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Do My Best, GO! 〜アスリートインタビュー

第1回 サッカー 酒井高徳 選手 インタビュー

2020.07.31
第1回 サッカー 酒井高徳 選手 インタビュー

プロとして活躍する方々のインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。
第1回目は、サッカーJリ―グ、ヴィッセル神戸に所属する酒井高徳選手のインタビューをお届けします。
よく走り、よく身体を張り、そしてケガの少ない、タフな酒井選手は、これまでプレーしてきたどのチームでも、不可欠な存在として活躍してきました。プロ歴12年、元サッカー日本代表、酒井選手が皆に伝えたい100%の力を出し切るための“当たり前”のこととは?

酒井選手は、今は怪我をしないイメージがありますが、昔から身体は丈夫でしたか?

そうですね。わりと丈夫だったと思います。外で遊ぶのが好きでしたし、サッカーをやったりとか、常に身体を動かしていた記憶があります。ご飯をよく食べていましたし、大きな病気や怪我はほとんどなかったです。

4兄弟はみんなアスリート(長男は柔道家、高徳選手は次男で、3、4番目もサッカー選手)だとお伺いしていますが、小さい頃はどんな食卓でしたか?

うちは欧州スタイルでした。母がドイツ人なので。ヨーロピアンなご飯が多かったですし、あとはサッカーも今ほど栄養がどうこうっていう知識が、まだ僕らの頃には入っていなかったので。バランスよく食べたという意識はなかったんですけど、ただただいっぱい食べていました。

今、大人になって食生活にどんな変化がありますか?

バランスを意識して食べること、何を食べるかは結構大事にしています。その時の体調もそうですし、その日の練習メニューやその日の疲労感によっても変えていますね。

食生活のバランスを意識するようになったきっかけは?

プロに入る前から、周りからも栄養が大事だと聞いて、徐々にという感じですね。
高校に入って、栄養の勉強をチームでしないといけなくて。プロ入り後1年目、2年目も、講師の方が来て、栄養の勉強をしていました。少しずつ栄養に興味が出てきて、大事なんだと分かり始めました。あとは、やっぱりドイツに行って、身体づくりが大事だと気づいたのは大きかったですね。ドイツに行ってからは知人に栄養士を紹介してもらって、どのように食べたほうがいいかとか、自分の理想に向けた食事を提案して、フィードバックをもらって、気をつけていました。ドイツに行ってから本格的に食べ物に気をつけるようになりましたね。

大切にしていることとしては、栄養バランスはもちろんですが、一番は体調や目的に合わせて食事をすること。減量している時はタンパク質をいっぱい摂って、炭水化物を少し制限する。ただ3食しっかりバランスよく食べることは意識しています。栄養士と密にカロリー計算していた時期もありました。前日重いものを食べてしまった時には、回復系の食事をしたり。胃とか腎臓を休めるような消化の良いものを食べたりとか。また、現在のように、免疫が注目されているなかで、食事でとる免疫は一番手っ取り早くて、しかも美味しい。海藻とかきのこはよく摂っています。

きのこはお好きですか?

好きですし、よく食べますよ。味噌汁にもよく入れます。あとドイツにいた時は庭でバーベキューをすることが多かったんですけど、いつもしいたけやエリンギを焼いていました。バーベキューには欠かせない食材でした。

今の体調管理について訊かせてください。中断期間には入院をしてコンディションも落ちてしまったと思います。体調を戻すために意識していたことは?

免疫力を下げず、疲労回復ができるような食生活を意識していました。少しずつ運動もしていかなければいけない中で、身体の疲労が普段よりも感じやすくなっていたので、免疫と体力と、身体をケアできるメニューを取り入れていました。だから免疫力を高める海藻とかきのこ類は多く摂るようにしていました。納豆とか発酵食品もそうですし。あとは、入院期間中は病院食というのもあって、あまり量を食べていなかったので、少しずつ食事に慣れていこうと思っていました。退院してからも、すぐに食べたいものをバーっと食べるのではなく、身体を作るという部分も含めて、たんぱく質を多くして、炭水化物を少なめにというのは意識していました。

試合に向かっていくうえで気を遣っていることはありますか? 例えば前日、当日は何をしていますか?

