梅雨を元気で過ごすには?むくみ・だるさの原因「湿邪」を取り除くツボをピックアップ
2025.06.23
梅雨の時期は湿度が高くなり、なんとなく身体が重だるい、食欲がないといった不調を感じやすくなります。その原因は、東洋医学でいう「湿邪(しつじゃ)」かもしれません。湿邪は体内に余分な湿気が溜まった状態で、むくみやだるさをはじめ、さまざまな不調を引き起こします。
今回は、梅雨時期の不調を乗り切るために、体内の湿邪を取り除く効果が期待できるツボや湿邪対策に役立つ食事のポイントをご紹介します。ツボ押しやバランスの良い食事をとり入れて、梅雨を元気に乗り切りましょう!
INDEX
湿邪が停滞すると身体が重だるく胃腸機能が低下する
空気中の適度な湿度は、私たちの皮膚や髪を潤すなど、身体にとって良い面もありますが、過剰になると、悪影響を及ぼすことがあります。
東洋医学では、この過剰な湿気が体内に悪影響を及ぼす状態を「湿邪」と呼んでいます。湿邪には、体内の水分やリンパ、血液などの巡りを悪くする性質があり、一度体内に溜まるとなかなか排出されません。
湿邪が停滞すると、身体の様々な部位に不調が現れますが、特に影響を受けやすいのが消化吸収を担う「脾(ひ)」です。脾が弱ると、食欲不振や胃もたれ、下痢などの胃腸症状が出やすくなります。その他にも、むくみや頭痛、身体のだるさ、さらには気分が落ち込むなど、精神面にも影響を及ぼすことがあります。
湿邪を取り除くツボとは?梅雨時期の不調は陰陵泉と足三里で改善しよう!
6月のツボ1. 陰陵泉(いんりょうせん)

<ツボの位置>
すねの内側、ひざ下の骨(脛骨)の際を、足首側から指でなぞり上げた時に、指が自然と止まるくぼみにあります。
<陰陵泉とは>
陰陵泉は、体内の水分代謝を促し、余分な湿気を取り除く代表的なツボです。東洋医学では、消化器系の働きと深く関わる「脾経(ひけい)」上にあり、ここを刺激することで血行が促進され、水分が体外へ排出されやすくなります。
胃腸の働きを整え、消化器系全般の機能回復に効果的なため、梅雨時期の食欲不振や胃もたれ、下痢といった症状に悩む方にもおすすめです。また、冷え症の改善にも役立ちます。
ひざを軽く曲げ、ひざからすねをつかむように親指をツボにあて、ひざの外側に向けて押してください。
6月のツボ2. 足三里(あしさんり)

<ツボの位置>
ひざのお皿のすぐ下、外側にあるくぼみに人差し指を置きます。そこから親指幅3本分下がった、すねの骨の外側にあります。
<足三里とは>
足三里は、「胃経(いけい)」上にあり、古くから胃腸の働きを整える万能ツボとして知られています。消化不良は湿邪の原因になるため、ここを刺激することは梅雨の不調改善に繋がります。胃腸を整えるほか、身体全体のエネルギーを高め、夏バテ防止や冷房病対策にも有効で、「ツボの代名詞」とも呼ばれます。
親指の腹をあて、気持ちよい強さで、ゆっくり5秒ほど押し揉みましょう。ピンポイントではなく、周囲をマッサージするようにじっくりほぐすのがコツです。
6月のツボ3. 豊隆(ほうりゅう)

<ツボの位置>
ひざのお皿のすぐ下、外側のくぼみと外くるぶしを結んだ線のちょうど真ん中の高さで、足のすねの骨の外側、指2本分離れたところにあります。
<豊隆とは>
豊隆は「胃経(いけい)」上にあり、特に体内の余分な水分や粘り気のある湿気(痰湿)を取り除く効果が高いツボです。胃もたれや胸やけ、吐き気などの消化器症状、足のむくみ、めまい、頭重感の改善に役立ちます。
座ったままでも押しやすいので、手軽にケアできます。ほどよい刺激を感じる強さで6秒間ゆっくり押し、ゆっくり離します。これを5回程度繰り返しましょう。
6月のツボ4. 復溜(ふくりゅう)

<ツボの位置>
内くるぶしの一番高いところに小指を置きます。そこから指3本分上がったところで、アキレス腱の少し手前(前側)にあります。
<復溜とは>
復溜は、腎や膀胱を通る「腎経(じんけい)」上のツボです。腎の働きを高め、体内の水分バランスを整えます。足のむくみや冷え、泌尿器系のトラブル、汗のコントロールに効果的です。冷えからくる不調にもおすすめです。
気持ちよい強さで6秒間ゆっくり押し、ゆっくり離すのを5回程度繰り返します。汗をあまりかかない人に特に効果的で、タイミングとしてはお風呂に入ったとき、夜寝る前に良いツボです。
湿邪対策にはカリウムやビタミンB群を豊富に含むきのこを!
ツボ押しと合わせて食生活も見直すことで、より効果的に湿邪対策ができます。中でもおすすめの食材が「きのこ」です。
きのこには、体内の余分な塩分と水分を排出する「カリウム」が豊富に含まれています。カリウムは、むくみの解消や血圧の調整に役立ち、湿邪によるだるさや倦怠感の軽減をサポートします。カリウムは汗で失われやすく、夏は特に不足しやすいといわれているため、きのこを毎日の食事に取り入れることで手軽にカリウムを補給できます。
また、きのこはエネルギー代謝を助ける「ビタミンB1」も豊富です。ビタミンB1が不足すると糖質をエネルギーに変えにくくなり、疲労感やだるさを感じやすくなります。梅雨のだるさ対策のためには、糖質と合わせてビタミンB1を摂ることが大切です。さらにきのこには、血行を促進する「ナイアシン(ビタミンB3)」も含まれているため、むくみや頭痛ケアにも役立ちます。
きのこは、カリウムが豊富なきゅうりなどの夏野菜とも相性抜群です。さっぱりとした和え物やスープなどで一緒に摂ることで、体内に湿気を溜め込まない身体づくりを助けてくれます。大葉やみょうがといった薬味を加えると風味も増し、食欲がない時でも食べやすくなりますよ。
さらに、きのこにはうま味成分であるグアニル酸やグルタミン酸も豊富です。料理に加えるだけで、少ない調味料でも満足感のある味わいになり、自然と減塩にもつながります。気圧の変化や湿気で不調を感じやすい梅雨ですが、ツボ押しや食事などで身体の内側からもケアをして、ジメジメとした季節を乗り切りましょう。
参考文献
症状改善!ツボ大全.布施雅夫監修.成美堂出版.2024
m’s鍼灸院|ツボ紹介
「日本人の食事摂取基準」策定検討会|日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書