子どもの集中力の低下・イライラは「脳」の栄養不足が原因かも?夏休みに見直したい食事と生活習慣のヒント
2026.08.17
お盆も明けて、夏休みもいよいよ残りわずかとなりましたね。夏休みはお子さんと一緒に過ごす時間がぐっと増える貴重な期間。宿題に取り組む様子を見たり、一緒に食事をしたり、何気ない会話を交わす中で、子どもの成長を感じる機会もあったのではないでしょうか。一方で、「なかなか集中できていないのかな」「少しイライラしているかも」など、普段は気づかなかった子どもの様子を感じた保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
学校があるときには見えにくかった姿に気づくと、心配になることもあるかと思いますが、それは子どもの性格や態度が急に変わったのではなく、普段より長い時間一緒に過ごしているからこそ見えてきた一面とも考えられます。
そこで今回は、集中力が低下する原因や、生活習慣や食事でできる対策法をご紹介します。ぜひ残りの夏休みの期間は、お子さんの様子を温かく見守りながら、新学期に向けて心と身体を整える時間にしていただければと思います。
INDEX
- 「集中力が続かない」「イライラしている」その理由とは?
- 心と身体の元気に!「よく食べ、よく遊び、よく眠る」を意識しよう
- 食事で“脳”の栄養不足を解消!
- 栄養豊富で時短調理の味方!夏料理に「きのこ」をとり入れよう
- <Let’s Eat!>親子で楽しむ♪ 心身の栄養チャージに役立つ菌活レシピ
「集中力が続かない」「イライラしている」その理由とは?

夏休み期間は、子どもが宿題や読書、遊びに取り組む様子を普段よりしっかりと見ることができ、子どもと向き合う時間も増えるかと思います。好きな遊びや興味のあることには驚くほど夢中になる一方で、勉強がなかなか捗らない様子や、すぐに気が散ってしまう様子をみて不安になる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実はこれらの症状は、子どもの性格だけではなく “脳”から発せられる栄養不足のサインかもしれません。
集中力の低下は、脳が活動するためのエネルギーが不足していることが原因の一つかもしれません。脳はブドウ糖を主なエネルギー源としますが、朝食を抜いたり栄養バランスが偏った食事を続けたりすると、脳に必要な栄養が行き渡らず、勉強をしようとしても、集中力を維持できなくなってしまうことがあります。
また、集中力は脳のエネルギー不足の他にも、取り組む内容や周囲の環境、生活リズムの乱れ、その日の身体の調子によっても変化します。そのため、一つの場面だけで決めつけずに、どのような状況や内容だと捗るのかを見極め、その子なりのペースや工夫のヒントを見つけることも大切です。例えば午後よりも午前中の方が宿題が進みやすい、短い休憩を挟むと集中しやすいなど、過ごす時間が増えるこの時期だからこそ見えてくる特徴もあります。

一方で、イライラや怒りの感情も脳の働きが大きく関わっています。子どもの感情をコントロールするのは、アドレナリンなど元気ややる気を出す興奮系と、GABAなど興奮を抑える抑制系の2つのタイプの神経伝達物質があり、セロトニンなどがこれらの神経伝達物質のバランスを整えることで気持ちを調整してくれます。
この3つのバランスが取れていることが心の健康につながるのですが、栄養が不足し興奮系が優位になると、攻撃的でキレやすくなるという状態を招いてしまいます。そのため、イライラを落ち着かせるためには、抑制系のGABAや調整系のセロトニンを増やすことも大切です。
また、一緒に過ごす時間の中で、言葉づかいや表情、家族との関わり方などの小さな変化に気づくこともあると思います。気になる言動だけに目を向けるのではなく、いつ、どのような場面で見られるのかを振り返り、保護者の方が子どもの変化に気づけることが、お互いの生活をより良くするための大切な一歩となります。
集中力の低下やイライラなどの不調は、原因をひとつと決めつけずに、環境によるものなのか体調によるものなのか、目の前のお子さんの様子を注視して状況に合った心身のケアをすることを意識していきましょう。
他にも夏休み期間は、生活リズムや栄養バランスが崩れやすくなるため、それが原因となってメンタル面に影響を及ぼすこともあります。身体と心の調子は集中力の維持やイライラなどに関わるため、夏休み中も整った生活習慣とバランスの良い食事を意識することが大切です。
心と身体の元気に!「よく食べ、よく遊び、よく眠る」を意識しよう

はじめに、生活環境の土台として大切にしたいのが食事・活動・睡眠です。まず食事には栄養を摂り入れる役割の他に、食べる時間によって生活リズムをつくる役割もあります。夏休みは起きる時間が遅くなりやすいことから、食事の時間が全体的に後ろ倒しになる傾向にあります。
