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Method of Improving Performance

ゴールデンエイジが発育発達のカギ(前編)

2020.02.01
ゴールデンエイジが発育発達のカギ(前編)

子どもの運動能力低下が危惧されている昨今、発育発達のカギといわれる、5~15歳の「ゴールデンエイジ期(プレ、ポストゴールデンエイジ含む)」に着目。 オリンピアンや世界に名をとどろかすアスリートたちも、成長過程でしっかりと積み上げてきたものの上に今のプレーが存在します。その土台を築く重要な年代が「ゴールデンエイジ」です。 お子さんがスポーツをしている、またはこれからスポーツをさせたいと思っている方必見です!

ヒトが生まれてから成人するまでの過程で訪れる“ゴールデンエイジ”。具体的には9~12歳頃をゴールデンエイジといい、その前の時期(~8、9歳頃)をプレゴールデンエイジ、後の時期(13歳頃~)をポストゴールデンエイジといいます。
では、なぜゴールデンエイジの時期が様々な能力を伸ばすといわれるのか。子どもの発育発達を示したグラフからご説明します。

■スキャモンの発育発達曲線

言うまでもなく、子どもは小さな大人ではありません。成長していくプロセスで、見た目だけでなく、臓器や脳・神経系など、年代によってそれぞれの器官や機能が異なる曲線を描いて発達していきます。
見ておわかりのように、成長期ではそれぞれの発達の度合いがアンバランスな状態となっています。

スキャモンの発育発達曲線
■神経型
6歳ごろまでに大人の9割まで成長
■リンパ型
例えば小学生年代は発熱等が多いものですが、その時期にいろんな病気などを経験することで免疫ができます。
■一般型
身長や体重の変化
■生殖型
性差の確立

様々な成長過程を経て、20歳前後でバランスのとれた状態、つまり成人となるのです。
ところが、このアンバランスなゾーンこそが、運動技能を獲得する千載一遇のチャンス。“ゴールデンエイジが発育発達のカギ”といわれる理由がここにあります。

■成長とともに積み上げよう

年代別スポーツの関わり方

出典:JFA C級コーチ養成講習会

ゴールデンエイジを充実させるためには、子どもがスポーツと出会う低年齢期から、長期的な視野を持って、レンガのように積み上げていくことが大切です。
そもそも子どもにとってのスポーツは、最初は遊びから始まり、徐々に“競技”と“レクリエーション”のどちらかの方向性に分かれていくことになります。
サッカーに例えてみると、キッズ年代はボールを操ることの楽しさやゴールを決める喜びなどを味わう“エンジョイフットボール”で、サッカーという競技自体を好きになっていく時期です。その中で5~8歳頃の間に動きのうまさや器用さを伸ばしていき、10歳頃までにはサッカーの基礎であるボールフィーリング(ボール感覚)が完璧になるまでに成長。それらの積み重ねがあって、U-12年代(ゴールデンエイジ)では、良い判断をしながらゲームの中でテクニックを発揮することができる選手に成長していきます。
スピードやテクニックといった素晴らしい個性を持っているのに、ゲームで活かせない選手がいますが、そこに欠けているものこそ、ゴールデンエイジまでに体得するはずの基礎(基礎に関しては後半で詳しく説明します)。自分の良さをさらに発揮するため、クリエイティブ(創造的)なプレーのために基礎は必要不可欠。土台がなくては、せっかくの個性も宝の持ち腐れとなってしまいます。成長する過程で、より効果的に身に付く時期を見逃さず、しっかりと積み上げていくようにしましょう。

■発達発育からみたゴールデンエイジの概念

運動技能を獲得するために重要といわれる3つの要素をご紹介しましょう。

  • 運動するのにふさわしい身体の状態かどうか(筋/骨格系動作習得のレディネス)
  • 人間における運動をコントロールする神経の発達(神経系の発達)
  • 頭の柔らかさ(脳・神経系の可塑性)

発達発育からみたゴールデンエイジの概念

発育発達から見たゴールデンエイジの概念

出典:JFA C級コーチ養成講習会

グラフに見られるように、プレゴールデンエイジでは神経系はほぼ完成しているものの、動作の習得に対する準備がまだ不十分であることがわかります。
ゴールデンエイジになると、身体の形態的にもやや安定してきて、動作習得の準備も整ってきます。加えて、年齢とともに下降する「脳・神経系の可塑性」、いわゆる柔軟に対応できる性質がまだ残っていることから、3要素が良いバランスになっており、動作習得に最も有利といえます。このことから一生に一度だけ訪れる“即座の習得”を備えた時期といわれます。
即座の習得とは、初めての動作でも見よう見まねですぐにできてしまうこと。
大人になると、ある動作をしようとしたときに「手の位置は…」「タイミングは…」などと考えてから動作に移すものですが、子どもは見たものを直感で捉え、大人でも難しい動作を即座に習得することができるのです。
またこの時期に習得した動作(技能)は、大人になっても落ちないといわれていますので、基礎を築くのに適した時期といえるのです。

後半はこのグラフを参考に、各ゴールデンエイジをどのように過ごしたらよいのかご紹介いたします。

監修者 吉村雅文(Masafumi Yoshimura)

監修者 吉村雅文(Masafumi Yoshimura)
名門クラブチームの枚方フットボールクラブ(大阪)に高校まで在籍し、順天堂大学でプレー後、同大大学院へ進み、サッカー部コーチを務める。卒業後は同志社大学、東京電機大学で教鞭をとり、2000年から順天堂大学へ。指導者としては、1996年にオランダへのコーチ留学を経験。2014年まで順天堂大学蹴球部監督として指揮を執るほか、2013年のユニバーシアード競技大会で日本代表監督としてチームを率い、銅メダルを獲得している。全日本大学サッカー連盟技術委員長、関東大学サッカー連盟技術委員長などを歴任。
また2009年には総合型地域スポーツクラブ「NPO法人レーヴェン」を創設。順天堂大学さくらキャンパスをベースに、学生が中心となって運営する同クラブは、世代を超えた参加者とともに地域社会に貢献している。
順天堂大学スポーツ健康科学部長 教授Ph.D。専攻はコーチ学、トレーニング科学。

今月の菌勝メシ

ゴールデンエイジが発育発達のカギ

発育発達のカギといわれる『ゴールデンエイジ』と呼ばれる時期にアスリートの土台となる基礎のプレーを習得することはもちろん重要ですが、身体づくりの基本となる栄養をバランス良くきちんと食事から摂ることが大切です。エネルギーや筋肉の素となる三大栄養素ときのこに豊富な潤滑栄養素を意識した食事がオススメです。

きのこの彩り卵とじ牛丼

きのこに豊富な潤滑栄養素はごはんやお肉に含まれる三大栄養素を効率よく働かせて、エネルギーや身体づくりを後押しします。彩りの良い野菜を入れることで栄養バランスもアップ。たくさん食べてしっかり成長できる身体を作りましょう。

レシピイメージ きのこの彩り卵とじ牛丼

【協力】NPO法人ジュース(JWS)

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