PAGETOP
研究員の研究日誌

本格的な春に向けて!花粉の季節に食べたいきのこの効果を実証

2024.02.21
本格的な春に向けて!花粉の季節に食べたいきのこの効果を実証

皆さんこんにちは、開発研究課 川井です。
寒暖差の大きな日が続きますが、春が少しずつ近づいてきましたね。しかし、花粉症の方にとっては、つらい季節の始まりでもあります。私も実は花粉症で、薬を飲んでいないと生活に支障が出るほどです。

そんな花粉症を含むアレルギー性鼻炎は、日本国民の40%以上が罹患しているといわれ、今後も増加することが予想されています (1)。
また、今年2024年は花粉飛散量が例年よりやや多いそうで、西日本ではもう2月上旬からスギ花粉が飛び始めるとのことですので、早急な対策が必要ですね。

研究日誌001

そこで、いつものようにきのこを食べよう!というお話をさせていただきます。

私たちが行った研究では、花粉症のマウスにマイタケを食べさせると、花粉が眼に入ったときの結膜の炎症が軽減し、眼をかく行動が減った、つまり、かゆみが軽減したという結果が得られています(2)。ヒトでの検証はこれからですが、マイタケが花粉症の症状を和らげる可能性があるかも知れません。

研究日誌002

花粉症とは、免疫細胞が本来害のない花粉に対して、過剰に反応してしまうことで起こるアレルギー疾患です。花粉に反応した免疫細胞がヒスタミンなどの炎症物質を放出することで、痒みや鼻水などの症状が出ます。私たちは、マイタケが免疫細胞からの炎症物質の放出を抑えることで、花粉症の症状を軽くすると考えています。

研究日誌003

また、アレルギーモデルマウスに、マイタケの成分であるエルゴステロールを事前に食べさせておくと、アレルギー刺激によって免疫細胞から放出されるヒスタミンの量が抑制されました(図4)(4)。エルゴステロールは全てのきのこにたくさん含まれている成分なので、マイタケ以外のきのこにも、効果が有るかもしれないと期待しています。

研究日誌004

花粉症の治療には花粉の回避と薬による対症療法、近年ではスギ花粉に対するアレルギー性鼻炎には、舌下免疫療法が普及しつつあります。しかし、薬には眠気やのどの渇きなどの副作用、舌下免疫療法にはアナフィラキシーショックの可能性があります。

一方、きのこは安心安全で日常的に食べることができます。薬とうまく併用することで、薬の量を減らし、副作用の軽減効果も期待できます。他にも、きのこには免疫機能に重要なビタミンDや腸内環境を整える食物繊維が豊富に含まれています。

私自身も、この研究していた当時、1ケース20個入りのマイタケを箱買いし、効果を確認しようと毎日食べ続けた経験があります。その際、本当に花粉症の症状が軽減されたと実感しました!

これからの季節、花粉症が本格化する前に、ぜひきのこを取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. リウマチ・アレルギー対策委員会 報告書(平成23年8月)
  2. Kawai J., et al., Food Agric Immunol. 2021, 28(5): 779–788.
  3. Kawai J., et al., Biosci Biotechnol Biochem. 2018, 82(10): 1803–1811.
  4. Kawai J., et al., Biosci Biotechnol Biochem. 2019, 83(12): 2280–2287.

きのこらぼに無料会員登録をしていただき、ログインした状態で記事をご覧いただくとポイントがもらえます。
貯まったポイントは、プレゼント応募にご利用いただけます。