注意したい“子どもの夏バテ”。カギは食事による水分補給&栄養補給にアリ!
2026.07.13
全国的に梅雨明けのニュースが聞こえ始め、暑さの勢いが増すこの時期。水遊びやプールなど、お子さんと野外で過ごす時間も増えているご家庭も多いことと思います。
一方で、急激に暑さが増すこの時期は「食欲がない」、「冷たいものばかり食べたがる」、「なんとなく疲れている」といったお子さんの様子が気がかりな保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
実際に、身体の機能が未熟な子どもの方が、大人よりも夏バテや熱中症などの症状を引き起こしやすいため、夏は子どもの様子をより一層気に掛けることが大切です。
特に近年は、災害級とも言われるほど高い気温の日が続くことも多く、熱中症対策として水分補給を意識している方も多いかと思いますが、暑さに負けない元気な身体をつくるためには水分補給に加えてバランスの良い食事も欠かせません。
そこで今回は、子どもが夏バテになる原因や、夏バテ対策に役立つ食事のポイントについてご紹介します。日々の食事を工夫して、夏本番をさらに楽しめる身体をつくっていきましょう。
INDEX
- 夏に子どもが疲れやすくなる理由とは
- 食事から摂る“見えない水分”が夏バテ対策のカギ!
- 食事からの水分補給は「朝食」と「生活リズム」を意識しよう
- 栄養補給と水分補給には万能な食材「きのこ」を活用!
- 食べやすい一品料理で効率の良い栄養補給を
- <Let’s Eat!>水分&栄養満点!夏バテを防ぐおすすめの菌活レシピ
夏に子どもが疲れやすくなる理由とは

夏本番となるこの時期は、急激に高まる湿度や気温に身体が慣れず、いつもより元気がなかったり、食欲が落ちたりする子どもが少なくありません。
環境省の「熱中症環境保健マニュアル2022」では、思春期前の子どもは体温を調節する機能が十分に発達しておらず、大人よりも暑さの影響を受けやすいことが示されています。加えて、子どもは汗をかく機能も発達途中であるため、身体に籠った熱をうまく逃がすことができず、体温が上がりやすいと考えられています1)。
さらに、暑い日が続くと日常的に冷たい飲み物やアイスなどを口にする機会が増えるため、夏バテの対策に重要な食事量が減少しやすくなります。すると、水分は補給できても、身体を動かすために必要なエネルギーや栄養素が不足して疲れや夏バテを感じやすくなってしまうのです。
また、子どもは体調の変化を感じていても、うまく言葉で表現できないということもあります。そのため、顔色や汗のかき方、食欲の有無、普段と比較して元気があるかないかなどを、周囲の大人が見守ることが大切です。
子どもたちが夏を元気に過ごせるように、水分補給だけでなく毎日の食事をしっかり摂ることを基本として、些細な体調の変化にも気付けるよう意識していきましょう。
食事から摂る“見えない水分”が夏バテ対策のカギ!
夏になると、「こまめに水分を摂りましょう」という言葉をよく耳にします。水分を摂るというと水やお茶などの飲み物を飲むことをイメージしますが、実は私たちは飲み物だけで水分を補給しているわけではありません。
私たちの身体に入る水分は、飲み物だけでなく食事(料理や食材に含まれる水分)から補給されるほか、体内でつくられる水分(代謝水)があります。成人が1日に摂取する水分約2,500mLのうち、約1,000mLは食事から補給されているといわれており2)、1日に摂る水分のうちの約4割は食事由来ということになります。
一方で、体内の水分は汗や尿、呼吸などの生命維持活動(もしくは新陳代謝)によって常に排出・消費されています。特に暑い季節は発汗量が増え、失われる水分も多くなるため、水やお茶などの飲み物に加えて、食事からも水分を補うことが大切です。
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、きゅうりやトマト、なす、ズッキーニなどの夏野菜は、およそ9割以上が水分でできています3)。また、きのこも9割以上が水分となるため、水分補給を助けてくれる食材です。このような野菜やきのこを取り入れた食事は、水分補給だけでなく、身体に必要な栄養素も一緒に摂ることができるため、夏バテ予防の強い味方となります。
暑さで水分が失われやすいこの時期は「何を飲むか」だけでなく、「何を食べるか」にも目を向けながら、食事から摂る“見えない水分”も意識していきましょう。
食事からの水分補給は「朝食」と「生活リズム」を意識しよう
