プロアスリートを支える食事に迫る。 競泳・入江陵介選手インタビュー
2021.04.01プロとして活躍する方々のインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。
第5回は、競泳 入江陵介選手のインタビューをお届けします。
あらゆるスポーツの中で特にエネルギーの消耗が激しいとされる、水泳。その世界で15年近くトップランカーであり続けている入江選手は、まさにアスリートの鑑のような存在です。入江選手はどのように自身の気持ちと体調をコントロールしているのでしょうか。自身4度目となる五輪出場への意気込みとともに、話をうがいました。
もの心がつく前から水泳をされていたという入江選手。ピアノなどそれまでの習い事を辞め、本格的に競泳に絞られたのは高校生に上がる時だったそうですが、競技1本に絞る中で大変だったことや印象的だったことはありますか?
やはり高校になってきて練習もきつくなりましたが、自分自身の目標や夢があったので、厳しい練習も耐えることができました。中でも練習は、朝練と夕練の2回練習で、特に朝練は5時台に練習をし、8時半くらいから始まる学校に行き、また学校の後は練習をして・・という毎日だったので、早く起きなければならない辛さなどはありました。ただ、きつかったですがそのぶんやりがいもありました。
朝5時台から活動していたということですが、スポーツ選手であるというところからも食べ物や、朝ごはんはどうされていましたか?
朝早かったのであまりガッツリは食べられなかったのですが、家が比較的洋食だったので、コーヒーとパンとヨーグルトという感じで朝はそれぐらいにして、練習が終わった後、学校へ行く前におにぎりなど食べたりしていました。
子どもの頃に貧血気味だったことをお聞きしましたが、ご両親や指導者の方から食事の面でのフォローなどはあったのでしょうか?
食事の方はあんまり言われなかったんですけども、僕自身、比較的体重が落ちやすく、細身になりやすいタイプだったので、なるべく多く食べるよう意識していました。しかし、一度にたくさんたべられる方ではなかったので、その分食べる回数を増やしたり、朝練前、朝練後に分けて食べたりするなど、なるべく回数を多く食事していたように思います。
一度にたくさん食べられないというところで、親御さんの、お母様の協力もあったかと思うのですが、具体的には食生活でどういったサポートしてくださっていたのか、また、思い出などはありますか?
お昼ご飯とかもずっとお弁当を作ってくれていましたし、補食のような、パッと食べられるおにぎりやパンを持たせてもらったりしていました。小学生の頃も練習終わって家に着くまで、車で30分くらいかかっていたので、その間に車の中で食べたりするようなものを持って来てもらったりしていました。
今まで学生時代のお話をお伺いする中で、当時から、練習と共に食事にも気をつけていらっしゃる様子が伺えました。また、現在も栄養には気を遣っていらっしゃるとお聞きしましたが、ヘルシーで栄養のある食材として、きのこは食べられますか?
子どものころからよく食べていました。特に、風邪予防にもなりますし、冬場によく食べるイメージです。鍋にはきのこが1種類だけでなく3種類くらい入っていて、自分の中では鍋にはきのこがいっぱい入っているのが当たり前になっていますね。
味とか食感とかっていうところではお好みがあったりします?
一番よく食べるのはシメジですかね。好きなのを挙げると難しいですけど、椎茸も好きですし、バーベキューとか、炒め物だとエリンギとか入っていると食感も好きなので、よく食べます。体によいのもあって、自分で作る時もきのこはよく使っています。
自炊もされているんですか?
そうですね。普段はトレーニング場の寮で食事をとっているので、オフの日とかは自分で作ったりします。ひとり分を作ると食材が余ってしまうので、そういった部分で使い切る大変さはありますが、自分で食べたいものをネットなどで調べたりして、楽しみながらやってます。
得意料理は?
ハンバーグはよく作っていました。煮込みハンバーグとかは一気にいっぱい作って、作り置きしていましたね。また、圧力鍋を使って、じゃがいも、にんじん、きのこなども入れて、自分なりに栄養を考えて入れて煮込んだりしています。
食べるものにもしっかりと意識をされている印象の入江選手ですが、今までの経歴を振り返っていきますと、16歳の時に日本代表に入って、日本新記録など、長い間素晴らしい成績を収めてきたのですが、自分の精神的な成長の速度と気持ちは追いついていっていたのでしょうか?
