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Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

プロアスリートを支える食事に迫る。第18回 サッカー・大久保嘉人さんインタビュー

2022.05.01
プロアスリートを支える食事に迫る。第18回 サッカー・大久保嘉人さんインタビュー

明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。第18回となる今回話をうかがったのは、2021年に現役を引退した元サッカー日本代表FW大久保嘉人さん。20年間のプロキャリアで、積み上げてきたJ1のゴール数は歴代最多の「191」。飽きっぽく、身体の小さかった大久保さんがなぜ日本サッカー史にその名を刻むFWになれたのでしょうか。その一つの要因は、大久保流のストレスレスなコンディショニングにありました。

20年というキャリアを持つ大久保さん。まずは、サッカーとの出会いを教えてください。

「小学校低学年の時にサッカー人気が高まり、周りのみんなが少年団に入ったんです。それで誘われたのがキッカケですね。でも最初に体験に行った時は全然面白くなくて。ボールを周りの友だちみたいに飛ばせなかったんです。それで行かなくなって。でも3年生になってもう一回、体験に行って同じようにボールを蹴ったら、すごく飛ばすことができた。それが嬉しくて、少年団に入りました」

小学校3年生から少年団に入っていたのですね。当時、ご飯はよく食べる子どもでしたか?

「いや、あまり食べなかったですね。好き嫌いはなかったのですが、ご飯よりお菓子が好きで。でも、作ってもらったご飯は残さずに食べていましたよ」

好きな料理はありましたか?

「大久保家は肉より魚が多かったかな。だから煮つけとか好きでよく食べていました。甘じょっぱくてご飯が進むんですよね」

当時、身体の大きさは?

「ずっと小さかったですよ。だから普通にぶつかったら、吹っ飛ばされちゃう。どうやったら倒れないのか、必死に考えていましたね」

自分流のプレーを編み出そうと、その当時から考えていたのですね。

「そうですね、大事なのはやっぱり考えること。そしてまずやってみること。それがしっくりくれば続ければ良いし、上手くいかなかったら他の方法を模索する。考えずに何もチャレンジしなければ、何も生まれません。サッカーは正解がないし、まさに人それぞれ。自分は小学生の時からそうだったし、それはどんな歳になっても大事だと思いますね」

性格は当時から負けず嫌いだったのでしょうか?

「当時から変わらず、負けるのが本当に嫌いですね。小学生の時から退場していました。相手と揉めるわけじゃなくて、キーパーが出てきて、どっちが先にボールに触るかという場面で俺は突っ込む。それでキーパーと交錯して警告を受けたり。でもマネしろというわけじゃないけど、そういう場面で行くか行かないかはFWとして大事で、点を取ればヒーローなわけです。行かなきゃチャンスは生まれない。だから自分の子どもには、相手に怪我をさせちゃダメだけど、勇気をもって突っ込んでいけと、アドバイスしています。やっぱりそういうところも、まずは体験してみる。そして自分に必要かどうかを考えることですよ」

嘉人さんは中、高で身体の小ささに悩んだことはありましたか?

「身体は本当に小さくて。中学に入った時も身長は132センチだったかな。細くて小さくて……でも、嫌だなと思ったことはなかったですね。さっきも話した通り小学生の時から相手とのぶつかり方は考えていたので。」

当時、身体作りに力を入れようと思ったことはありますか?また食事の量は変わっていったのでしょうか?

「器具を使った筋トレは身体が重くなってスピードが落ちる可能性があると聞いていたので、そこまでやらなかったですね。腕立てなどを少しやる程度。俺は筋肉が付きやすかったので、自分の身体は自然に出来上がった感覚ですね。
食事についていえば、中学は下宿で、高校は寮でしたが、出していただいた料理はしっかり食べていましたね。今思えば、メニューはサッカーをやっていた僕らに合ったものだったと思います。それに寮ではしっかり食べないと試合に出してもらえなかったので、量も食べられるようになりました」

大久保さんの奥様はフードマイスターの資格をお持ちだとお聞きしましたが、食事にもこだわりがあるのでしょうか?勝負飯などは?

「奥さんはバランスの良い食事を出してくれていましたね。でも昔はそれに気付かずに、自分の気分で食べたいものだけを食べることがあって、怒られたりもしました。『ちゃんと考えて作っているから食べなさい』と。
また、勝負飯とかはなかったですね。食事を含めてルーティンを作りたくなくて。もし決めたことを忘れると不安で仕方なくなっちゃうから」

奥様の栄養に配慮した料理を食べてきた大久保さんですが、「きのこ」の印象は?

