どもを“育てる”接し方

水無月に入りました。子どもたちは学校生活に慣れてのびやかに生活をしている頃ではないでしょうか。遠足などの学校行事を通して、友だちとのかかわりも増えてきたことと思います。こんな時に子どもを見守る親としては、先の様子が見通せるだけに心配な事柄も増えていきます。そこで今月は、お家で子どもと過ごす時間の中で、子ども自身をしっかりと成長させる接し方についてお話していきたいと思います。

■今月のTOPICS

・「かわいい子には旅をさせろ。」その意味を改めて考える
・「教えること」と「考えさせること」。自分で問題解決ができる子どもへ導くには
・お家の中で子どもの主体性や自己肯定感を育てる「お手伝い」のススメ
・6月の食事 ワンポイントアドバイス~バテやすい梅雨時期の体調管理~

「かわいい子には旅をさせろ。」その意味を改めて考える

誰もが自分の子どもはかわいく、いい子に育ってほしい、失敗もしないに越したことはない、と思います。しかし、昔の人は「かわいい子には旅をさせろ。」と言いました。今の旅と違い、昔の旅は自分の足でどこまでも歩いて行きます。疲れたと休んでいたら次の宿場まで行き着かずに夜なってしまいますし、山道にはたくさんの危険が潜んでいます。
そんな旅にわざわざ出すのは、「多くの経験を積ませること」に意味があることを知っていたからです。どのルートを通るのが安全か、どのようなものを用意したらよいのか、事前に準備する事柄はたくさんあります。また、実際にやってみて出会ったことへの臨機応変の対応、同じことは繰り返すまいと工夫することなど、すべてが経験になります。
子どもの時期に、自分の力で成功や失敗の経験をすることがその後の人生においてもとても重要だということは、昔も今も変わらないと思います。ぜひ子育てにおいては、子どもの「転ばぬ先の杖」になるよりも、失敗経験も含めて様々な経験をさせてあげてください。

「教えること」と「考えさせること」。自分で問題解決ができる子どもへ導くには

先月の記事でもご紹介しましたが、親の基本的な立場は「見守り、導くこと」だと思います。そのため、物事の基礎となる「やり方」や「考え方」は親がしっかりと教えます。やり方を習得したり、考えて応用したりしていくことは、子ども自身に任せます。そうすることで、「考えて実行していく」力が育ちます。
例えば、傘の広げ方や閉じ方、ハサミなどの道具の使い方や始末の仕方は親が教えます。教えた後は子ども自身で実行できるかを見守り、困っているようならば、何に困っているかを聞きながら子ども自身が自分自身で使えるように(問題を解決していけるように)アドバイスをしながら導きます。

ここでまず大切なのは、子どもをじっと見守ることと、子どもがSOSを出せる関係でいることです。中には「できないと叱られる」と思い、うまくSOSを出せない子どももいます。そのため、もし子どもがSOSを出したら「よく聞いてくれた。」と言葉で伝えてあげてください。

また、子どもがつまずくポイントは、大人からみれば些細なことで「それは、こうやると簡単にできるよ。」とつい言いたくなります。しかし、我慢して、「何に困っているか」をじっくり聞き、そのうえで、どうすれば解決できるかを一緒に考えます。
そうすることで、子ども自身が、自分は何に躓いていて、何に困っているのかを整理することができますし、そこを保護者の方と一緒に解決できれば、仕組みがわかるので、次に似た問題に躓いた時には自分一人で問題を解決できるようになります。時間はかかりますが、ぜひ、心に余裕を持ちながら、一つ一つ子どもの声を確認しつつ、何を言いたいのか、何をどう困っているのかを聞き取ってあげてください。

お家の中で子どもの主体性や自己肯定感を育てる「お手伝い」のススメ

ご家庭の中で子どもの成長に繋がることとしておすすめしたいのが、子どもの主体性や自己肯定感を育てる「お手伝い」です。一般的には「お手伝い」と呼びますが、ここではあえて、家の「仕事」と呼ぶことにします。保護者の方が「仕事」と捉えて子どもと接することで、子ども自身に「毎日自分が責任をもって行うものだ」「自分がやらないと家の人全員が困ってしまう」と感じてもらうためです。そうすることで、次のような効果が期待できます。

〈子供に家の「仕事」をさせるメリット〉
・家での時間の使い方を考えるようになる
・仕事のやり方を考える中で問題解決能力や積極性が身につく
・自己決定や自己責任が身につく
・家族の一員として信頼されていると感じ、自己肯定感が高まる
・報酬(お小遣い)を与えることで、金銭感覚が身につく

これらのメリットが期待できる家での「仕事」について、ぜひ意識していただきたいのが「手を貸さない」で「見守る」ことです。
例えば、「風呂掃除」を仕事にした場合。子どもが学校から帰って、仕事をしないで遊びに出かけてしまい、帰りが遅くなったとします。すると、ついつい保護者の方が、そっと風呂掃除をしてしまいそうですね。でも、そこを我慢していただきたいのです。
任された仕事がされていないのですから、家族がお風呂に入れず、困ってしまう。しまった、迷惑をかけてしまった、と感じることや、その事への反省は、子どもの責任感を育てることに繋がります。もちろん、失敗することなく仕事を行い、「ありがとう」と感謝されることでも、責任感や自己肯定感が高まります。
失敗を経験したり、自分が行う「仕事」の大切さを感じたりすることで、責任感や自己肯定感が高まります。また、仕事を効率的に行う方法を考えて工夫することで、主体的な行動へと発展していきます。