ここまでご紹介したように、夏は特に食事から水分や栄養素を補うことが大切ですが、暑い時期は食欲が落ちてしまい、毎日の食事量が減ってしまうことがあります。そこで、毎日の食事の中でも、水分補給のために特に意識したいのが朝食です。
朝起きたばかりの身体は、水分やエネルギーが不足した、いわば飢餓状態です。睡眠中も呼吸や汗によって水分は失われているため、朝食は一日の最初の水分補給と栄養補給の大切な機会になります。
しかし、夏場は朝でも暑いことが多いため、食欲がわかずに「飲み物だけ」「果物だけ」で済ませてしまうことも多くなります。何も食べないよりは良いことですが、できるだけエネルギーとなる主食やたんぱく質などを組み合わせて、代謝に関わるビタミンB群やミネラルといった栄養素もしっかりと補うことが大切です。

また、7月後半からは夏休みが始まるため、生活リズムが変わりやすい時期でもあります。休みの期間だからと夜更かしや朝寝坊が増えて朝食が遅くなったり、欠食につながったりすると、1日に必要な栄養が不足しやすくなります。
毎日完璧な生活リズムを目指す必要はありませんが、まずは朝食を抜かないこと、そして1日3回の食事をできるだけ規則正しく摂ることを意識してみましょう。こうした積み重ねが、暑い夏でも元気に過ごすための身体の土台になります。朝食を食べることから毎日の生活リズムを整えて、水分不足やエネルギー不足を防いでいきましょう。
栄養補給と水分補給には万能な食材「きのこ」を活用!
夏は汗をかいたり体温を調節したりすることにもエネルギーが必要となるため、夏バテや熱中症を防ぐためには、食事によりエネルギーをチャージすることも大切です。
一方、夏は暑さから食欲が低下しやすいため、暑い日でも食べやすく、エネルギーを効率よく作り出す栄養素を含んだ食材をとり入れるようにしましょう。中でもおすすめの食材が「きのこ」です。
前章でもご紹介したように、ブナシメジやマイタケ、エリンギなどのきのこ類は約9割が水分であるため3)、食事から摂る“見えない水分”の一部としても役立つ食材です。
さらに、きのこにはカリウムが豊富で、カリウムは体内の水分バランスの維持に関わるミネラルの一つであるため、夏の体調管理に役立ちます。

加えてきのこにはトレハロースという特徴的な糖質も含まれています。糖質といっても甘味は砂糖よりも少なく、きのこや酵母などに多く含まれている成分であり、さまざまな食品のおいしさを保つ食品添加物の一つとしても知られています。このトレハロースはグルコース(別名:ブドウ糖)が2つ結びついた二糖類というもので、消化されると小腸で吸収されてエネルギー源として利用されるため、エネルギー補給の一助になります。
そして、きのこにはビタミンB群も豊富に含まれています。ビタミンB群は、トレハロースを始め糖質や脂質などをエネルギーとして利用する際に欠かせない栄養素のため、エネルギーチャージをサポートします。食欲が落ちやすい夏は食事量も減りやすくなりますが、成長期の子どもにとっても、充分なエネルギー補給は欠かせないため、暑さに負けず元気に活動するためにも、毎食の食事で意識したい栄養素のひとつです。
このように、きのこは水分と栄養を一緒に補うのに優れた食品であり、夏野菜や肉、魚、卵などと組み合わせることで栄養バランスも整うため、毎日の食事に積極的にとり入れていきましょう。
食べやすい一品料理で効率の良い栄養補給を
最後に、夏の献立づくりのポイントをご紹介します。
子どもの食欲が落ちていると、「何を食べさせればよいのだろう」と悩む保護者の方も多いかもしれません。そんなときは、一度の食事で完璧な栄養バランスを目指すのではなく、1日や数日単位の中でバランスが整うようにすることと、「食べやすさ」・「栄養補給」を意識することが大切です。
食欲が落ちている時には、品数が多いだけで、子どもは負担に感じることがあります。せっかく作った料理でも、目の前にたくさんの料理が並ぶと、それだけで「食べきれないかも」と感じてしまい食が思うように進まない子どもも少なくありません。
そこでおすすめなのが、カレーや丼物など、主食・主菜・副菜の要素を組み合わせた一品料理を活用することです。一皿で糖質やたんぱく質、ビタミンやミネラルといった栄養素をまとめて摂りやすく、見た目の負担も少ないため、暑い日でも食べやすくなります。
また、水分を多く含む夏野菜やきのこを取り入れることで、一品料理の中で水分と栄養を補いやすくなるため、ぜひとり入れてみてください。
