Method of Improving Performance
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「勝てるメンタル」のカギは自律神経にあり⁉(後編)

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自律神経を整えることが、日常生活はもちろんスポーツをするうえでも非常に大切だということはおわかりいただけたかと思います。後編では、スポーツ現場における自律神経にまつわるエピソードを紹介するとともに、どのように自律神経を整えればよいのかを解説していきます。

■自律神経はコントロールできる?!

私たちの意思とは関係なく働く自律神経ですが、実は、コントロールすることも可能です。それを応用しているのが、まさにスポーツの世界です。
自律神経を整えるために重要なのは“吐く息”です。自律神経の「センサー」は頸動脈(首の部分)にあり、吐く息で作用するので、息を吐くのと同時に自律神経が安定します。ヨガや太極拳などで、吐く息を重視するのも、そのためです。
2015年ラグビーW杯で活躍した五郎丸選手のプレイスキックの精度も、自律神経と関係があると私は考えています。有名になったポーズですが、常に同じルーチン(ルーティン/ルーティーンともいう)を経てパフォーマンスに入っていくことで、呼吸→自律神経→血流と順次安定させることができ、思ったところにキックできるということを彼自身がわかっていたからです。
同様にほとんどのプロゴルファーもルーチンをやっています。有名なところでは、タイガー・ウッズ選手がパターの時に2回大きな呼吸をし、打った後に淡々と歩く、これも彼のルーチンです。一流アスリートたちは、呼吸を安定させて、自律神経を安定させているのです。

■自律神経は伝播する

自律神経のバランスは「伝播」するので、自律神経のバランスがいい人と一緒にいると、周囲にいる人もバランスがよくなり、逆に、バランスの悪い人といると、周りのバランスも悪くなります。野球で投手が乱れてくると、守備まで乱れることがよくあります。逆に投手のテンポがいいと、守備でもファインプレーが出るものです。自律神経を高いレベルでキープし、最高のパフォーマンスを行うことができれば、チーム全体で、きっと素晴らしい結果を残すことが可能になるでしょう。

■自律神経を整えるための大切な4つのポイント

●まず「呼吸」!

緊張すると交感神経が刺激され、呼吸が浅くなります。そのため血流が悪くなり、思考力・判断力・発想力なども低下します。結果、自分らしい、いつものプレーができず、大きなチャンスを逃すことにもなりかねません。逆に、深い呼吸をすると血流がよくなり筋肉が弛緩して、身体はリラックスでき、心も落ち着きます。

「1:2呼吸法」

極度にプレッシャーがかかる状態で、しっかり集中ができる人は、無意識に「1吸ったら、2吐く」という「1:2(ワンツー)呼吸法」をしています。吸った倍の秒数で吐くことによって自律神経が非常に高いレベルで安定するので、周囲の状況を的確につかむことができ、細かい作業を思い通りに行うことができます。
試合前や緊張する場面を迎えるとき、寝る前などに一分間だけでもやってみると、効果が実感できるはずです。
「ため息をつくと幸せが逃げる」などと言いますが、そんなことはありません。嫌なことを考えると呼吸が浅くなり、それを補うために出てくるのがため息です。つまり人間の身体は、ため息をつくことによって、自律神経のバランスを取り戻そうとしている、いわばよい働きなのです。

1:2呼吸法

●自律神経と腸は二人三脚のパートナー

自律神経と腸は二人三脚のパートナー 腸は“第二の脳”といわれるように、最近の研究では腸から脳へも影響を及ぼす「脳腸相関」の関係にあることがわかってきました。
腸は副交感神経で収縮しますので、つまりゆっくりしているイメージの時に腸はよい状態といえます。また交感神経と副交感神経が正常に働いていないと腸の動きが乱れてしまい、腸トラブルが起きやすく、様々な不調を引き起こしてしまいます。緊張してお腹が痛くなるのは、緊張で交感神経が高くなり、腸が動かなくなることによって起きると考えられます。つまり、「身体の状態を最高に保つこと=自律神経や腸を健康に保つこと」といえるのです。
腸を整えるために重要なのは朝ごはん。朝ご飯を食べることで腸が動き出し、副交感神経の働きが高まります。また、定番ですが、朝のヨーグルトは腸によい影響を与える乳酸菌を摂ることができ、根菜やきのこ類は食物繊維が豊富で、腸の老廃物を排出し、善玉菌のエサとなりますので、腸内環境を整えます。
ほかにも、腸をうまくコントロールする方法として私がお勧めするのは、朝、寝起きにコップ一杯の水を一気に飲むことです。水を一気に胃へと送り込むことで、胃に入った液体の重みで腸のスイッチを入れることができます。これによって腸が動き出し、自律神経が正常に働きはじめるのです。

●評価を書いて自分のプレーに集中

「他人にペースを乱されることで慌てる→自律神経が乱れる→さらにミスを重ねてしまう」という負のスパイラルを経験したことはありませんか。イライラすると交感神経の働きが活発になり、その結果、呼吸は浅く速くなり、血行も悪化。プレーに影響を及ぼすばかりか、身体の不調まで引き起こしてしまうこともあります。そんなときに試してほしいのが自己評価を書くこと。私はゴルフでコースを回るとき、スコアカードに自分の1打1打について○△×と自己評価を書き込んでいます。自分のプレーに集中できますし、ミスの理由などを後で振り返ることにも役立ちます。

●余裕を持った行動を

自律神経バランスを良好に保つ上で、突発的な予定変更や急激な行動の変化というのは、最もよくないことです。ギリギリの行動で時間に追われてイライラしてしまうと、副交感神経の働きは鈍くなってしまいます。したがって、日常生活では常にゆとりをもって行動することが重要です。

とはいえ試合ともなれば緊張もしますし、「失敗したらどうしよう」などとストレスを感じて、交感神経が優位になってしまうものです。そんなときこそ、意識的に副交感神経を高め、自律神経を整えることで集中力アップ、パフォーマンス向上につなげていってほしいものです。

監修者 小林弘幸(Hiroyuki Kobayashi)

監修者 小林弘幸(Hiroyuki Kobayashi)
順天堂大学医学部病院管理学研究室・大学院医学研究科 教授(併任)、スポーツ庁 参与
順天堂大学医学部卒業後、ロンドン大学付属英国王立病院外科、アイルランド国立小児病院外科での研修医を経て、帰国後、順天堂大学医学部小児外科、総合診療科講座/大学院研究科病院管理学教授、順天堂大学医学部附属順天堂医院・救急プライマリーケアセンター副センター長などを歴任。日本初の便秘外来を開設した腸のスペシャリストでもある。各種研究の中で自律神経バランスの重要性にも着目し、多くのトップアスリートのパフォーマンス向上指導にも尽力、自律神経研究の第一人者として著書多数。
日本体育協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医

今月の菌勝メシ

「勝てるメンタル」のカギは自律神経にあり⁉

いつでもベストパフォーマンスを発揮するためには『自律神経を整えること』が一つのカギとなります。いつものルーティンで心を落ち着かせることももちろん大切ですが、普段から自立神経の集まる腸を整えておくことが特に重要です。

3種の菌活グラタン

きのこに豊富な食物繊維は腸の善玉菌のエサとなり、腸内細菌のバランスを整えます。さらに腸の老廃物を排出して腸をキレイに整えます。そこに腸に良い効果をもたらす菌食材のヨーグルトと味噌を合わせることで、さらに効果がアップ!腸を健康に保ち、さらなるパフォーマンスアップを図りましょう!

レシピイメージ 3種の菌活グラタン

【協力】NPO法人ジュース(JWS)

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