エネルギー切れにならないことは意識しています。特に前日の食事を大切にしていて、当日にいっぱい食べればいい、というわけではないと思っています。次の日に出せるエネルギーを溜めておくためにも、前日に炭水化物を摂って、当日は身体と相談しながら調整します。
また、当日はルーティンがあって。試合前には必ずうどんとおにぎりを食べます。結構流れを大事にしているので、食べるもの自体は調整しますけど、基本的にはうどんとおにぎりを食べています。朝飯を食べすぎちゃったら昼飯を調整したり。試合前はなるべくガス欠しないように、エネルギーを溜める食事や食べ方をしています。

きのこらぼ限定公開 INTERVIEW

「コンディション作り」についてはどのように考えていますか?

当たり前にすること、という思いがあります。自分が今までサッカーやってきた中で、自分は努力をしなければいけない立場だと思って生きてきましたし、自分の売りは身体の強さだったり走れるところなので、コンディションが良くないと100パーセントを出し切れません。
また、コンディション面は技術面とほぼ同じくらい大事だとも考えています。練習と同じくらい大事というか。比重で言えば、僕の場合は技術よりもコンディションのほうが上かもしれないです。コンディションも良くて、メンタルも良かったら、自分が持っているパフォーマンスを10パーセントも20パーセントも多く出せると思っています。やっぱりどんなに良い技術があっても、コンディションが悪くて動けないとか、身体が重かったら、その技術も発揮できないと思う。技術を100パーセント発揮することは意識しています。それが自分のスタイルだと思っています。

最後に、若い世代へのアドバイスをお願いします。

日本ではまだあまり浸透していませんが、プロに上がる前に、中学、高校生のうちからしっかりと身体つくりを意識してほしいと思います。ドイツとかトップクラブの下部組織というのは、やっぱり食事量があって、食べるものも徹底されている。それを食べて、ジュニアユース、ユース、トップとどんどん若くて身体のできている子が出てきている。もちろん民族性もありますが、それでも海外の子はしっかりしたガタイですよね。
そういう当たり前でプロフェッショナルになるために必要な段階をもっと取り入れてほしいと思います。高校生から身体ができるからいいや、とか、中学生だからまだいいやとか、プロになって栄養を習ってから、初めてやるのではなくて、積極的に取り入れるのは大切です。

また、プロになってから初めてプロってどういうものなんだろう、ではなくて、高校、中学の時からプロになるための準備をして、プロになった時にはプロとしてプレーして活躍できるコンディションや環境を作ることがスタンダードになってほしいと思います。
高卒で入団して身体が細いから、じゃあ身体つくりから始めましょうでは遅い。そんな時間はプロにはないし、今17歳、18歳で海外に出ている選手がいるなかで後れを取ってしまう。早い段階から栄養にもっと意識を傾けてほしいし、僕のこういった発信から少しでも若い選手が意識してくれたら嬉しい。もっと栄養がサッカーと直結しているということを感じ、積極的に取り入れることで、万全の状態で全力を発揮していってほしいと思いますし、日々の一歩から、目標や夢を叶えていってほしいと思います。

酒井高徳(さかい・ごうとく)
1991年3月14日生まれ。A型。ヴィッセル神戸所属。
日本人の父親とドイツ人の母親を持つ。2歳までアメリカで過ごし、その後、新潟県三条市に移り住む。17歳の時、アルビレックス新潟でJリーグデビュー。20歳でドイツ・シュツットガルトに移籍(レンタル)し、以降8シーズンにわたってブンデスリーガで活躍した。2015年には古豪ハンブルガ-SVでキャプテンを務めている。2019年8月にヴィッセル神戸に移籍し、Jリ―グに復帰。14年ブラジル大会、’18年ロシア大会と2大会連続でワールドカップメンバー入り。日本代表Aマッチ通算42試合出場。

協力:THE DIGEST

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