特に夏休み中は、昼食を家庭で食べる機会が増えるため、簡単に作れて栄養も摂れるメニューがあると心強いものです。
そこで今回は、暑い日でも食べやすい味付けのものやさっぱりとしためん類、さらに水分や栄養をバランスよく補いやすいきのこレシピをご紹介します。お子さんの食欲やその日の体調に合わせて、無理のない範囲で取り入れながら、夏バテしにくい身体をつくっていきましょう。
<Let’s Eat!>水分&栄養満点!夏バテを防ぐおすすめの菌活レシピ
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きのこ deヘルシー☆ぶっかけ冷やしうどん
夏の暑さで食欲が落ちやすい時でも食べやすい、さっぱりとした冷やしうどんです。きのこは、糖質などをエネルギーとして利用する際に欠かせないビタミンB群が豊富に含まれており、エネルギーを消費しがちな夏の栄養補給に役立ちます。また、トマトや大葉などの食材を組み合わせることで彩りもよく、食事から水分を補いやすいのもポイントです。一品で主食・主菜・副菜の要素を取り入れやすく、バランスよく栄養が補えるおすすめのメニューです。
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フライパンで焼ける♪きのこピザ
フライパンで手軽に作れる、夏休みの昼食にもおすすめのきのこピザです。きのこは、特徴的な糖質であるトレハロースが豊富で、トレハロースは体内でエネルギー源として利用されるほか、糖質の中では血糖値の上昇が比較的穏やかであるため、健康的な身体づくりを後押しします。また、子どもも食べやすい味付けで親子で一緒に作れるため、楽しく調理しながら栄養もしっかり補えるメニューです。
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きのこと夏野菜のスープカレー
夏野菜ときのこをたっぷり使った、食べ応えのあるスープカレーです。きのこや野菜に加え、豚肉やごはんを組み合わせることで、暑さで不足しがちなエネルギーやビタミンB群、カリウムなどをバランスよく補えます。また、豚肉に含まれるたんぱく質は、きのこのビタミンB6と合わせることで成長期の子どもの身体づくりにも役立ちます。カレーの風味が食欲をそそり、夏バテ対策にもおすすめです。夏野菜の彩りとうま味たっぷりのきのこを一緒に楽しめる一品です。
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エリンギとたっぷり夏野菜のラタトゥイユ
トマトやなす、ズッキーニなどの夏野菜をたっぷり使った、彩り豊かで栄養満点の一品です。夏野菜は水分を豊富に含んでおり、さらに、きのこも水分を豊富に含むため、飲み物だけでなく食事からの水分補給をサポートしてくれます。また、きのこにはカリウムが豊富に含まれており、体内の水分バランスを保つためにも役立ちます。作り置きもしやすく、忙しい日の副菜として手軽に取り入れられるメニューです。
(参考文献)
【引用・参考文献】
1)環境省:『熱中症環境保健マニュアル2022』, https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php (閲覧日:2026年6月24日)
2)中坊幸弘 編:『栄養科学イラストレイテッド 基礎栄養学 第5版』, 羊土社(2024)
3)文部科学省:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』, https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html(閲覧日:2026年6月24日)
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松本大学人間健康学部健康栄養学科専任講師
兵庫大学を卒業後、管理栄養士免許を取得し、運動と栄養の両面から研究する運動栄養学を大阪体育大学大学院で学ぶ。大学院卒業後は、スポーツクラブアクトス、チームニッポン・マルチサポート事業(栄養)で健康づくりの運動指導やトップアスリート栄養サポートに従事して現職に就く。現在は、運動栄養学の教育・研究とともに、県内・外のアスリートの栄養サポートを行う。
【資格】
管理栄養士、日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士、修士(スポーツ科学)



