Do my best, GO! 〜輝く女性たち

第13回 イラストレーター よしいちひろさん

2022.02.01
第13回 イラストレーター よしいちひろさん

自分らしさを探求しながらイキイキと人生を楽しんでいる方に、生き方のヒントをうかがう連載企画「Do My Best, Go!」。第13回は、イラストレーター・よしいちひろさんのインタビューをお届けします。

水彩画を中心に、独自の視点で描いたガーリーなイラストが人気のよしいさん。エッジ―なファッション、愛があふれるもの選びなど、Instagramで発信されるライフスタイルも注目されています。一方で、7歳の男の子を育てるママとしての一面も。仕事と子育てを両立しながら日々の暮らしを楽しむため、よしいさんが大切にしていること、心と体の健康をキープする秘訣をうかがいました。

よしいちひろさん

好きなものを何でも表現できる、イラストの仕事は天職

女性誌のコスメ連載をはじめ、雑誌や書籍、広告などで活躍。最近では、ベルギーの高級チョコレートブランドのパッケージを手掛けるなど、ますます活躍の幅を広げているよしいさん。イラストレーターになったきっかけを尋ねると、「実は、甘い考えで……」と恥ずかしそうに笑います。

「20代の頃にバンドをやっていて、バンドをやりながらできる仕事を探していたんです。バンドと兼業しながらイラストレーターならできるかなと思ったんですが、なかなか難しくて。本格的にイラストの製作を始めたのは、30歳を迎える前です。

編集者やデザイナーに憧れはあるけれど、今思えば、性格的に私には全然向いていないですね。与えられたものに対して自由に応える、イラストレーターのほうが断然合っていました。自分にとって天職だと思っています」

透明感のある、ふんわりとした笑顔を弾ませて。ときに、真剣さを覗かせながら。よしいさんの表情からは、仕事に対する真摯な思いが伝わってきます。「実は、憧れの仕事の中にスタイリストもあったのですが、イラストだと出てくる人物のスタイリングもできちゃう。どんなジャンルでも描けるし、絵の中で何でもできるのが、この仕事の醍醐味でしょうか。ファッション、コスメ、食べもの、お花……暮らしそのものが、仕事のためのインプットや刺激になっていて、あらゆる表現をできるのが楽しいです」

よしいちひろさん

子どもが生まれて1日のメリハリがつくように

実生活では、小学校に通う7歳の男の子のママ。出産前後は仕事と母業のバランスがわからず、出産直前まで働き、産後3日で復帰したというから驚きます。

「当時、ママという存在に対して偏見を持っていたんです。ほっこりしていて、尖った感じがなくなるな、とか。それに『子どもができた』とクライアントに伝えたら、気を遣われて仕事が減るんじゃないかという不安もあって、できるだけ周りに言わずに産んだんです。でも、子どもが生まれたことでかえって仕事の幅は広がったし、ママという立場になったら、働いていてもいなくても、かっこいいママたちがたくさんいた。想像していたのとは、まったく違いましたね」

仕事をするのは基本、息子さんが学校へ行っている間の朝8時から夕方5時まで。それ以外の夜や土日は電話も取らず、メールも返さない。そうやって、意識的にきっちりオンとオフを分けているといいます。

「仕事に向き合うのは、子どもが家にいない間だけ。おかげで時間の使い方がうまくなったなって思います。子どもが生まれる前は、いつでも仕事ができるから夜中までダラダラ描いて、睡眠がまとめて取れなかったりもしたので、今のほうが集中できていますね。それに、特に子どもが小さいうちは、いつ病気になるかわからないので、巻いて巻いて仕事をするクセがついたのはよかったなと思います」

よしいちひろさん

「好き」の純度を上げることが幸福感を高めてくれる

描くイラストの世界観そのまま、Instagramで発信されるよしいさんの日常は、ガーリーでファッショナブル。多くの女性たちに支持されています。日々の暮らしでは、どんなことを大切にしているのでしょうか。

「“好き”の純度を上げるというのは、いつも意識しています。インテリアでも洋服でも何でも、妥協したものは置かない。例えば、リビングに置くコーヒーテーブルを買うとなったとき、別の用事で行った北欧のインテリアショップによさそうなものがあったんですが、それだとあまりにもテイストがキマリすぎてしまうなと。ほかを見つけるまで買わないことにして、後日、たまたま見つけたかわいい太鼓をテーブルとして使うことにしました。これが、すごくよくて気に入っているんです」