また、最近の傾向として、子どもが欲しいと思うものは何でも買い与える傾向があるようです。そこで、「仕事」は子どもの金銭感覚を育てるのにも役立ちます。それが「仕事」に対して報酬(お小遣い)を与える方法です。
洗濯物たたみ10円、玄関掃除5円、風呂掃除10円など仕事1回の値段を決めて支払うことで、子ども自身が目的をもって仕事をすることを学ばせることができます。臨時にどうしても欲しいものができたときは、仕事を効率的にたくさんしてお金を貯めて購入する、ということもあるかもしれませんね。

最後に、具体的な仕事の内容と、子どもの仕事内容の決め方についてご紹介します。
仕事の内容には、玄関掃除、ゴミ出し、ポストから配達されたものを取り出すこと、テーブルふき、配膳、ご飯炊き、お風呂掃除、食器洗い、などたくさんあります。「これをやってね」と指定する方法もありますが、まずは子どもと一緒に「家の中で必要な仕事はどのようなものがあるか」を探していただくことおすすめです。そうすることで、家の中にはたくさんの仕事があり、それをお家の方がしてくださっていることへの気づきにもなります。

また仕事の内容を探し出したら、難易度によって仕事の値段を決めたり、子ども自身に、どれを自分の仕事にしていくかを選ばせたりします。自分で選ばせることで、自分で決めたことだからと責任感をもって臨めたり、たくさんある仕事の一つを自分が担当するという家族からの信頼感を感じたりすることに繋がります。報酬も得られるとしたら、なお励みになるでしょう。
また報酬は、金銭だけではありません。是非、お家の方が、「ありがとう。〇〇してくれたので、気持ちがいいなあ。」のような言葉をかけてください。言葉がけもやる気を持続させるための大事な力になります。
※家の仕事をしてお金を払うのは、どうかと思われる方もいらっしゃると思います。労働の学習、金銭感覚の学習をするのでなければ、仕事をしてくれたことへの感謝の言葉を報酬にしただけでもよいと思います。

子どもに何かをさせるのは、時間がかかったり、足りない部分があったりと、かえって手がかかることもたくさんあります。しかし、そういう時には「ここが汚れやすいから、もっとこうする方がきれいになるよ」「こういう順番でやると早く終わるよ」と時々アドバイスを行うことで、子ども自身が考えるきっかけにもなります。ぜひ、お子さんの成長のためにも、「見守る」心で接してあげてください。

6月の食事 ワンポイントアドバイス ~バテやすい梅雨時期の体調管理~

蒸し暑い日や肌寒い日が交互にやってくる梅雨は、疲れやすさや不調を感じやすい時期。子育てをされる保護者の方は日々の忙しさも重なり体調を崩しやすい時期でもありますので、頑張りすぎず、栄養バランスの取れた食事で心身を労わることも大切です。
寒暖差による不調の原因の大きな一つに、自律神経の乱れがあります。自律神経を整えるためには規則正しい生活習慣や、自律神経の多く集まる「腸」を整えることが重要。特に腸は「第二の脳」「健康の要」とも呼ばれており、腸を整えることで様々な不調を遠ざけることができます。
腸を整えるためには、きのこに豊富な食物繊維が効果的です。食物繊維は老廃物の排出を促したり、善玉菌のエサとなったりすることで腸を整えます。また、きのこには汗で失われやすいカリウムやエネルギーづくりをサポートするビタミンB群が豊富なので、夏の元気を身体の内側から支えます。
うま味たっぷりのきのこ料理で、身体を労わりながらエネルギーを蓄え、梅雨時期も元気に乗り越えていきましょう。
(監修:ホクト管理栄養士 德田美咲)

子育てには、近道がないと最近つくづく思います。本人が気づき本当にそうだと思ったときに変化が生まれるので、人が成長するのには、時間が必要です。
昔、「人は生涯成長し続ける」と発達心理学で学んだときに、嬉しくなったことを思い出します。体力は衰えますが、精神性は成長し続けるのだそうです。人生100年時代の今、子育てにおいても目先のことで一喜一憂するのでなく、長い目で見ながら、心に余裕を持って接していただけたらと思います。

梅雨の時期です。どうぞ、健康に注意して子育てを楽しんでください。

profile

望月 保美

(ガイダンスカウンセラー、上級教育カウンセラー、特別支援教育士)
東京都の元小学校教諭。
現在はカウンセラーとして小学校を訪問し、授業の様子や児童の活動を観察して子どもの特性やその対応方法、指導法を先生方に伝える活動を行っている。
また、高等学校では友人同士の関わり活動を通して、友人や自分を理解する方法について演習等も実施。
教育カウンセラーを目指す方への学習サポートも行っている。

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