PAGETOP
Do my best, GO! 〜輝く女性たち

第7回 アウトドアスタイル・クリエイター 四角友里さん

2021.06.01
第7回 アウトドアスタイル・クリエイター 四角友里さん

自分らしさを探求しながらイキイキと人生を楽しんでいる方に、生き方のヒントを伺う連載企画「Do My Best, Go!」。第7回は、山ガールブームの火付け役で、現在も女性ならではの視点から多彩なアウトドアスタイルを発信している四角友里さんのインタビューをお届けします。

登山を楽しむ女性“山ガール”の立役者である四角さんは、山スカートをはじめ、数々の女性向けアウトドアアイテムを提案しています。また、登山の魅力を伝えるために執筆活動に励むかたわら、講演会などに登壇することも。さらに昨年11月には第一子となる男の子も出産し、母としての新たな一面も加わりました。多忙ながらも充実した日々を送る四角さんに、溢れんばかりの笑顔の秘訣を伺いました。

山のなかでも自分らしく!

かつての登山には地味でストイックなイメージがありましたが、今や女性でも気軽に楽しめるアクティビティに。オシャレなアウトドアファッションで等身大に登山を楽しむ、いわゆる山ガールを生み出すきっかけを作ったのが四角さんなのです。

「もともとインドア派だった私が山に目覚めたのは、2003年の夏。初めて北アルプスにある上高地を散策した際、あまりにも山々の風景が美しくて感動したのを覚えています。運動音痴だったはずなのに、散策後に逆に元気になっている自分がいて『この心地よい感覚は何だ?』って(笑)。気づいたらすっかり山の虜になっていました」

四角友里さん

上高地での体験後、休日を使って登山を楽しむようになった四角さん。そしてアウトドアにハマればハマるほど、「自然のなかで自分らしいスタイルを大切にしたい」と感じるように。でも当時、国内には女性用のアウトドアウェアにオシャレなものはほとんどなく、カラーもグレーや茶色といった地味な色ばかり。服装に対して満足しきれていない自分がいたそうです。「そんな時、訪れたニュージーランドでたまたまスカートを履いて縦走登山している女性を見かけたんです。その光景に目の前がパッと明るくなりましたね。登山中もオシャレしていいんだ!って」

四角友里さん

心のモヤモヤが一気に解消された四角さんは帰国後、さっそく登山専用の山スカートを探し、検証をはじめました。「一般的なスカートと違って山スカートは足さばきがよく動きやすいのが特徴。しかも和式のトイレでしゃがみやすく、着替える時の目隠しにもなる。ファッション性と機能性が両立していることに気づいたんです」。そして、「自然に触れる感動をもっと多くの女性に味わってもらいたい」という思いから、山スカートの企画書を作ってアウトドアメーカーや雑誌に持ち込み、普及をするように。その結果、山スカートは2009年頃からアウトドアを楽しむ多くの女性に支持されるようになり、これが山ガールブームのきっかけになったのです。

女性の“あったらいいな”をウェアに反映

2010年からはアメリカのアウトドアブランド「マーモット」とのコラボレーションもスタート。毎年2回発表されるコラボ商品は、定番の山スカートからパンツ、レインジャケット、バックパック……と多岐に渡ります。

四角友里さん

マーモットとのコラボ商品にファンは多く、購入者から四角さんのSNSにメッセージが直接届くこともしばしば。「自分がプロデュースしたウェアを着てくださっている方を登山中に見かけるときも、心の中で大喜びするんです。『着てくださってありがとうございます!』って。この仕事の一番の醍醐味は、女性たちが私の思いの詰まったウェアをまとって、自然の中で輝く笑顔を見られること。本当にやりがいを感じます」

早朝のプチ登山と食事が元気の秘訣

じつは四角さん、2020年11月に男の子を出産されたばかり。産後5ヶ月(2021年5月取材時)とは思えないほどはつらつとしています。内側から溢れる美しさを保つために、普段どんなことを意識しているのでしょう?