ご自宅をぐるりと見渡しても、目に留まるのはかわいいものばかり。自分の気持ちに素直に、好きなものだけに囲まれた暮らし。それは、よしいさんの気持ちを高め、何気ない毎日をキラキラと輝かせているようです。

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農家の直売所で買う、旬の新鮮野菜がごちそう

創作活動や子育てをするうえでも大事な健康。多忙な中でも心身の健やかさを保つために、よしいさんが心がけていることは何でしょうか。

「若い頃は健康についてあまり意識しなかったのですが、息子を妊娠してから、食生活が変わりました。よく『妊娠するとジャンクなものが食べたくなる』って言いますよね?私の場合は逆で、本能的になのか栄養があるものを取りたくなって、今は年齢的なこともあって、滋味深い味が大好き。気をつけているというよりは食べたくて食べているのに、結果、体にもいいのがうれしいです」

東京の郊外で暮らしているよしいさん。近くに農家があるという恵まれた環境も豊かな食生活を支えているようで、「農家さんの直売所だと、旬のものしか手に入らないんですよね。今の時期は、大根がみずみずしくて本当においしい。皮もナムルにして、大人用の常備菜にしています」とにっこり。

料理が好きになったのは、30歳のとき。お酒に目覚めたことをきっかけに、食と酒と旅を愛する編集者・ツレヅレハナコさんの料理教室に行ったこともあるといいます。

「料理教室で『料理家さんのレシピは、すごく考え抜かれている』とハナコさんがおっしゃっていたのもあって、インターネットでパッと見られるレシピより、料理家さんのレシピ本を参考にしています。せっかちでめんどうくさがりな性格なので、凝った手順の料理だと作る気がなくなってしまうのですが(笑)、料理家さんのレシピは簡単でもおいしいですね」

よしいちひろさん

食材はバランスよく、きのこもたくさんの種類を取るように

毎日の食事では、野菜、肉、魚、海藻と、さまざまな食材をバランスよく。きのこも「だしが出るし食感もいいし、息子が好きなのでよく使います」と、よしいさん。お気に入りのきのこレシピを教えてくれました。

「きのこと聞いて真っ先に思い出すのが、ご近所さんの料理家・角田真秀さんのレシピ『きのこのピュレ』です。薄切りにしたシメジ、マイタケ、エリンギ、ヒラタケ、長ねぎをオリーブオイルで炒めて、醤油で味付けしたら、フードプロセッサーにかけるだけ。ごはんに添えたり納豆ごはんに入れたり、豚ひき肉と混ぜてシューマイにしたり、簡単なのに『お箸が止まらん!』っておいしさです。

もうひとつは『白いスープ』。鍋にブナピー、長芋、カリフラワー、レンコン、カブ、水、塩、オリーブオイルを入れてクタクタになるまで煮て、最後にしょうがのしぼり汁を入れます。料理家・くしまけんじさんのレシピを簡単バージョンにしたもので、くしまさんのレシピでは、ブナピーではなく白いんげん豆が入っています。だしを使っていないのにおいしくて、わが家の冬の定番料理ですね」

よしいちひろさん

難しいことは考えず、でも直感的に、健康を考えた食生活を送っているよしいさん。最後に食とは何かを尋ねると、「家族の大事な時間です」と答えてくれました。

「妻として母親として、夫と息子に栄養のあるものを食べさせたいし、食べさせなければという使命感も感じているけれど、おいしいものをみんなで楽しむという、食事の文化そのものが好きなんです。この先、子どもが手を離れても、食事の時間だけは家族そろってゆっくりおしゃべりしながら食べたい。ただ、栄養を取るだけじゃなく、大事なコミュニケーションの時間だなと思います」

一緒に過ごす、おいしく楽しい食事の時間。よしいさん一家の家族の記憶として、これからも刻まれていくはずです。

profile

よしいちひろ

1979年、兵庫県出身。東京都在住。女性の日常や憧れをみずみずしく、ガーリーなタッチで描いて人気を集め、女性誌や書籍、広告などで幅広く活躍。関西発の情報誌『SAVVY(サヴィ)』(京阪神エルマガジン社)でのコスメの連載も担当。Instagramで発信するファッションや暮らし、子育てといったライフスタイルも注目されている。
HP: https://chihiroyoshii.com/
Instagram: @chocochop2

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