高校2年生の時に日本代表に入ったのですが、その当時を振り返るとすごくプレッシャーはありましたし、緊張感もすごく高かったですし、慣れない日本代表という立場でやって、色々と戸惑いはあったんですが、そばにいてくださった先輩方がすごく優しく接してくださっていたので、自分自身すごく楽しかった思い出があります。
2012年のロンドンでは初めて五輪でメダルを獲得(※編集部注:100m背泳ぎ銅/200m背泳ぎ銀/400mメドレーリレー銀)しましたが、この時に例えば金だったら、今の自分はもう少し違う人生を送っていたかもしれないと思ったことはありますか?
あの時金を獲っていたらもしかしたらすぐパッと辞めていた可能性ももちろんありますし、獲れなかったからこそ今でもこうやって続けられて、サポートいただいているというのもあります。しかしながら金メダルだけが全てではないとはもちろん思うので、アスリートとして、自分の泳ぎであったり、自分の頑張っている姿を見ていただいたりして、感じてもらえることが一番大事だと思っています。
現在31歳で2021年オリンピックも迫ってきましたが、現在のコンディションとしてはいかがですか?
非常にいいトレーニングができていますし、ここからしっかりと体調を壊さずに、4月の日本選手権というオリンピックの代表が決まる大会で、まずはしっかりといい成績を残したいと思います。
2月のジャパンオープンでは手応えは感じられたのでしょうか?
そうですね、強化の途中としてはいいタイムだったと思うので、ここからしっかりタイム上げられるようにしていきたいと思います。
東京オリンピックに向けてまずは選ばれることだとは思いますが、目標というか、どういう泳ぎがしたい、五輪までどういう過程を踏んでいきたいと思っていますか?
今までとは違うオリンピックの見方に色んな方々がなると思うので、開催された暁にはしっかりと自分の泳ぎを最大限、自分自身100%を発揮して、見ている方を勇気づけられたり、何か感じてもらえたり、そんなレースがしたいなと思います。
きのこらぼ限定公開 INTERVIEW
食事のことで、若い中高生たち、水泳頑張っている子たちに自分のコンディショニングや、食事のとり方についてアドバイスがあれば教えてください。
若い時から全て完璧にすることは中々難しかったりすると思いますが、少しでも自分自身の意識であったり、知識を持つだけで変わってくる部分があるので、今すぐ完璧にならなくていいと思いますが、自分自身の身体に入るものに関して興味を持っていただきたいです。そして歳を重ねるごとにきっとそういった栄養の差が出てくると思うので、少しずつ知っていってほしいですね。
入江選手のDo my best,Go!
■好きな言葉、座右の銘は?
「感謝の気持ちを忘れない」
■ストレス解消法やリラックスの方法は?
カラオケ
■競技人生の中で忘れられないシーンは?
ロンドンオリンピック メドレーリレー
■これからの目標、目指す姿は?
自分の思い描く100%のレースをする」
■入江選手にとって水泳とは?
すべてを教えてくれたもの
入江選手の今食べたい菌勝メシ
入江選手コメント
水泳は体力の消耗が激しいので、ごはんがしっかり食べられるおかずが良いです。
きのこの肉巻きはご飯が進み、なにより美味しそうで体にも良く、さらに、きのこそれぞれの特徴のある食感が楽しめるのも良いですよね。
profile
(いりえ・りょうすけ)
1990年1月24日生まれ。178cm。イトマン東進所属。大阪府大阪市出身。0歳から水泳を始め、2006年日本選手権の200m背泳ぎで高校新記録を樹立。以降国内外の大会に出場し、結果を残し続けている日本水泳界のリーダー。2017年には練習拠点をアメリカに移して新境地を開拓するなど、さらなる高みを目指している。五輪は北京、ロンドン、リオデジャネイロと3大会に出場し、ロンドンでは200m背泳ぎ、メドレーリレーで銀メダル、100m背泳ぎでは銅メダルを獲得した。
素敵な賞品をGetしよう!