「きのこは頻繁に食べていて、好きというか必需品。グラタンやパスタに入れたり、アヒージョやオイル炒めのような料理に入れたりしても合いますよね。きのこだけを取って食べたりもします。食感が良いですし、体重管理にも役立って、旨みもしっかりあり、万能な食材という印象です」

きのこはビタミン、ミネラルも豊富に含まれ、食物繊維も含みます。きのこは「サッカー」でいえばどんな存在でしょうか?

「「ボランチ」ですかね。様々な役割を担っていて、ピッチの至る所に顔を出す。組織の中心ですからね。ストライカーである俺にとって、ボールを入れてくれるボランチはとても重要でした。ボランチとサイドバックが良いチームは強いので」

現役時代を振り返って、次世代を担うアスリートへ、プロになるために必要なこと、プロとしてプレーする上で大事なことをアドバイスいただけますか?

「やっぱり諦めずにやり続ける、長所を伸ばすことですね。そしてこれだけは負けないというモノをひとつ持っておくこと。やり続けても壁にぶつかる時は訪れるはず。でも、貫いたら、やっていて良かったなと思える瞬間が絶対にくる。そして、それでもダメだと思ったら、勇気をもって他の道を探すことも大事。サッカーだけが人生ではないし、やり続ける、自分の長所を探すことは、他の分野でも一緒。そう意識すれば損はないですよ。

また、プロとしてプレーする上では、やり続けて早く自信をつけることが大切。例えば(香川)真司がそうで、当初は細くて小さく見えたんですよ。テクニックはありましたが、足が特段、速いわけでもなくて、正直、最初は『プロでやっていけるのかな』と疑問を感じていました。でも試合に出てゴールを取るようになると、一気に自信をつけて、階段を駆け上った。自信を付けて急成長する良い例ですよね。それは自分にも当てはまって、自信がなければ主張できない。自信があるからこそ『俺にパスをくれ』と呼び込めるし、力みなくシュートを打てる。自信を付けるには練習あるのみです」

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ジュニアアスリートに向けて、食事面でのアドバイスもお願いします。

「俺の考え方ですが、ストレスはないようにしたほうが良いと思います。食べたい時に食べたい物を食す。一方で、しっかり管理したほうが過ごしやすい人は、そうしたほうが良いんです。要は自分にあったやり方でストレスを溜めないこと。シンプルですが、それが大事なんじゃないですかね。人に言われてどこか戸惑いながらやるのが一番ダメ。それこそ怪我につながっちゃう。色々な意見を聞きながら取捨選択して自分に合う方法を探すことですよね」

大久保さんの Do my best,GO!

■好きな言葉、座右の銘は?
「自分を信じて」

■ストレス解消法やリラックスの方法は?
「うーん、根本的にストレスをあまり感じなくて。溜まっていた時期もあったんでしょうが……それが答えかな」

■競技人生の中で忘れられないゴールは?
「スペインのマジョルカでのデビュー戦のゴールですかね。自分の夢が叶った瞬間でした」

■これからの目標、目指す姿は?
「引退したばかりで、小さい頃からサッカーをやってきたので、今は違う世界を見てみたいです。ただ最終的には監督もやってみたい。自分のサッカーに対する考え方もあるので、それを伝えていきたいです。」

■大久保さんにとって「サッカー」とは?
「“仕事”でした。サッカーは好きで始めていますが、なんのためにプロになりたかったかといえば、やっぱりお金を稼ぐためですよ。だからこそ金銭面を含めて自分を認めてもらえるチームでプレーしたかったですし、プロはそうあるべきだと思います。」

大久保さんが今食べたい菌勝メシ

コメント

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profile

大久保嘉人

(おおくぼよしと)

1982年6月9日生まれ、福岡県出身。

国見高3年時に高校3冠を達成し、インターハイと高校選手権では大会得点王を獲得した。2001年にセレッソ大阪でプロキャリアをスタートさせると、攻撃センスと闘争心溢れるプレーで存在感を発揮。海外挑戦を経て13年から在籍した川崎フロンターレ時代には、史上初のJリーグ3年連続得点王の偉業を達成。2021年に引退するまでJ1通算最多得点となる191ゴールを決めた。日本代表としてアテネ五輪、ワールドカップ南アフリカ大会、同ブラジル大会などに出場している。
Instagram:@yoshito13、Twitter:@Okubonbon13

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