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Method of Improving Performance

ゴールセッティングで勝利をつかめ!(前編)

2019.04.12
ゴールセッティングで勝利をつかめ!(前編)

4月は、入学・入社のシーズンです。人生において、新しいスタートを切る人も多いのではないでしょうか。コラムのスタートでもある今月のテーマは、気持ちも新たに始めてほしい「ゴールセッティング(目標設定)」です。
10代~20代にかけての、個人の自立や目標実現が重視される時期は、未来を見据えた目標の実現に向けて、厳選する課題に取り組むことが個人の発達に好影響を与えるとされており、スポーツは、この目標設定にとても優れているツールであると言われています。 まずは、自分に合ったゴールセッティングをするために役立つ、「モチベーション・マネジメント」について理論を交えながらご紹介しましょう。

「モチベーション・マネジメント」で
有効なゴールセッティングをしよう

みなさんは目標を設定するときに、どんな基準で設定していますか? 
スポーツに限らず、人が目標に向かって何かを行う際には、どうしたらやる気を出せるかという“動機づけ”、いわゆるモチベーションを上げる(高める)ことが重要です。つまり、 モチベーションを自分自身でマネジメント(管理)してゴールセッティングをすれば、自分にとってより有効な目標を立てることができるのです。 自分に適した、やる気の出る目標を定めるためのヒントとして、いくつかの理論をご紹介したいと思います。

フロー理論

行為自体に意味を見いだす“内発的動機づけ”について、わかりやすく図で表されているのが「フロー理論」です。“フロー(flow)”とは、「特定の行為そのものに楽しさを感じ、熱中・没頭している状態、心と体が一体化し自由自在の感覚」のことを言います。一流のアスリートが好成績を上げたときに「ゾーンに入った」と話す、あの状態がまさに「フロー」です。 図のように、「課題の困難度」と「行為能力(スキル)」のバランスがとれた フローのゾーン内に目標があるとき、人は内発的動機づけが起こります。 つまり、自分の内部からやる気がふつふつと沸き起こってくるのです。したがって、そういった状態を生み出せるような目標設定をすることが、成果を出しやすくするというわけです。

「課題の困難度」と「行為能力(スキル)」のバランスフロー

(チクセントミハイ, 1991(*1)を一部改訂)

モチベーションの強さの関数

努力しなければ成果は出ません、それだけは事実です。では、がんばろうという気持ちや努力は、どうしたら大きくなるのでしょうか。モチベーションを高めるには、自分に合ったゴールセッティングをする必要がありますが、下記のAとBという2つの要素を使った 「モチベーションの強さの関数」(*2)(*3) を用いることで、あなたに適した目標設定が見えてくるのです。

モチベーションの強さの関数

たとえば、Aを「金メダルを獲ること」とセッティングしたとします。ですが、本人が「自分にはそんな能力はない」と最初から思っている=期待値0(ゼロ)だとしたら、その人は努力するでしょうか? しないですよね。なぜなら、努力はこの2つの掛け算だからです。よって、金メダルの価値は素晴らしいもの=Aが100であっても、Bの期待値を上げない限り、努力という概念が発生しません。
また、その逆もあります。自分には金メダルを獲る能力が本当にあると思っているけれど、「そんなことに何の価値があるの?」と思っているとしたら、それも100×0なので、=0になり、こちらも、努力という概念が起こってこないのです。
このように、AとBどちらの要素も充足しているゴールセッティングをすることが、モチベーションアップへとつながるのです。

¹⁾ Csikszentmihalyi, M. “Beyond boredom and anxiety” Jossey-Bass, 1975(今村浩明訳『楽しむということ』思索社、1991年)
²⁾ Vroom, V. H. “Work and motivation” Wiley, 1964(坂下昭信ほか訳『仕事とモティベーション』千倉書房、1982年)
³⁾ Porter, L. W. & Lawler, E. E. “Managerial attitudes and performance” Irwin, 1968.

次回、後編ではゴールセッティングの設定方法や活用方法について具体的に
解説いたします!お楽しみに!

監修者 小笠原悦子

監修者 小笠原悦子
オハイオ州立大学にて博士号を取得、スポーツマネジメントを専門とする。鹿屋体育大学、びわこ成蹊スポーツ大学などで教鞭をとり、2011年より順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科 教授に就任(現在に至る)。水泳競技、コーチの職務満足、女性スポーツについての論文・著書多数。国内外の学会・会議で論文発表、基調講演等を行っている。
アジアスポーツマネジメント学会 会長、NPO法人ジュース(JWS)理事長、女性スポーツ研究センター センター長。
2004年エイボンアワーズ・トゥ・ウーメン功績賞受賞。
2012年度NAGWS(アメリカ女性スポーツ連盟)国際開拓者賞受賞。
平成30年度JOCスポーツ賞 女性スポーツ賞受賞
女性スポーツ研究センター ウェブサイト https://www.juntendo.ac.jp/athletes/

今月の菌勝メシ

目標を持って取り組むための土台となる身体づくりに!

目標を持ってスポーツに取り組むために、土台となる身体づくりをしっかりと行うことが重要です。
筋肉など身体づくりの素となるのは三大栄養素ですが、三大栄養素の代謝を促すビタミンやミネラルといった潤滑栄養素を摂ることが必要となります。

きのことスナップえんどうのカレー炒め

きのこには三大栄養素の代謝を高めるビタミンB群が豊富に含まれます。またビタミンB群が含まれるスナップえんどうを合わせることで、相乗効果が生まれパワーアップ!さらに玉ねぎとにんにくに豊富なアリシンはビタミンB1の働きを高め、エネルギーを効率よく作り出すので、合わせることでさらに効果的に。潤滑栄養素がたっぷり摂れる1品を普段の食事に加え、勝てる身体の土台を作りましょう!

レシピイメージ きのことスナップえんどうのカレー炒め

【協力】NPO法人ジュース(JWS)

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