また、夏休み中は給食がないため、昼食が麺類やパン類だけといった主食中心のメニューとなり、たんぱく質やビタミン・ミネラル、食物繊維が不足しやすくなります。そのため、栄養が偏らないよう主菜・副菜も取り入れて、そろえにくい時にはその日全体や次の食事で補うよう心掛けると、献立を考える負担を増やさずに栄養バランスもとりやすくなります。一日三食を基本にし、食事のリズムを保ちながら様々な食品を組み合わせることを大切にしましょう。
また、日中に遊んだり身体を動かしたりすることも、子どもの生活リズムを整えることや集中力アップにつながります。暑い日は無理に外へ出る必要はありませんが、熱中症に注意しながら涼しい時間帯に外遊びをしたり、室内で身体を動かしたりすると、座り続ける時間とのメリハリがつき、自然と生活リズムが作られて勉強への集中力を高めることにも繋がります。家の手伝いや買い物など、日常の中で“お手伝い”として身体を動かすことも効果的なため、お子さんの様子に合わせて提案し、気分転換のきっかけをつくってみましょう。
そして、子どもは成長のためはもちろん、集中力やメンタルケアのためにも長い睡眠時間が必要です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9~12時間、中学生・高校生は8~10時間を目安⁾睡眠時間を確保することが推奨されています¹⁾。日本の子どもの平均睡眠時間は、この推奨時間を下回る、または下限付近にあるとされているため、必要な睡眠時間と起床する時間から逆算し「何時ごろに起きて、何時ごろに寝るとよいか」を親子で考えてみるのもおすすめです。
昔から子どもに対して「よく食べ、よく遊び、よく眠る」と言われるように、食事・活動・睡眠はそれぞれ独立したものではありません。子どもの毎日を支える生活の土台となるため、新学期に向けて親子で少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。²⁾
食事で“脳”の栄養不足を解消!

生活のリズムを整える一方で、もう一つのカギとなるのが食事です。集中力の低下やイライラなどの症状は、脳の栄養不足が原因の一つでもあるため、脳の働きを助ける栄養素を摂り入れることが大切です。加えて、夏休み期間は食事の内容が偏りやすくなるため、1日の中で必要な栄養素が補えるようバランスの良い食事を心がけていきましょう。
集中力の低下は脳のエネルギー不足が原因となることもあるため、脳のエネルギーの素となる糖質とその糖質の代謝を助けるビタミンB1を摂ることが大切です。また、ビタミンB1は糖質の代謝を助けるだけでなく、脳の神経機能に深く関わっています。記憶力や知能の発達、物事に関する興味・関心度はビタミンB1を摂ることで高まるという実験結果も報告されています³⁾。
一方で、イライラやキレやすいなどの症状は、脳の神経伝達物質のバランスが大切ですが、中でもGABAとセロトニンを増やすことが大切です。GABAは一部の食材からも補うことができ、きのこやトマト、発芽玄米などに含まれています。また、セロトニンを増やすためには、セロトニンの素となるトリプトファンとアミノ酸の一つであるトリプトファンの代謝の際に必要なビタミンB6が欠かせません。さらに、セロトニンは主に腸で合成されるため、腸を整えるのに役立つ食物繊維などの栄養素も意識して摂ることが大切です。
夏休み期間中は特にこれらの栄養素が不足しやすくなるため、1日を通してバランス良く摂取することを心がけて脳や心の健康を維持していきましょう。
また夏休みは、親子で買い物に出かけたり、食卓を囲んだりする時間をつくりやすい時期でもあります。夏休みは親子で買い物に出かけたり、食卓を囲んだりする時間をつくりやすい時期でもあります。子どもは、日々の食卓を通して、親が何を選び、どのように食べているかにも触れているため、「今日のごはんは何にする?」「おかずには何を合わせようか」と親子で食事について考えてみることで、身体のためになる食事を見直す良い機会になるでしょう。
栄養豊富で時短調理の味方!夏料理に「きのこ」をとり入れよう
前章でご紹介した、集中力の低下やイライラなどの症状を抑えるのに役立つビタミンB1やGABA、ビタミンB6、食物繊維などの栄養が多彩に含まれている食材が「きのこ」です。
また、きのこは栄養が豊富なだけでなく、電子レンジで簡単に調理ができるため、食事を作れる回数が増える夏休みにもおすすめの食材。さらに、きのこはクセがなくどんな味付け、食材とも合わせやすいため、肉や魚、卵、大豆製品などとあわせることでバランスの良い食事が叶います。
他にも、ブナシメジやマイタケを手でほぐしたり、エリンギを食べやすい大きさに裂いたりする工程は、どの年代の子どもも参加しやすいため、これをきっかけに食材に触れることや食べること、料理することなど、食への関心を高める前向きな一歩にもつながります。