「出産を機に東京から鎌倉に引っ越してきたんです。子供を自然のちかくで育てたくって。鎌倉には海も山もあるので、私たち家族にとって理想的な町だったんです」

事実、現在のお住まいから歩いて5分ほどの場所にも小高い山があります。そしてこの山、登山好きの四角さんにとっては元気の源。ご主人の出勤前に30分ほどお子さんを見てもらい、その間に一人で山頂まで登ってくるのがルーティーンになっているのだとか。

四角友里さん

「たった30分のことですが、山に入ると素の自分に戻れるんです。大人になるとつい自分の感情を抑えがちですが、山道を歩いていると、素直に『きれい』とか『気持ちいい』、ときには『しんどい』って言葉が汗と一緒に出てきて、気づくと心も体もスッキリ軽くなっているんです。大好きな自然に触れて心身を満たすことが、私にとっての健康法ですね」

四角友里さん

自分のため、家族のために普段の食事にも気を遣う四角さん。「忙しいとつい食事をおろそかにしがちですが、そんな時こそ旬のものいただいて季節を味わい、心をリセットするようにしています。鎌倉には市場があるので採れたての地野菜が手に入りやすく、野菜好きにはたまりませんね。腸内環境を整え、免疫力を上げるために発酵食品や食物繊維の豊富なきのこを毎日食べるようにしています」

「特にきのこは手軽に使えてしかも栄養満点、料理に使うといいダシが出るので我が家の食卓に欠かせません。まいたけ、しいたけ、エリンギ、ヒラタケがお気に入りで、冷蔵庫に必ず常備しています。お味噌汁やうどん、パスタなどいろんな料理に使いますね。いつもの料理にきのこを加えるだけで無理なく美味しく体を整えることができるので、妊娠中から積極的に食べていた、ありがたい食材です」

登山に、アウトドアに、干しきのこが大活躍

さらに登山の際は、天日干ししたきのこを持っていくことも。「きのこは干して乾燥させると栄養価が上がり、旨味も倍増。その上水分が抜けた分軽くなるし、日持ちするので携帯するのに本当に便利なんです! 登山中の食事はどうしても麺類やご飯などの炭水化物に偏りがち。そんなときに食物繊維やビタミンB群、ビタミンD、ミネラル豊富なきのこがあれば、食事の栄養バランスも調整できるのでとても助かります。太陽の恵みを浴びた干しきのこで炊き込みごはんやスープを作ると、きのこの香りが豊かで格別です」

四角友里さん

また登山時だけでなく、キャンプを楽しむときにもきのこを持参するようで、「シンプルな炭火焼きやアヒージョ、あとは鍋料理に入れると味に深みが増してすごく美味しい。青空の下や焚き火を囲んでいただくアウトドア料理はたまらないですね」

四角さんのきのこにまつわる楽しい思い出は尽きません。「以前登山をした際、案内役のガイドさんが登山中にきのこを自ら採って、山のうえできのこ鍋を作ってもてなしてくださったんです。大きいなめこのようなきのこで、本当に美味しくてあの時の味は忘れられません」。

四角友里さん

今でも登山に出かけると、道の駅などに必ず立ち寄り、その地方ならではのきのこを買って帰るのが楽しみの一つ。「地元の調味料や野菜も買い込んで、家に帰ってから思い出と一緒に味わうんです。『あの時こんなことがあったね』『あの山にはこんな花が咲いていたね』って会話しながら食べると、自然を二度楽しんでいる気がして、食べ終えた頃にはみんな笑顔になっているんです」と目を輝かせます。

忙しいとつい後回しにしがちな“心の声”を聞き逃さず、自分と向き合う。そしてシンプルに好きなこと、心地よいもの、楽しいことを追求することが、豊かになる近道なのかもしれません。四角さんの穏やかでおおらかな笑顔がそれを物語っているようでした。

四角友里さん

profile

四角友里

(よすみ・ゆり)

■アウトドアスタイル・クリエイター。1979年生まれ。サンリオ商品プランナー、着物着付け師の経歴を経たのち、「自然に触れる喜びを多くの女性たちに感じてもらいたい」との想いから表現活動をスタート。やがて「山スカート」を世に広めたことをきっかけに、”山ガールブーム”の火付け役となる。2010年よりMarmotとのコラボレーションを手掛け、2014年には米国のアウトドアギアコンテスト「APEX Awards」を受賞するなど評価が高い。著書『一歩ずつの山歩き入門』、『山登り12ヵ月』。Instagram:yuri_yosumi

きのこらぼに無料会員登録をしていただき、ログインした状態で記事をご覧いただくとポイントがもらえます。
貯まったポイントは、プレゼント応募にご利用いただけます。