ゴールセッティングで勝利をつかめ!(後編)
2019.04.19
前回は、有効な「ゴールセッティング」をするためのヒントとして「モチベーション・マネジメント」についてご紹介しました。今回はいよいよ、どうやってゴールセッティングをすればいいのか、具体的な手法とその活用法などをご紹介します。 目標を立て、その目標達成に向けた計画があってこその自己実現です。様々な状況、理由により、目指しても行きつかないことはありますが、そもそも人間は目指したところにしか行きつかないものなのです。また、目指さないことには、なりたい自分にはなれません。このような理由から、目標設定(ゴールセッティング)がいかに必要で大切なことかがわかっていただけると思います。
上手にゴールセッティングをし、計画を実行できれば、目標や夢の実現に近づくことができます。自分に合ったゴールセッティングをして、勝利を手中に納めましょう!
いざ、ゴールセッティング!
最初に“ゴール”をセッティングしよう
まずは、アスリートとして目指す“大きな目標(ゴール)”を決めましょう。例えば、いつ、どのような大会で、どんなパフォーマンスを発揮し、どんな結果を残したいのか。「こんな選手になりたい」、「こんな記録を出したい」など、自分自身のゴールをセッティングしてください。それができたら次に、ゴールへ向かうための戦略を立て、そして、小さな目標を設定していきます。
ゴールまでの“戦略”を立てよう
大きな目標を達成するためには、そのプロセスの中で小さな目標を持つことも重要です。1つずつクリアすることで自信がつき、一歩ずつ目標に近づいている充足感で、さらにモチベーションも上がります。
まずは1年の中で、重要な試合(競技会など)を定め、そこで達成したい目標を決めます。もしくは、「1年後に〇秒を切る」「〇〇ができるようにする」といった記録や技の習得の場合もあるかもしれません。 次に、自分はどのくらいの状態まできているか、出来栄えはどうかを確認するために、次の段階として、1年で到達したい目標の手前にある試合や練習試合での目標を設定してみましょう。 その次の段階として、1か月、1週間、1日というように、練習や心身の状態をどのように充実させるかを考えていく。このように、「逆算」して計画を立てることが、ゴールへとつながる戦略です。
1年の目標の手前の試合などで、課題が達成できているかどうかを確認することができれば、ゴールまでの戦略を修正することもできるのです。
自分でゴールセッティングする
ここで大切なのは、自分自身でゴールセッティングをすること。 人間というのは、自分で目標を決めて、そこに到達することで自信がつきます。コーチや保護者などの第三者に決められた目標を達成しても、それは、本当の意味での自信にはなりません。どんな小さなことでも、自分で決めたことだから、「やった!」と思えるのです。 私がどうやって自信をつけたか、お話ししましょう。私は夜、絶対に顔を洗ってから寝ると決めて、洗わないで寝たことはありません。「えっ、そんなこと?」と思うかもしれませんが、そんな簡単なことをちゃんとできるかどうかなんです。大きなことを達成しなければ自信にならないなんて思わないでください。そんな小さなことをやれる人間が、もっと大きなことをやれるのだと思います。 まずは小さな目標達成で自信をつけ、それによって得られる“成功体験”が、大きな目標を設定するときやゴールに向かっていくときにも力になってくれます。

“ふりかえり”も忘れない
目標に向かうプロセスの中で、自分自身をふりかえり、ゴールセッティングの見直しをする機会を持つことも必要です。目指した目標に対して無理をしすぎると、気持ちが苦しくなったり、ケガをする可能性も高くなります。また、あまりに目標が低いようでは、いつまでたっても結果が出ないということにもつながります。 身体の調子はどうか、モチベーション(気持ち)は維持できているか、体調管理はどうかなど、定期的に今の自分をふりかえってみてください。さらに、毎日その内容を記録しておけば、課題や問題点にも気づくことができ、さらに周囲の人(指導者・家族など)とのツールとして活用することもできます。 自分に合ったゴールセッティングで、夢や目標を実現させることはもちろん、そこに到達するまでのプロセスも楽しみましょう!
こんな便利ツールもあります! 「女性アスリートダイアリー」
このダイアリーは、女性アスリートが満足のいく競技生活を送ることができるよう、自身のコンディションを管理するツールとして考案されました。心身の状態や食事、睡眠の記録だけでなく、練習内容やそのふりかえりを毎日記入できるので、アスリートとしての足跡も残しておくことが可能です。女性特有の体調管理(月経など)に役立つ情報ページもあります。
※毎日記入するコンディショニングページは、一部の項目を除いて、男性にもご利用いただけます。ぜひご活用ください。
※下記サイトからダウンロードが可能です
https://www.juntendo.ac.jp/athletes/notebooks/
- 監修者 小笠原悦子
- オハイオ州立大学にて博士号を取得、スポーツマネジメントを専門とする。鹿屋体育大学、びわこ成蹊スポーツ大学などで教鞭をとり、2011年より順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 教授に就任(現在に至る)。水泳競技、コーチの職務満足、女性スポーツについての論文・著書多数。国内外の学会・会議で論文発表、基調講演等を行っている。
アジアスポーツマネジメント学会 会長、NPO法人ジュース(JWS)理事長、女性スポーツ研究センター センター長。
2004年エイボンアワーズ・トゥ・ウーメン功績賞受賞。
2012年度NAGWS(アメリカ女性スポーツ連盟)国際開拓者賞受賞。
平成30年度JOCスポーツ賞 女性スポーツ賞受賞
女性スポーツ研究センター ウェブサイト https://www.juntendo.ac.jp/athletes/
今月の菌勝メシ
目標を持って取り組むための土台となる身体づくりに!
目標を持ってスポーツに取り組むために、土台となる身体づくりをしっかりと行うことが重要です。
筋肉など身体づくりの素となるのは三大栄養素ですが、三大栄養素の代謝を促すビタミンやミネラルといった潤滑栄養素を摂ることが必要となります。
- きのことスナップえんどうのカレー炒め
- きのこには三大栄養素の代謝を高めるビタミンB群が豊富に含まれます。またビタミンB群が含まれるスナップえんどうを合わせることで、相乗効果が生まれパワーアップ!さらに玉ねぎとにんにくに豊富なアリシンはビタミンB1の働きを高め、エネルギーを効率よく作り出すので、合わせることでさらに効果的に。潤滑栄養素がたっぷり摂れる1品を普段の食事に加え、勝てる身体の土台を作りましょう!
【協力】NPO法人ジュース(JWS)