ぜひ、夏休み期間中にこれらの習慣をとり入れたり、次の章で紹介するレシピを親子で一緒に作ったりして、心と身体の健康を整えていきましょう。
<Let’s Eat!>親子で楽しむ♪ 心身の栄養チャージに役立つ菌活レシピ
<厳選レシピ>
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きのこ入り海苔太巻き
きのこや牛肉、彩り豊かな野菜やきのこを一緒に楽しめる、具だくさんの海苔巻きです。ごはんに含まれる糖質は、元気に遊び、学ぶための集中力を保つために大切なエネルギー源。合わせるきのこに豊富なビタミンB1は、糖質の代謝を促すことでエネルギーとして利用するのを助けるため、活動量が多く、エネルギーを消費しやすい子どもの食事にもおすすめです。具材を並べたり巻いたりする工程は子どもでも手伝いやすいため、親子で分担し、一緒に作る楽しさを味わえる、夏休みにぴったりの一品です。
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きのこのカラフルサンド
きのこや卵、チーズ、色とりどりの野菜を重ねた、見た目にも楽しいボリューム満点のサンドウィッチです。きのこに豊富なビタミンB2や、にんじんなどの緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、皮膚や粘膜を健やかに保つため、日差しの強い夏の身体ケアに役立ちます。また、卵やチーズからはストレスケアや身体づくりに必要なたんぱく質も補えるため、さまざまな栄養素を一度に摂れるのも嬉しいポイントです。朝食や昼食、お弁当などにも活用しやすいため、夏休みのお出かけから新学期に大活躍する一品です。
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レンジdeきのことオクラのチキンロール~さっぱりみょうがダレ添え~
鶏むね肉で、きのこと旬のオクラを巻いた、食べ応えのある主菜です。鶏肉に含まれるたんぱく質は、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンをはじめとするホルモンをつくるのに大切な材料です。またきのこに豊富なビタミンB6は、このセロトニンの生成にも欠かせないため、心身の健やかな成長を支えます。電子レンジで手軽に調理できるため火を使わないのもおすすめのポイント。みょうがを使った爽やかなタレで夏らしく味わえる一品です。
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きのこドレッシングのシーザーサラダ
トマトや水菜、香ばしく焼いたエリンギがたっぷり食べられる、彩り豊かなシーザーサラダです。きのこや野菜に豊富な食物繊維は、自律神経の集まる腸を整えるほか、腸内細菌のエサとなることでストレスケアや集中力アップに役立ちます。手作りのきのこドレッシングで、きのこの栄養とうま味を余さずに楽しめるのも嬉しいポイントです。普段のサラダとはひと味違った、新感覚のきのこレシピです。
(参考文献)
【引用・参考文献】
1)厚生労働省.健康づくりのための睡眠ガイド2023.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/
kenkou/suimin/index.html (閲覧日:2026年7月21日)
2)農林水産省.第5次食育推進基本計画.https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kannrennhou.html (閲覧日:2026年7月21日)
3)Harrell, R.F. Mental Response toAdded Thiamine. Journal of Nutrition. Vol. 31 No.3 Marchi 1946, pp.283-298(出典:医師が教える子供の食事 著.櫻本美輪子 定真理子 株式会社ワニブックス 2020.12.18初版 P147)
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松本大学人間健康学部健康栄養学科専任講師
兵庫大学を卒業後、管理栄養士免許を取得し、運動と栄養の両面から研究する運動栄養学を大阪体育大学大学院で学ぶ。大学院卒業後は、スポーツクラブアクトス、チームニッポン・マルチサポート事業(栄養)で健康づくりの運動指導やトップアスリート栄養サポートに従事して現職に就く。現在は、運動栄養学の教育・研究とともに、県内・外のアスリートの栄養サポートを行う。
【資格】
管理栄養士、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士、修士(スポーツ科学)



